日々考えていること ホップについて その1

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今回はホップについて私の考え方を少し書いてみようかと思います。

教科書通りではない、クラフトブルワーとしてのホップに対する考え方です。

この話、1回で書ききるつもりだったのですが、書いてみたら文章が膨大になりました。

という訳で2回に分けて掲載したいと思います。

 

また、この文章は自分の知識だけで書いていますので、なにか間違いがあるかもしれません。

間違いを発見した方は教えて頂けると幸いです。直ぐに訂正いたします。

 

 

改めて言うまでもなく、ビールの命ホップ。

COEDOではアメリカ、ニュージーランド、オーストラリア、ドイツ、スロヴェニアなどなど世界中のホップを使用しています。日本産のホップが無いのが少し寂しいですが、日本で栽培されているホップはほとんどが大手との契約栽培。手に入らないのです。

クラフトビールが浸透すれば、いつか大手との契約栽培ではないホップ農家が現れてくるでしょう。

すでに志賀高原ビールさんのように、自社でホップを栽培しているブルワリーも数社ありますし、今後が楽しみです。

埼玉でもホップは栽培できるのかな?機会があれば挑戦してみたいです。

 

 

さて、ホップはビール専用の農作物と言ってよいほど、ビールにしか使用されない作物です。

クラフトビールを除く大手ビールについてはどんどん苦味が減っていく傾向にあるので、実は現在、世界的なホップの栽培量はどんどん減っています。

しかしクラフトブルワー達が好む個性的なキャラクターを持つホップは、逆に需要が供給を上回っており、ホップ争奪戦が発生しているという歪な状況なのです。

これはホップばりばりのアメリカンスタイルが世界のクラフトビールを牽引しているという事情があっての事です。

もはやアメリカンホップを使うのはアメリカのブルワリーだけではありません。

世界各国のブルワリー、例えば意外だと思いますが、ベルギーやドイツですらアメリカンホップを使用しています。

使用するどころか、近年ドイツでもCascadeが栽培され始め、世界に衝撃が走りました。

クラフトビール好き = ホップ好き という傾向は、もはや誰も否定できないでしょう。

 

 

そんな魅力いっぱいのホップですが、ビールに使用する意義は主に2つ。

ビールに特有の苦味をつけるため、そして香りをつける為です。

よくビールの本には ”殺菌の為” あるいは “泡持ちを良くするため” なんて書いてありますが

これらはあくまで2次的な効果であって、主の目的ではありません。

特に殺菌効果については、無菌操作技術の発達した現在では、意義は失われていると考えて良いと思います。

 

また、ホップは品種によって ”香り付けの為のアロマホップ” と “苦み付けの為のビタリングホップ” に分けられる

というような解説がなされることがありますが、これは正解でもあり、不正解でもあります。

 

 

苦味の元となる成分はα酸と呼ばれ、ホップの種類によって含有量が異なります。

例えばα酸値3%のホップと15%のホップを比べると、同じ苦味をつける為には

3%のホップは15%のホップの5倍も使用しなければなりません。

コスト的には当然15%のホップを使った方が良いのです。

 

ホップは農作物ですから、当然昔から品種改良が行われてきました。

ビタリング使用されるホップは、より高いα酸含量を目指して

アロマに使用されるホップはより良い香りとなるように品種改良がなされた結果

ビタリング用の高αホップの香りはあまり良くない、香り付け用のホップはα酸値が低いという傾向が産まれたのです。

このような事情から品種によってビタリング用、アロマ用と分けられてきたのですが

現在の状況見てみると、この傾向は完全に崩れています。

 

例えばアメリカンアロマホップの代表であるSimcoe、Citraなどは共に10%を越える高いα酸値を持っています。これはビタリング用としても充分に使用できるポテンシャルなのです。

また、逆に本来ビタリング用のColumbusやNuggetをアロマ用に使用する事もありますので

向き不向きはあるものの、ビタリング用とアロマ用の境界は限りなく曖昧になっている、というのが私の見解です。

 

実際COEDOでもSaphirというα酸値の大変低い、本来はアロマ用のホップをビタリングに使用することがあります。

Saphirの苦味は大変にソフトでクリーンな口当たりで、個人的にとても好きな苦味なのです。

高い苦味を得る為には大量に使わなければならないので、コスト的にはあまり良くないのです・・・。

 

アメリカのクラフトブルワリーで最も多く使用されるホップはCascadeなのですが、実はこれ元々ビタリング用のホップ。

Anchor BrewingがLiberty Aleに使用し、グレープフルーツの様なシトラスアロマを引き出した時から

アロマ用、ビタリング用というホップの分類は崩れ、アメリカンスタイルが確立されたのかもしれません。

Liberty Aleが飲みたくなるお話ですね。

 

その2へ続く


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