マニアック過ぎる原料解説 HOP vol.2 Galaxy
今回マニアックにご紹介するのはオーストラリアのGalaxyというホップです。
今年日本でブレイクした感じのあるホップですが、よく名前を見るのではないでしょうか?
ちょっと自慢なのですが、たぶん日本で一番最初にGalaxyを使ったのはCOEDOなんです。
独自ルートで仕入れました。それ以前にGalaxyを使ったビールを見た事がなかったので、恐らく間違いないかと。
海外ではというと、なぜかイギリスで多用されているイメージです。
Brew dogがIPA is Deadシリーズ(シングルホップIPA)でGalaxyを使用した影響なんですかね。
元々Brew dogはNelson Sauvinなどニュージランド産のホップを多用するブルワリーですので、同じオセアニアのホップにも目をつけていたのでしょう。
アメリカでも使われてはいるものの、それほどメジャーではないようです。
まぁアメリカにはわざわざ輸入せずとも強烈なホップが沢山ありますからね。
そんなGalaxyですが1994年にオーストラリアのホップメーカー、Hop Products Australiaによって交配された品種です。
商用としてリリースされたのは2009年、わずか4年前です。新しいホップなんですよ。
母親は三倍体(詳しくは生物学、または遺伝子工学の教科書を読みましょう!)の品種(詳細は秘密っぽいです)、父親はドイツのPerleという品種で
当初はハイアルファのビタリングホップの開発を目的として交配されたようです。
Perleというのはどちらかというと、ノーブル系の伝統的な品種に近いアロマなのですが、Galaxyとは似ても似つかないキャラクターです。なぜPerleが親でGalaxyが産まれるのか・・・。不思議なもんです。
話が逸れましたが、ビタリング用途として交配されたのでα酸値は高いです。
アベレージでは11%-16%の間のようですが、今まで使ったものは全て12%を越えています。
現在の用途としてはDual、つまりビタリングにもアロマにも使えるよ、と言われていますが
Galaxyといえば特徴的なのはまずアロマです。
シトラス、パッションフルーツ、メロン、マンゴーなどのフルーツの香りがガンガンです。
個人的には上記のフルーツよりライチのような香りを強く感じます。
なんの前知識も持たずにこのホップに触れたので、初めてパッケージの封を切った時には衝撃が走ったのを覚えています。えー!?なにこれ!?と。
熱をかけると香りが大きく変化するのも特徴だと思っています。
Earthyと表現するのですが、土のような香りが出てきます。
土の香りというとあまり良い香りのイメージではありませんが、ビールのアロマ表現としては割と一般的です。
ポーターやランビックなんかは土のニュアンスがあることが多いように思いますし、ホップのキャラクターを表現するときにも割と頻繁に使われる表現かなと。
一方、苦味はというと・・・。
渋味の原因となるCo-humlone値が32%-42%と結構高い数値なのです。
一応はビタリング用途にも使えるよ、と言われていますが、私はまず使いません。
pHをキッチリ調整してもかな~り強烈に渋渋になります。
α酸値が高いのでビタリング用途として使いたくなるのは山々なのですが、クリーンな味わいを目指すのであればアロマ用途に限定した方が良い結果が得られると思います。
または、Hop Burst的に使えばやや渋味は抑えられるかと。
という訳でGalaxyの個人的なお勧めの使い方はアロマです。
煮沸中に加えるとしても、なるべく終了間際やワールプールの工程で加えるのがベター。
少しでも熱が加わると渋味が出てしまうので、慎重に使う事をお勧めします。
また熱を一切加えないドライホッピングに用いれば非常に良い結果が得られます。
ただ、ホップをそのまま嗅いだときに連想されるほど強烈なアロマは乗らないような気が。
ビールになると比較的穏やかにフルーティなアロマが感じられる、というレベルに落ち着いてしまう様な印象を持っています。オイル量も非常に多いのに不思議なもんです。
向くスタイルはやはりIPAでしょう。ペールエール、ゴールデンエールなんかにもグッド。
基本的にはアメリカンホップの代わりに使用するのがベターかと。
そのまま代用にはなりませんが、使い方によってはアメリカンホップとはまた違ったキャラクターを引き出せ、ユニークな仕上がりのビールが出来ると思います。
ちなみに自分はGalaxyを使っているビールはブラインドで飲んでも存在を感じ取れます。
それくらいGalaxyのキャラクターは特徴的です。
もちろん自分で普段使っているから香りをしっかり覚えているというのも理由ですが。
COEDOでは現在進行形で伽羅、過去にはImperial Belgian AleとWest to East IPA、East to West IPAに使用しました。
これからもまだまだお世話になるホップだとおもいます。
それではまた次回をお楽しみに。
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