日々考えていること スパージング

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今日はスパージングについて書いてみようと思います。

スパージングについては書く事が沢山あるので、恐らく今回だけではなく何回か書くことになると思います。

 

まず初めに「スパージングってなに?」という疑問にお答えします。

仕込みの第一段階として、粉砕した麦芽とお湯を混ぜマッシュという状態にし、糖化を行います。

糖化の終了したマッシュはロイタータンとよばれる容器に移され、麦汁と麦芽の外殻を分離する為のを濾過します。

マッシュタンとロイタータンを兼ねているものもあり、この場合はマッシュの移動はありません。

 

麦汁を濾過するとき、最初に得られる麦汁、つまり仕込み水に麦芽のエキスが溶けた物がいわゆる一番麦汁と呼ばれるものです。某K社では一番搾りなんて呼ばれるようですが。

一番麦汁を絞り終わったあとの麦芽の外殻の層(グレインベッド)にはまだ沢山の糖分が残っていますから、ここにお湯をかけてあげてグレインベッドに残った糖分を回収してあげます。

このお湯をかけてあげる工程をスパージングと呼ぶのです。

なお、スパージングによって得られる麦汁は二番麦汁と呼ばれます。さらにもう一度スパージングを行った後の麦汁は三番麦汁とスパージングの回数によって麦汁の番は増えて行きます。

100回スパージングを行ったあとの麦汁は101番麦汁ですね。

 

ここまで解説したスパージングの方法はバッチ・スパージングと呼ばれる方法です。

濾過を進めて行くと、麦汁の液面が徐々下がってゆきます。するとグレインベッドの表面が見えてくるので、そのタイミングでスパージングを行う方法です。

画像イメージはこちらを参照してください。

バッチ・スパージングは明確に一番麦汁、二番麦汁と区切る事が出来ます。

 

もう一つのスパージングの方法はフライ・スパージング、または コンティニュース・スパージングと呼ばれる方法です。

コンティニュース continuous  つまり、連続したスパージングです。

麦汁を濾過するスピードとスパージング量を合わせ、常に一定量の麦汁をキープする方法です。

スパージングの切れ目がありませので、一番麦汁、二番麦汁といった区切りもありません。

 

という様に、同じ湯をかけて糖分を回収する方法にも2通りの方法があるのです。

日本で多くのブルワリーが採用している方法はバッチ・スパージングです。COEDOもバッチ・スパージングです。

 

それぞれにメリット、デメリットがあります。

まず設備について。

これはバッチ・スパージングの方がより簡素な設備で行えます。液面が下がってきたら所定量のお湯をかけるだけですから。ストップウォッチでもあれば一定の量を散布することができます。

対して搾りの流量とお湯を散布する流量を一定にしなければならないフライ・スパージングでは流入、流出、両方に流量計が必要となってしまいます。

 

続いてロイターリングの手間。

フライ・スパージングの方が手間いらずです。

一度流量調整だけしてしまえば終わるまで放っておけます。対してバッチ・スパージングはスパージングのタイミングを見極める為、基本的にはロイター中は張り付いていなければなりません。

 

最後に麦汁の品質。

ややフライ・スパージングの方が優秀なようです。

諸説あるようですが、バッチ・スパージングの方がタンニンの溶出が多いとか。

理由はやや難解なので割愛させていただきます。

これは比べた事がないので何とも言えませんが・・・。

 

こんな感じでそれぞれに良い所、悪い所があるのですが、方法だけではなく、散布するお湯の質や温度なんかも麦汁品質への影響が大なので、一概にどちらが優れているとは言えません。

 

さて、少し話は逸れますが、なんとなーく「一番麦汁!」と聞くと凄そうなイメージが湧くかと思いますが、これはいわば言葉遊びです。

通常の一番麦汁はポリフェノールの量が少なく、綺麗な味わいであることは間違いないのですが、フライ・スパージングの場合は、そもそも一番、二番という区切りがありません。

そして鋭い方はお気づきになったかもしれませんが、一番麦汁はいくらでも増やせるのです。

仕込み水の量を増やしたり、糖化中にお湯をマッシュに足してしまえば、それだけ一番麦汁の量を増やす事が出来てしまいます。厳密に言えば仕込み水の量を増やして一番麦汁を沢山取る事と、スパージングを行って麦汁を回収することは麦汁の成分的にやや意味合いが異なるのですが、基本的にはお湯を足すのが早いか遅いかの違いだけです。

ですからひとくくりに一番麦汁だから良い、二番麦汁だから駄目、という訳では全くないと覚えておいてくださいね。

 

ちなみにNorth Islandさんとのコラボレーションで仕込んだThe 1stですが、このビールは正しく一番麦汁だけで造られたビールです。一番麦汁=1st wortだけを使っていることが1stの名前の由来のひとつでもあります。

それから昨年造ったImperial IPAもほぼ一番麦汁だけで造っています。正確に言えば4バッチ仕込んで、1バッチ目だけスパージングを行いました。諸事情でその後はすべて一番麦汁だけです。

 

なんだか上手くまとめられませんでしたが、今回は簡単なスパージングのお話でした。

それではまた次回。


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