日々考えていること West Coast Style その2

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その2は造りのお話です。

COEDOというか、植竹はWest Coast Styleが最も得意とするカテゴリーです。

定番で造っていないのに不思議なもんですが。

これは明らかにサンディエゴのブルワリーからの影響を受けての事です。サンディエゴのIPAばっかり飲んでいたので、自然とこうなりました。それからBallast Pointとのコラボが決定打となったと思います。

West to East IPAに始まり、Hoppy WInd Session Ale、Imperial IPAなどなど、アメリカンスタイルのビールは全部West Coastな仕上がりになっているはずです。その前に作ったBelgian IPAもサンディエゴのBelgian IPAに影響されて造ったので、West Coastの流れを汲んでいます。

最近では伽羅もWest Coastな雰囲気だという噂です・・・。

 

とにかくホップを沢山使うというのはWest Coast Styleの基本中の基本なのですが、実はそれだけではWest Coast足りえないのです。今やアメリカ全土どころか、ヨーロッパや日本でもホップの強烈なビールが造られていますが、いったい何が違うんでしょうね。

 

日本だけに限定されて話ではないと思うのですが、ビールの本にはよくこんな事が書かれています。

「高いIBUを支える為にはビールのボディも強くしなければならない」

West Coast Styleではこの定石を無視します。ボディなんか不要です。

苦いビールの何が悪いの?ホップ大好きだから苦ければ苦いほど、アロマが強烈であればあるほど良い、というのがWest Coast Styleの考え方です。

そもそもカラメル感や甘味というのはビールのボディを構成する一要素でしかなくて・・・あ~この辺のお話もちゃんと書きたいんです・・・。またそのうち。

 

ですからビールの仕上がりも徹底的にドライにします。

麦芽の配合やマッシングの温度、酵母の選定もドライに仕上げる事を前提に決めてゆきます。

 

ヨーロッパからの影響が強いアメリカ東海岸やもちろん日本でも、高いIBUのビールを造る時はカラメルモルトでボディをつけようとする傾向があるようです。ヨーロッパのビールはそもそもカラメルモルトを多用する傾向にあるので、その影響もあるのでしょう。

カラメルモルトを沢山使ったビールがどうなるかというと、色は濃く、甘く、カラメリックな仕上がりとなります。

IPAであれば甘くて苦いビールとなる訳です。

West Coast Styleを造る場合はとにかく甘味を切らなければなりません。したがってカラメルモルトを殆ど使用しません。

事実サンディエゴのIPAは非常に色が薄いはずです。

 

話がややそれますが高温多湿の日本にはドライなWest Coast Style IPAが非常に合うと思うんです。

ベタベタと蒸し暑い日には甘苦いIPAより、ドライでパリッと苦くシトラスの香りが爽やかなIPAを飲みたくなりませんか?

日本でもサンディエゴのビールが大人気なのは気候のせいもあるのかな、と思ってます。

 

話を戻しましょう。

私の場合はカラメルモルトは色の薄いものを、上限5%までの使用に留めます。

IBUが高いからと言ってボディを補うということは特に考えません。

ベースモルトの他に使用するモルトはWheatやMunich程度ですが、味わいに深みを与える為にこれだけで充分です。

 

マッシングの時の温度も62℃-65℃の範囲です。

低温でじっくり糖化させ、醗酵度の高い麦汁を造りだします。基本IPAを造る時はマッシュアウトもしません。

これはロイターリング中にもβアミラーゼをガツガツ働かせてとにかく醗酵度の高い麦汁を造るためです。

昨年見てきたサンディエゴのブルワリーでは、そもそもマッシュタンに昇温機構を持っていない設備が多かったです。いわゆるワン・ステップ・インフュージョンでの仕込みで充分だということです。

逆に必然的にマッシュアウトがなくなるので、結果ドライな仕上がりになっているかなと。

 

それから水ももちろん重要です。

そもそもIPAやペールエールなど、ホップの強いビールを造るのに軟水は向いていません。

というか、ジャーマンピルスナーですら本当はやや硬水の方が向いていると思っています。

という訳でIPAを造るときにはCacl2やCaSo4を使用してしっかりと水質調整をしてあげましょう。硬度だけではなくアルカリ度もしっかりと下げなくてはいけません。もちろん仕込み水だけではなく、スパージングの水にも気を使いましょう。

 

続いてイースト。

これはもう、健康なイーストを使用するということに尽きます。

基本はAmerican Ale Yeastと呼ばれる醗酵度が高く、クリーンな味わいのビールを醸し出すイーストを使用する事ですがEnglish Yeastを使用しているカリフォルニアのブルワリーも沢山ありますので、そこはあまり気にしなくていいと思います。

健康なイーストを使用して適切な管理をしてあげれば必然的に醗酵度は高くなり、綺麗な味わいとなります。

 

そしてWest Coast Styleの名物Hop Bombです。

当然のことながらガンガンドライホッピングを行います。

現在のWest Coast Style IPAの最低ドライホッピング量は500g/HLと言われています。

1klに換算すると5kgのドライホッピングが最低量ですね。

Double IPAになると750g/HLが最低量です。

御参考までに、昨年発売したImperial IPAは1100g/HLドライホッピングしています。

 

最後に最重要なことを。

徹底して雑味を切る事です。

代表的なオフフレーバーはもちろん、通常はオフフレーバーとみなされないものも徹底して排除しなければなりません。

ホップが強いからマスクされるのではなく、ホップを大量に使用するので通常であれば問題にならないホップの雑味が非常に強調されてしまうのです。

如何にして綺麗にホップの美味しい所だけ引き出すか。

それがWest Coast Styleたらしめる重要なファクターです。

どうしてもホップのキャラクターばかりが注目されてしまいますが、サンディエゴのブルワリーの根底にあるのは綺麗な味わいという事を忘れてはいけません。

どこまでいっても丁寧なビール造りが基本です。

 

ビールのスタイルというのは時間と共に変化していくのが普通です。

アメリカンスタイルがWest Coast StyleとEast Coast Styleに細分されてきたように、今後ますます多様に進化していくことでしょう。

2回に渡ってWest Coast Styleについて書いてみましたが、これは現時点での私の解釈です。きっと1年後にはまた違うことを考えていると思います。その時はまたその時点での考え方を書き散らかしてみます。

 

それではWest Coast Style IPAを美味しく飲みましょう!Cheers!

 

January 28th, 2014 ビアスタイル, 日々考えていること

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