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藤田こういちのベルギービール新書 10 -ビール と 人-

TRANSPORTER BEER MAGAZINE No.24(2019)

2022年 11月 14日 10時 03分 投稿 330 Views
 造り手の顔が見えるというのもクラフトビールの一つの楽しい要素ですよね。少なからずビールには造り手の想いやキャラクターが出るものだと思うので、今回はブラッセルズが輸入している醸造所に寄ってしまいますが、その人となりを少しご紹介できたらと思います。

 

” ファントム醸造所 ダニー プリニョン”

海外からはカリスマブリュワーのダニー、初めはちょっと人見知り、でも慣れてくると訪問もとても喜んでくれます。ところ狭しと動き回り、ビールや お菓子を出してくれたり、醸造設備の説明をしてく れます。が、自分のビールに関してはほとんど教え てくれません、質問してもうまくごまかされちゃい ます。でも仲良くなるとちょっとだけ教えてくれま す、笑。さながらお化け醸造所の魔法使いといった 感じですかね。。。

 

” ヴァプール醸造所 ジャン=ルイ”

輸入はしていませんが、水蒸気を使用した昔ながらの設備で醸造を続けるヴァプール醸造所のジャンルイ。僕が訪問した際は、俺は20 年以上この仕事をやっているが、(マッシングの最中)こうしてビールと向き合っている時が一番幸せなんだと言っていま した。彼が作るビールは唯一無二、絶対に真似でき ないでしょう。

 

” グラゼントールン醸造所  ジェフ&ディルク”

ジェフの見た目はもはや仙人。醸造学校の講師や書 籍の執筆など博識で、ビールに関する知識、こだわ りは相当なものです。そしてよく喋る。反対にディ ルクはジェフがいることもあってか、黙々と作業を します。あるブリュワーに聞いた話ですが、ジェフ は人のビールのことを悪く言わないそうです。これ は素晴らしいビールだ!でもねとその後にひと言、 改善点や意見など言うらしいのですが、なんともジェ フっぽいなあと。

 

” ブラッセルズビアプロジェクト  オリビエ& セバスチャン”

はじめはガレージでホームブリューから始めた 彼ら。知識もそうですが、そのクリエイティブで 前向きな仕事の仕方にいつも刺激をもらっています。 何よりオープンマインド。気は優しくて力持ちどち らかというと「静」なタイプのオリビエ、どんどん 前に出て行く「動」なセバスチャン、今後の展開も 楽しみです。

 

” デュポン醸造所 オリビエ デュデケール”

非常にストレートな真面目な性格のオリビエ、ほぼ 毎年訪れている自分にも丁寧にブリュワリーやビー ルのことを説明してくれます。最近は行く度に醸造 所が大きくなっています。印象に残っている言葉、 生産量が増えてもクオリティが第一、それができな くなるようなことは決してしない。セラーの中のビー ルはどんなに急ぎの注文が入っても、ビールがちゃ んと「できる」までは決して出荷しない。他にもいくつも彼のこだわりがありますが、全て美味しいビー ルを作るためのもの。

 

“ドクトルヴァンドゥコールナール醸造所  ロナルド メンゲリンク”

彼のビールの味はもちろんですが、そのネーミング センスにも惹かれます。たとえばLa Renaissance (ラルネッサンス)とか、Noblesse( 気高さ) とか。 ロナルドさん曰く、寝る前にふと思いつくんだよと のこと。また長い醸造所の名前は訳すと、「麦の穂 の娘」の意味。その昔カール皇帝がワインよりもビー ルが好きだと言ったという伝説に基づいた名前なの ですが、彼曰く、なんてことはないただの「ビール」 という意味だよと。あまり多くを語らないのも彼の 美学なのかもしれません。

 

” グーズリーティルカン ピエール ティルカン”

はじめて訪問した時には、ブレンダリーがとても綺 麗で、清潔で驚きました。生産量が追いつかずどん どん拡大していますが、それでもバレルやタンクが 理路整然と並べられその清潔さは変わりません。そ んなところからもわかるようにピエールはとても几 帳面。書類やメール一つとってもその丁寧さがわか ります。一緒に食事をした際に骨が多いうさぎのグー ズ煮込みを上手に丁寧に食べていてすごいと思いま した。あとはベルギーなのにEnglish beer Festival を自ら主催しちゃうくらいなので、ちょっと変わっ ている?のかな、笑。

 

” ブロウジ醸造所 ピエール=アレックス”

あるビアフェスであった時は「アイノウユー、わは は、わはは」と肩をポンポンと叩いてくれ、醸造所 へ訪問した時もとても喜んでくれました。コラボビー ルの話を聞いた時も、ヒルファームステッドのショー ンが来た時はたくさんホップを入れようとするから、 ノーノーそんなに入れないでよ!と言ったんだよ! ワハハと。今度はレストランで一緒にご飯を食べよ う!と、どこまでも優しい、田舎のお父さんのよう な感じ。でもメールは苦手なようで?全て奥様が対 応。だからこそ彼と話すのは貴重な体験です。

 

” ホフテンドルマール醸造所  ジェフ&ドリー兄弟”

もともと農家のホフテンドルマールは弟のジェフが ブリュワーでお兄さんのドリーがファーマーです。 兄弟で性格が違うのはよくありますが、ジェフはア メリカを中心に他の国のビールをとてもよく勉強し ていて、ミードなども作ったりしています。見た目 も結構イマドキな感じ。お兄ちゃんのドリーは素朴 な感じで、大きな馬を扱ったり、ホップを作ったり していますが、最近は醸造の手伝いもしているよう です。彼らを見ているとビールが農産物であることを感じます。

 

” サンフーヤン醸造所 アレクシ ブリオル”

ベルギーのベストブリュワーにも選ばれたこともあ るアレクシ。彼がビールについて話す時と、ビール を造っている時はいつもこちらがたじろいでしまう ほどの真剣な眼差し、でも一旦そこを離れるととて もチャーミングな性格で、一度ランチをご一緒した 時にすごい大きなステーキを食べていてびっくり! 笑

 

” アベイデロック醸造所 ナタリー・ジョージ”

いつもこの辺りはレストランがないからごめんねと ビールとパンと地元のチーズなどで迎えてくれるナ タリー、それが僕らにとってはご馳走です。ジョー ジはいつも側で静かにナタリーを優しく見守ってい る感じ。いつもにこやかで、ビールにもその優しさ が滲み出ているような柔らかさ。ビールにはナチュ ラルなものしか使わない、バランスも大切ね。アイ ライクビア!と、グラスを傾けます。

藤田 孝一
Koichi Fujita
セゾンデュポンなど数多くのベルギー ビールを輸入するブラッセルズ株式会社 取締役
【Facebook】 https://www.facebook.com/brussels.jp/
【Beer Bar BRUSSELS】 http://www.brussels.co.jp/
【輸入部オンラインカタログ】 https://www.brussels-import.com/
     

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