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Brewery inGerman -CREW Republic-

TRANSPORTER BEER MAGAZINE No.12(2016)

2022年 11月 14日 10時 02分 投稿 585 Views
 ビール好きであれば一度は聞いた事があるであろう「ビール純粋令」。今年2016 年はドイツでビール純粋令が発布されて500 年の記念すべき年だ。ドイツ国内に1300 以上あると言われる醸造所は今もビール純粋令を守ってビールを造っている。世界ではクラフトビールが席巻している中、ドイツでは今なおビール純粋令が重要視され、水、麦芽、ホップ、酵母以外を使ったものは「ビール」と認められづらく、その影響でヴァイツェンやヘレスなど伝統的なスタイルが主流。そんな中、ここ数年は伝統的ドイツビール以外のビアスタイルに目覚め、従来ドイツにはなかったスタイルのビールを醸造する醸造所が増えてきている。
 特にビールの都ミュンヘンでは大手メーカーが圧倒的なシェアを占めている中で「新しいバイエルンビールの文化を!」という志のもと、創設されたブランドが「CREW Republic(クルーリパブリック)」だ。まだ若いブルワリーだが地元ミュンヘンの若者からは早くも絶大な人気を獲得し、市内のバーではクルーリパブリックのビールを飲む若者で溢れ、日本に輸入が開始されてからも新しいドイツビールとしてビールファンを虜にしている。

 ミュンヘン中央駅から車窓の景色に心癒されながら電車に揺られる事30分、ウンターシュライスハイム駅に到着。

 歩いていると自転車に乗っている老婦人に「そこは自転車のレーンだよ」と教えられる。歩道と自転車用通路がしっかり区別されており、いつの間にか自転車用通路を歩いてしまっていたらしい。そんなこんなで町並みを楽しみながら歩いていると森というのは大げさだが林の中に突然現れるブルワリー。中に入るとスタッフの明るい挨拶に緊張がほぐれる。

ブルワーのマットにブルワリーを案内しても らいながら、なぜ厳格な法律があるドイツでクラフトビールを醸造する事にしたのか質問して みた。

 「ビール純粋令がある事でドイツビールは世 界でとても成功している。そしてクルーリパブ リックは世界で広がるクラフトビール文化と伝 統的なバイエルンのビール文化を繋ぎたいと 思っているんだ。」

 マイクロブルワリーといっても4キロの発酵タンクが6本の他に大小様々なタンクがあり規模は思った以上に大きい。海外輸出は少なめだがその中に日本を選択してくれているのが嬉しい。イギリス等、海外のビール市場にも求められておりアメリカにも近いうちに登場しそうだ。

 テイスティングしてみると驚きの連続。定番ビールの中でも特にMunich Easy というイングリッシュゴールデンエールは焼きたてのパンのような香り、スムースでいてしっかりした麦のインパクト、その上でバランスが心地よい。ホップは必要以上には利かせず、麦の味を味わってもらう為のさじ加減程度に押さえられビール純粋令へのリスペクトが存分に感じられジャーマンゴールデンと言って過言ではない。日本でもおなじみDRUNKEN SAILOR もアメリカンIPA 程効き過ぎない洗練されたホップの香りが絶妙。香りと調和したモルト、スムーズで引っかかりの無い喉越し、余韻の満足感、一番人気も納得のフラッグシップビール。ダブルIPAの7:45ESCALATION はベースモルトの骨格がしっかりと感じられ苦みと甘みが広がる。ダブルIPA だけにホップも華やかだがアメリカとは違う独自の雰囲気を醸し出している。

 CEO のティムのオススメであるRoundhouse Kick は見るからにパンチのあるインペリアルスタウト。一見コーヒーのような味わいかと思いきやローストした麦の香りがしっかりとしていながら酸味と苦みがちょうど良い。

 名前はついていないがシーズナルで作られたベルジャンスタイルバーレイワインは10%以上のアルコール感を感じさせずベルジャン酵母の香りとモルトを際立たせるバランス感が新しい。バーレイワイン特有の甘い香りもありながら甘み自体は行き過ぎずスルスル飲める恐ろしいビール。伝統と革命が交わったような味だ。こちらは限定のX シリーズから販売される予定だが日本へ輸出されるかはもう一人のCEO マリオ次第との事。日本で飲める事を願わずにはいられない。

最近のドイツのビールシーンについてもたずねてみた。

 「クルーリパブリックは2011 年創業。ドイツでクラフトビール革命を起こそ うとする先駆者の一人だった。それ以来、ドイツの多くの醸造家が革命に参加 してくれたと思っている。そのおかげでクラフトビールを飲む人が少なくとも、 それについて興味を持った人が増えているんだ。ドイツクラフトビールとして 人気が出る転換期が2017 年じゃないかと推測している。もはや誰もドイツで のクラフトビール革命を止めることはできないよ!」

 ドイツでも大小の様々なブルワリーが増え続ける中、今後も間違いなくドイツクラフトビール業界を牽引するであろうクルーリパブリック。彼らのビールは決して他のクラフトビールシーンの真似をしているわけではない。もちろんリスペクトはしているが、その味わいには全てに共通して「モルトの大切さ」を感じさせ、あくまで骨の髄はジャーマンなのだ。

 「革新的なドイツのクラフトビールをドイツだけでなく世界的に知ってもらえ るように最高のビールを作り続けるよ!」

伝統的ジャーマンスタイルではないビールを作る時も頑なに純粋令を守る ジャーマンクラフトの革命児の今後が楽しみで仕方が無い。

CREW Republic Brewery GmbH
Andreas-Danzer-Weg 30 85716 München/Unterschleissheim
■問い合わせ先 株式会社KOBATSU トレーディング
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