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『クラフトビールを学ぶ旅』 -From issue 19-

全国の気になる クラフトビール醸造所を巡り、その魅力や驚きをリポートします TRANSPORTER BEER MAGAZINE No.19(2018)

2022年 11月 14日 10時 02分 投稿 613 Views

「訪れた場所」
MARCA

2015 年4 月15 日、大阪市堀江に大阪初のブリューパブを開業。同 時に300L 仕込みの設備でクラフトビールの醸造を開始。小規模醸造所ながら出荷に力を入れており、 月6液種ほどをリリース
月~金/ 18-23 時
土 / 15-23 時
日 / 15-21 時
(ラストオーダーは閉店30 分前)
大阪府大阪市西区北堀江 3-7-28 1F
☎ 06-6710-9487

「ビールを造っている人」
神谷みずき

神奈川県横浜市生まれ。武蔵野美術大学造形学部工芸工業デザイン学科卒業後、トヨタ自動車株式会社デザイン部入社、6年間在籍。 退社後、ダイハツ工業株式会社デザイン部入社、6年間在籍。退社後、 MARCA を立ち上げ、現在に至る。

大阪は北堀江。かつては多くの家具店が軒を連ね賑わいをみせていた街として有名なこのエリアは当時の面影を骨組みに残しつつも、近代的なアプローチによるリニュアールが施された素敵な建物が多く立ち並ぶ。そんなアーバンなエリアでクラフトビールを醸造している『MARCA』。

自らがオーナーでありブリュワーである神谷みずき氏は他の例に漏れずユニークな生い立ちを経てクラフトビールの世界へと辿り着いた。そんな彼女にとって日常と化した醸造を始めたキッカケとは…「なんとなく次はビール屋さんかな?」という当時28 歳の漠然としたインスピレーションが、何しろ造ることに携わることが自分にとっての才能であり、企画/製造/販売までを一貫して自分の考える理想の形に造り上げることができたら幸せだなという想いがやがて大好きなビールでそれを実現したいと目論むまでに膨らんだ。

30歳を境に『やりたいこと全部35 歳までにやる』と決め、『やることリスト』を作成。アンコールワットへの一人旅から乗馬に至るまでつつがなく様々なタスクをこなした後、最大の目標である醸造所立ち上げがやはり一番時間がかかりそうであると察し起業を決意。相談役である * カミカゼ 林さんのアドバイスを基にその道を歩み始める。普段は真面目に会社員を続ける日々。あらゆる休日を開業の為の準備と全国の醸造所への訪問に費やす。

計画を始めて間もなく貯めておいたお金で中古醸造設備をカナダから直接輸入するといった無茶な動きも含みながら結局は二年ほどで開業にこぎつけることが出来た。振り返れば沢山の人にお世話になったお陰という想いが在る中でやはり直面した問題は『お金』。予算オーバーはありがちな話なのだが当時は会社員であることで副業が認められず、起業が中々進まない。さらにまだ若い事もあって社会的信用が低かったことも資金調達の足かせの一つとなった。やがて会社の設立と同時に醸造をスタートしてからは何が大変だったか?と尋ねると、

「始めてみて気づかされる事が次々と露になり、経営者としてブリュワーとして少なくとも予想の3 倍は仕事があった。クラフトビールを自分の日常に添えた上で自らが造りたいと思う理想の形を具体的にイメージする。しかしビール造りは常に変化を伴い正確な答えを得るのがとても難しい。『MARCA』 という空間は私にとって実験場であり試行錯誤の連続なのです」と。

自身は将来はどうなっていたいか?の問いには「もう少し色々な事業をやってみたい」とひょうひょうと語る彼女。クラフトビールの事ではないんかい!と思いつつもそんな破天荒な彼女の次なるアクションが待ち遠しい。

* KAMIKAZE
国内外のクラフトビールを取り扱うビアパブ
〒550-0014 大阪府 大阪市 西区 北堀江1丁目22-21ヒフミヤビル1F
TEL: 06-6539-7550

 

□ 恒例イベント
月一で公開仕込みをやっております。だいたい第二土曜日10 時から。
□ MARCA で一番好きなビール
決められませんが セゾン かなあ
イメージしていた味に最初からパチっとはまるレシピになったから
□ これからブリュワリーを立ち上げる人にアドバイスをするとしたら?
生活の糧を他に持っておくこと
     

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