
20 JUNE 2026 vol.128
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世界で最も高価なビール缶は、1950年代の「Chief Oshkosh Crowntainer(チーフ・オシュコシュ)」で、オークションにて約111,150ドル(約1700万円)で落札され、ギネス世界記録にも認定されました。 https://www.antiquetrader.com/top-auction-records-of-2025
日本への影響を考えると、実はアメリカ以上にクラフトビール業界へ影響が出る可能性があります。
なぜなら、日本のクラフトブルワリーの多くはアメリカのような大規模製缶メーカーとの直接取引ではなく、缶メーカーや商社を通じて少量ロットを購入しているからです。
実は日本にはアメリカのようなEPR制度(※)がなくても、
(※EPR:Extended Producer Responsibilityについて:詳しくは6月19日公開の記事を参照ください)
・「容器包装リサイクル法」(https://www.jcpra.or.jp/law/)
・「資源有効利用促進法」(https://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/admin_info/law/02/)
・「プラスチック資源循環促進法」(https://plastic-circulation.env.go.jp/)
などが存在し、すでにメーカー側は一定の負担をしています。

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info@craftbeertransporter.com
そのためアメリカのような急激な制度変更は起こりにくいでしょう。
しかし問題は別の場所にあります。
日本のクラフトビールはアルミ缶依存が進んでいる
2018年頃までは瓶主体だったクラフトビール業界ですが、
・コロナ禍
・EC販売拡大
・Hazy IPAブーム
・缶充填機の普及
によって急速に缶化が進みました。
現在では新規ブルワリーの多くが缶中心です。
つまり、日本のクラフトビール業界も、「アルミ缶がないとビジネスが成立しない」状態になっています。
いまさら聞けない缶製品のメリット
・瓶と比べて 缶は圧倒的な物量コストが下がります。瓶より軽くて重ねることができる缶は運送料金を抑えることができるからです。また瓶は割れてしまうリスクがあるので梱包する必要があります。

アルミ価格の上昇がもたらす、世界缶戦争の勃発の可能性
一番怖いのは世界的なアルミ缶争奪戦
仮にアメリカでEPR規制が本格化し、
コカ・コーラ(Coca-Cola/世界清涼飲料水シェア1位)
ペプシ(PepsiCo/世界清涼飲料水シェア2位)
ネスレ(Nestle/世界清涼飲料水シェア3位)
ダノン(Danone/世界清涼飲料水シェア10位)※順位は2024年度
などがペットボトルからアルミ缶へ移行した場合、世界中でアルミ需要が急増します。

すると何が起こるか?
クラフトブルワリーが使う缶の価格が上がります。
これは2020〜2022年に実際に起きました。
当時は
・缶不足
・最低発注数量増加
・納期数か月待ち
が発生しました。
大手メーカーへのアルミ出荷が優先され、小規模ブルワリーが後回しになったのです。
日本で起こる可能性
今後5〜10年で考えると、
シナリオ① 「缶価格上昇」
最も可能性が高い。
350ml缶や500ml缶の調達コストが上昇し、クラフトビール価格にも転嫁される。
シナリオ② 「リターナブル瓶復活」
欧州では再利用瓶が見直されています。
輸送距離の短い地域密着型ブルワリーでは、「缶よりリターナブル瓶」という考え方が再評価される可能性があります。
いまさら聞けない「リターナブル瓶」
「リターナブル(Returnable)瓶」は、国内大手ビールメーカー5社(キリン・アサヒ・サッポロ・サントリー・オリオンビール)が採用しているもので、ビールが入れられて販売・流通・消費されたあと、回収業者や酒屋さん、一部の自治体によって回収→専用の業者によって洗浄→ビールメーカーに戻り、再度ビール瓶として使われる瓶のことです。
大手5社のうち、キリンは独自のリターナブルびんを使い、他の4社は共通のリターナブル瓶を使っているそうです。日本では、ビールびんは「3R」という言葉がなかった明治時代から回収され、何度も使われてきました。瓶の平均寿命は約8年、回数にすると約24回再使用されます。
本テキストは以下キリンホールデイング株式〈容器包装の取り組み〉のページを参照にしています
https://www.kirinholdings.com/jp/sustainability/materiality/env/3_3a
シナリオ③ 「紙容器や新素材」
北欧では紙ベース容器の開発が進んでいます。
ただしビールは酸素と光に弱いため、すぐには主流にならないでしょう。

シナリオ④ 地産地消型モデル
輸送そのものを減らす考え方です。
地域内販売を強化し、「遠くへ運ばない」
ことがサステナビリティになる時代です。
クラフトビール業界30年の変遷 20年前・10年前・次の10年
Transporter的に注目すべき視点
面白いのは、
20年前のクラフトビール業界は「どう売るか」を考えていました。
10年前は「どんなIPAを造るか」を考えていました。
そして次の10年は「何に入れて売るか」が競争力になるかもしれません。
ビールそのものではなく、容器が経営を左右する時代です。
もしかすると2030年代のクラフトビール業界では、
「最高のIPAを造るブルワリー」ではなく、「最も持続可能なパッケージングを実現したブルワリー」が評価されるようになるかもしれません。
これは単なる環境問題ではなく、クラフトビール業界の未来そのものを左右するテーマだと思います。
いきなり雑学で恐縮です Beer Trivia
世界中にコレクターがいる〈ビア缶コレクション〉。
ビア缶コレクターにとっての一番の悩みは 「自分の死後、自分が集めた空き缶を家族は一切ためらわずにゴミに出すだろう」と言うことです。
また生前の悩みはプルタブの部分を未開封の状態にしたいので、まず缶の裏に缶切りで二か所穴をあけて その穴から飲むため、ビール缶を開ける際の「プシュ」と言う感動体験をほぼ体験していないという不条理なビール人生。
私が知る限りの情報で恐縮ですが そのビール空き缶コレクター先駆者の一人が N倉さん(鎌倉暇人部落格・2)です。付き合いは40年以上になります。1980年代、当時、若者に絶大な人気を誇った雑誌「POP EYE」でコレクター特集のページを飾りました。

Nさんは「BCCJ(Beer Can Collctotord Club of Japan)」の会員でした。
BCCJはビールの空き缶をこよなく愛し、それを集めることに至上の喜びを感じる人々の集まりです。 ビア缶収集は日本ではまだマイナーですが、欧米ではかなり一般的なホビーです。 BCCJの歴史は20年以上、実働メンバーは全国で約30名。
HP:http://blog.livedoor.jp/bccj/
※このテキストは編集部が原稿を構成しています。写真や資料の引用についてはその引用先を明確にして、細心の注意を持って情報を取り扱っていますが、不備な点等 ございましたら何なりとご一報ください。訂正、又は削除致します。

