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『クラフトビールを学ぶ旅』 -From issue 21-

全国の気になる クラフトビール醸造所を巡り、その魅力や驚きをリポートします TRANSPORTER BEER MAGAZINE No.21(2019)

2022年 11月 14日 10時 02分 投稿 49 Views

 

「訪れた場所」
Octagon Brewing

静岡県浜松市に 2018 年 2月にオープンしたブリューパブ。“Drink with Neighbors”(隣人と飲もう)をコンセプトにbrew local, drink localを推奨。
月、水、木/ 18-23 時
金/ 18-24 時
土/ 17-24 時
日/ 15-21 時
静岡県浜松市中区田町 315-25
☎ 053-401-2007
http://www.octagonbrewing.com
e-mail:info@octagonbrewing.com

「ビールを造っている人」
千葉恭広( ちば やすひろ)

大阪にある工学系大学を卒業後 2002年に渡独。語学習得を経て ミュンヘン工科大学のビー ル醸造 学部に入学しビール醸造を基礎か ら学ぶ。2017 年12月より Octagon Brewing のブルーマスターに就任。

「経営をしている人」
平野啓介( ひらの けいすけ)

都内の大学院を卒業後、金融機関 にファンドマネージャーとして7 年半ほど勤務。2011年に家業を引 き継ぐ形で丸八不動産株式会社の 社長に就任。特に都市再生事業に 力を入れている同社は地元浜松の 特徴を活かしたまちづくりの一環 としてOctagon Brewing を創設。

浜松と言えば浜名湖の鰻や餃子で有名な街と知られているが意外と知られていないのは静岡県で一番人口の多い市でもある。そんな大都市にて2018 年2 月に初めて出来たブリュワリーそれが『Octagon Brewing』である。オーナーの平野氏はお酒が全く飲めないという所謂下戸(げこ)。にも拘らず、何故ブリュワリーの起ち上げを思い立ったのか?

自転車レースが趣味である氏の仲間にはビアギークが多く、不動産事業を営む会社の経営者の傍ら仲間との遠征に同行する際には現地のブリュワリーへの訪問がお決まりである彼らの格好の「運転手役」としての側面も担っていた。そこで連れて行かれた(連れて行った)クラフトビールのブリュワリーの多くは立地的に決して利便性の高い場所にあるわけでもないのに何処も多くの客で賑わう様を目の当たりにし「クラフトビールには人を集める力がある。」そう確信したという。そんなタイミングに本業で取得した浜松市内の古いビルの再生方法を模索する中「ブリュワリーをやろう」と決断。「クラフトビールが持つ “Local” というキーワードは都市再生や不動産業とも共通するものがあり、自分たちが取り組むべきビジネスだ」という思いが氏の心を大きく揺さぶった。しかし肝心のブリュワーに当てはなく、一から探すのと並行して着手しなければならないブリュワリー設備の選定や併設するブリューパブの内装など、全てが想像と試行錯誤の積み重ねであり非常に苦労した様だ。Outsider Brewingの丹羽氏、MARCAの神谷氏をはじめ多くの先輩ブリュワーの方々からのアドバイスを基に醸造設備とデザインが決まり内装工事もいよいよスタートという段階に差し掛かる頃、念願のブリュワーである千葉氏との出会いを果たしオープンへとこぎ着けた。

オープンまでに大変だった事は? と尋ねると「幸いなことに本業の業種柄すでに開業予定地を所有しており、建築や設計にも明るく、また社員には行政との協議の知識に長けた人物もおり、事務手続きの面で苦労をしたということはそれ程無かった」との事。「ブリュワーを探す事やオープンしてからのほうがよっぽど大変(笑)で。醸造に関しては数学等と違い公式通りには答えが出ない事や知識に限らず経験や勘等ありとあらゆることを惜しみなく注ぎ続けななければならない事。衛生面をきちんと管理する事が基本等など…色々な出来事に注意や関心を払う事が大事で一番気を使っている」と。

最後に今後の展開について尋ねると「有り体な言い方になってしまうがやはり『地域に根ざし、地元の人に愛され、誇りに思ってもらえるブリュワリー』であり、また『僕らの作るビールを飲むために浜松に遊びに行く』という人が沢山居るブリュワリーになりたい」と語ってくれた。「そしてこれからも美味しいビールを作るための勉強を続け、できることなら醸造所のバッチサイズが今よりも大きくなると嬉しい。」とも。彼らは常に地元愛に溢れ「LOCAL = 浜松」をクラフトビールで繋げたいと考えているようだ。

* Outsider Brewing http://outsiderbrewing.jp
* MARCA http://beermarca.com/

 

□ 恒例イベントは?

オフフレーバーや熱劣化などビールのとを更に学ぶためのワークショップや、レアなボトルビールをみんなでテイスティングする大瓶会などを定期的に開催しています。それとミッケラーランニングクラブじゃないですがオーナーの趣味が自転車なのでサイクリングクラブを不定期に開催しています。

□ Octagon Brewing でおススメのビールは?

これが好きだ!と言い切れるビールはありません。力不足の為、自分が100% 満足できるビールが造れていないのが理由ですが生きている間に一度でもそういうビールが造れるようにと日々精進しています。

□これからブリュワリーを立ち上げる

人にアドバイスをするとしたら?

【平野氏】

酒税法改正の関係もあり昨年度は僕たちを含めて本当に多くのブリュワリーができました。もしかしたらクラフト ビールファンの数に対してブリュワリーは既に供給過多かもしれません。ブリュワリーは設備産業なので初期投資がかかります。自分ひとりが食べていける売上利益で構わない、だとしても明確なコンセプトに加えてどういう販路が自分にはあるのか?これをよく考えておく必要があると思います。

【千葉氏】

ビール造りという観点からはビール造りを作業からの観点だけでとらえるのではなく、その作業の裏にある、なぜ?という部分にまで着目して理解をしていっていただけたらと思っています。他には沢山のブルワリーを見て廻る事を勧めます。どのブルワリーも日々切磋琢磨しており、その中で生み出された様々なアイデアが醸造所には散りばめられているので現場を一つでも多く見て体験すればブルワリー起ち上げにとても役立つと思います。

     

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