"Is there 'culture' beyond 'sales'? Beer pubs and breweries speak candidly about the current state of craft beer."

過去に公開して、アクセス数の高かった記事を再編集して、さらに読み易くしています。

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Hazy IPAブーム、限定醸造競争、ラガー回帰、そして“ネオクラシックIPA”の復権——。

消費者の裾野が広がる一方で、クラフトビールは「作品化」と「日常化」の狭間に立っている。

今回の対談では、ビアパブの最前線を知る城戸氏と、ブルワリーとして品質と再現性を追求する坂井氏、そして司会・田嶋が、“売れるビール”と“良いビール”の違いから、これからのクラフトビール文化までを深く掘り下げた。

そこから見えてきたのは、単なる流行ではない、“文化としてのクラフトビール”の姿だった。

https://www.70beersontap.com/

「スタッフが薦めやすい」が、売れる理由になる。

まず最初に聞きたいのは、「今ビアパブは何を求めているのか」という部分です。(田嶋)

特に、“売れるビール”と“良いビール”は同じなのか——。

城戸さんはどう考えていますか?

「僕は、多くのお客さんって、まだクラフトビールを完全には理解していないと思ってるんですよ。例えば、「ベルジャンホワイト」や「ピルスナー」って名前は知っている。でも、“それがどういうビールなのか”まで理解している人は少ない。

だから実際には、ブルワリー名じゃなく、“スタイル”で選ばれていることが多いんです。

お客さんが「飲みやすいビールありますか?」って聞いた時、スタッフが「じゃあベルジャンホワイトですね」って薦める。

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もちろん、薦めるためには一定以上の品質が必要になる。
だから、“売れるビール=良いビール”というのも、あながち間違いじゃないと思っています。“売れないけど素晴らしいビール”は確実に存在する

ただ一方で、“売れないけど、本当に良いビール”っていうのもあるんですよ。例えばストロングエールやバレルエイジ系。大量には売れない。でも、素晴らしいビールが本当に多い。最近はインポーターも、「売れないから」という理由で、そういうビールをあまり入れなくなりました。でも、僕らはずっと「入れてほしい」と言い続けている。需要は少ないかもしれない。でも、【売れない=価値がない】ではないということは、伝え続けたいですね。(城戸)

IPA一強時代は終わったのか?Hazy IPAブームの、その先へ

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「減りました。理由は単純で、クラフトビールの裾野が広がったから。以前は“IPA好きのコア層”が中心だった。でも今はライトユーザーも増えて、“とにかくIPA”という時代ではなくなってきた。」(城戸)

うちもIPAはそこまで多くないですね。セッションIPAを含めても、全体の2〜3割くらい。やっぱりクラシックなレギュラービールの需要は強いですし、うちはラガー系が得意なので、自然とそこが中心になっています。(坂井)

「派手さ」より「日常性」クラフトビールは今、“驚き”だけではなく、“日常的に飲めるか”が問われ始めている。

Hazy IPAやスムージービールが市場を席巻した一方で、今再び注目されているのは、ラガーやペールエール、ウェストコーストIPAといった“骨格のあるビール”だ。

一度派手な方向へ振れた市場が、再び“飲み続けられるビール”へ戻り始めている。

「文化を作るのか、ブームを作るのか」“限定ビール競争”への違和感があります。今、シーズナルばかり作るブルワリーが増えすぎてると思うんですよ。“1回作って終わり”のビールですね。もちろん刺激としては面白い。でも、そればかりになると、“文化”じゃなくて“ブーム”を作ってるだけになる。

本来は、一つのビールを何度もブラッシュアップして、磨き上げていくものだと思うんです。

そしてお客さんに「やっぱりあのビールだよね」って思ってもらえる。僕は、その積み重ねこそが“文化”だと思っています。

“無意識にグラスが空になる”ビール僕にとって良いビールって、“無意識にグラスが空になるビール”なんですよ。(城戸)

「あれ、もうなくなってる。もう一杯飲もう」そう思わせるビール。あるいは数日後に、「あの時のビール、また飲みたいな」って思い出してもらえるビール。

それが、本当に良いビールなんじゃないかなと思います。「骨格」がなければ、文化は残らないし、強いては「Hazy IPAしか作れないブルワリー問題」(城戸)

Hazy IPAしか作ってないブルワリーに、「じゃあペールエール作ってみて」って言うと、意外とできない土台がないんですよね。うちはまず、ペールエールとIPAをちゃんと作れるようにしよう、というところから始めました。

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レシピを何度も変えて、積み重ねて、ようやく安定してきた。骨格を作ってから肉付けしていく。やっぱりそこが大事だと思います。

海外と日本のクラフトビール、何が違うのでしょう?(田嶋) 

日本と海外の差って、やっぱり“歴史”なんですよ。あと、日本はホームブルーイングが認められていない。つまり、“練習”ができない国なんです。アメリカでは、趣味で何年も作ってきた人がブルワリーを始める。でも日本は、昨日までIT企業にいた人が、明日からブルワーになることもある。よく言うんですけど、日本のクラフトビールって、“少年野球”の経験がない人が、いきなりプロ野球”デビューなんですよ。

アメリカ製造のビールは、なぜ強いのか

ブラインド(blind/覆い隠す)」で飲んでも分かります。(城戸)

「このレベル、日本ではまだ難しいな」っていうビールは、やっぱりアメリカだったりする。

もちろん、日本に入ってくる時点で厳選されてる部分もあると思います。でも、それを差し引いても、向こうのクオリティは高い。輸入されて多少劣化していても、「これで劣化してるの?」って思うくらい美味しいものがありますからね。

やっぱり経験値の差は大きいと思います。(坂井)

※「TOP NOTE」一番初めに感じる香り

今のクラフトビールって、トップノートだけ派手なものが多いんですよ。香りはすごい。飲んだ瞬間もいい。でも、飲み込んだ後のアフターテイストが美味しくないし、“渋み”を“苦味”だと思ってる人が、本当に多い。(城戸)

「苦味」と「渋み」は違うんです(城戸)

いまさら聞けない“渋み”と“苦味”の違い

「苦味」(Bitterness)「渋味」(astringency)は、それぞれ異なる性質を持ちながら、味の複雑な風味を形成する上で欠かせない要素です。「渋味」は爽やかな味わいであり、「苦味」は旨味や甘みを引き立て、後味のキレを良くする役割も果たしています。

でも、良いIPAって、最後まで綺麗なんですよ。「パブとブルワリーは、一緒に作るもの」

「フィードバックで怒るブルワリー」がいるのには驚きです。味の感想を伝えると、「うちはそんなビール作ってない」って怒るブルワリー、結構あるんですよ。

でも、工場で飲む味と、パブで提供される味って違う。タップから出てきて、初めて完成形なんです。だから、本当はブルワー自身がパブで飲むべきだと思う。ビールって、“造って終わり”じゃないんですよ。

一言で言うと、“綺麗”ですね。先ほど話した“トップノートだけ派手”なブルワリーが多いなか、FUJI PREMIUM BREWINGのビールは アフターテイストも上手くつくられています。その辺りを評価して、今回、POPEYEでも取り扱いを始めました。

大手ビールより一歩上。でも、尖りすぎたクラフトでもない。ちょうどその間にいる感じ。   

例えばピルスナーなら、もっとホップを効かせて“イタリアンピルスナー”寄りにしても面白いと思うし、ベルジャンホワイトももっと濁らせてもいい。でも、そういう発想って、パブと一緒に話すから見えてくる部分もあるんですよ。

クラフトビールは今、“派手さ”から“本質”へ戻ろうとしている。

限定競争、SNS映え、希少価値——。それらを否定するわけではない。

しかし今回の対談で繰り返し語られたのは、“飲み続けられるビール”の重要性だった。

「無意識にグラスが空になるビール」「また飲みたいと思い出されるビール」「骨格のあるビール」

それは、単なる流行ではなく、“文化”として残るための条件なのかもしれない。クラフトビールは今、次のフェーズへ向かおうとしている。

FUJI PREMIUM BREWING

静岡県・御殿場市を拠点に醸造を行う「FUJI PREMIUM BREWING」のブルワー坂井氏。

 坂井修文|FUJI PREMIUM BREWING」の代表でありブルワー。初代横浜ビール初代ヘッドブルワ―を経験し、 御殿場高原ビール、DHCビールを経て現在に至る。日本クラフトビール黎明期からビールをつくり続けてきた。 派手さよりも“再現性”と“綺麗な味わい”を重視し、分析や微生物管理を徹底した品質設計を行う。ラガーやベルジャンホワ イトなど、 日常に寄り添うクラシックスタイルに定評があり、「骨格のあるビール」を追求し続けている。近年はパブとの対話を通じた新しいビール作りにも積極的に取り組む。

公式URL:https://fujipremiumbrewing.jp/

麦酒倶楽部ポパイ

2代目マスターの城戸弘隆さん。ポパイとともに23年。


日本クラフトビール黎明期から国内外のビールシーンを見続けてきた存在で、鋭いテイスティング能力と豊富な知識に定評がある。流行だけに流されず、“何杯でも飲みたくなるビール”を重視し、クラシックスタイルやストロングエール、バレルエイジビールの魅力を発信。パブとブルワリーをつなぐキーパーソンとして、現場目線からクラフトビール文化を見つめ続けている。

住所:東京都墨田区両国2-18-7

アクセス:JR総武線『両国』駅(東口)徒歩2分/都営大江戸線『両国』駅(A4出口)徒歩8分

営業時間:15時00分~23時30分(土曜・祝日は14~23時30分)/フードL.O.22時30分、ドリンク22時45分/定休日は日曜

公式URLhttps://www.70beersontap.com

「麦酒倶楽部ポパイ」の創業者で、昨年11月9日に73歳で亡くなった青木辰男さんをしのぶ会が今年1月25日、同店で行われた。当日は全国からゆかりの深い醸造家や飲食店関係者、常連客ら約200人が参列し、青木さんに花を手向けた。

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