We are looking for a beer that only we can create.

アメリカ発のクラフトビールやブルワリー、ビール文化を中心に発信する、人気のデジタルライフスタイルマガジンです。

早く涼しくなって欲しいと思いつつ 8月の終わりは少し寂しい気持ちになります。 本日も毎日更新

https://www.hopculture.com/

Hop Cultureが発表した「The Best Breweries to Watch in 2026」。

アメリカと世界から、これからさらに伸びそうなブルワリーを選んだリストだ。

彼らには、それぞれに「なぜ、このビールを造るのか」という理由がある。

フィンランドまで行って、古い大麦品種を探す。(※)

元Pilsner Urquellの醸造家から技術を学ぶ。

ニュージーランドの自然とカヤック文化をビールにする。

歴史的なビールスタイルを現代に蘇らせる。

あるいは、オーストラリアの気候に合わせてメキシカンスタイルのラガーを造る。

共通しているのは、「流行っているビールを造る」という発想ではない。

(※)フィンランドにおける大麦(Ohra)の歴史は古く、紀元前4000年頃から栽培されてきました。しかし、20世紀の近代化や品種改良によって、農家が独自に受け継いできた古い在来種の多くは畑から姿を消してしまいました

自分たちにしか造れないビールを探している

「自分たちにしか造れないビールを探している」ということだ。

ここに、2026年のクラフトビールの現在地がある気がする。

「世界基準」という言葉を、もう一度考える

日本のブルワリーが海外の大会を目指すとき、「アメリカのIPAに近づけよう」「世界で評価される味にしよう」という発想になりやすい。

もちろん、それは間違いではない。しかし、世界中のブルワリーが同じ方向を向いたら、最終的には似たビールばかりになる。

むしろ今回のリストを見ていると、世界から評価されているのは、世界基準の技術を持ちながら、世界基準ではない理由でビールを造っているブルワリーなのではないかと思う。

「世界基準」というビールの意味を改めて問い直す

Mount Holly Beer

Mount Holly Beerが教えてくれること

Mount Holly Beerがやっていることは極端だ。

ィンランドまで行き、古い大麦品種Balderを探す。

そして、その土地の気候に適応してきた原料を使ってピルスナーを造る。

ここで重要なのは、「珍しい麦を使った」ということだけではない。

その麦が、「なぜそこに存在するのか」まで含めてビールになっていることだ。

日本ならどうだろう。

例えば北海道の大麦。

あるいは地域固有の米。

古い品種の麦。

農家が守ってきた在来作物。

そうしたものを単なる「副原料」として使うのではなく、その土地の農業そのものをビールのストーリーにする。

そこまでやれば、ビールは単なる商品ではなくなる。

人口100人ほどのアイスランドの村で、本格的なチェコピルスナーを造る。

https://www.khb-brugghus.is/

KHB Brugghúsが教えてくれること

しかも、その技術を元Pilsner Urquellのブリュワーから直接学んだ。

これは「田舎だからできるクラフトビール」という話ではない。

むしろ逆だ。

場所がどこであろうと、世界最高レベルの技術は持ち込める。そして、その技術を自分たちの土地に根付かせる。

日本にも同じ可能性がある。

海外の醸造家から技術を学ぶ。

最新設備を導入する。

世界のレシピを研究する。

でも、最後に造るビールは「アメリカのコピー」ではなく、日本の土地から出てくるビールにする。

ビールを「味」だけで売っていない。ビールを「飲む理由」そのものを売っている。

https://eddylinebrewery.com/

Eddylineが教えてくれること

Eddylineのビールは、単にニュージーランド産ホップを使っているから面白いわけではない。

カヤック。

川。

山。

アウトドア。

旅。

そして、その後に飲むビール。

これらが一つのブランドになっている。

つまり、ビールを「味」だけで売っていない。

ビールを飲む理由そのものを売っている。

これは日本のブルワリーにもできる。

海の町なら海とビール。

山の町なら山とビール。

温泉地なら温泉とビール。

農村なら農業とビール。

東京なら東京という都市文化とビール。

重要なのは、後からストーリーを付けることではない。

後付けでなく、最初から、その土地とビールを一緒に設計することが大切。

2026年、「クラフト」はどこへ向かうのか

今回のHop Cultureのリストを見ていると、クラフトビールは次の段階に入っているように思う。

2000年代。

クラフトビールは、大手にはない「味」を求めた

2010年代。

IPA、Hazy IPA、Imperial Stoutなど、強烈な個性を持つビールが世界を席巻した。

そして2020年代後半。

少しずつ競争の軸が変わっている。

「もっとホップを入れる」

「もっと濃くする」

「もっと新しいスタイルを作る」だけではなく、

「自分たちは何者なのか」が問われ始めている。

原料。

土地。

歴史。

人。

技術。

コミュニティ。

食文化。

それらを全部ひっくるめて、一杯のビールにする。

「日本で造ったアメリカンIPA」ではなく、「日本だから生まれたIPA」を造る。

日本のクラフトビールは、まだ伸びしろだらけだ。

今回のリストを見ていて思う。

日本のブルワリーは、もっと「日本」を使っていい。

日本酒のように造る必要はない。

和風にする必要もない。

抹茶や柚子を入れればいい、という話でもない。

むしろ、日本の農業、日本の発酵文化、日本の食、日本の職人技、日本の土地。

そこに世界の醸造技術を掛け合わせる。

そうすれば、「日本で造ったアメリカンIPA」ではなく、「日本だから生まれたIPA」を造れる。

世界が探しているのは、もしかするとそっちなのかもしれない

クラフトビールの世界は、もう「誰が一番うまいビールを造るか」だけではない。

「あなたは、なぜそのビールを造るのか。」

2026年。

そこに答えを持っているブルワリーが、次の世界を作っていく。