
11 Oct 2026 vol.333
最近、SNSを見ていると、クラフトビールについて気になる投稿を見かけます。

「クラフトビールは増えすぎた」「供給過多なのではないか」「良いビールが売れない」「イベントばかりになっている」「このまま5年後はどうなるのだろう」
お店の方の投稿もあります。
実際にクラフトビールを飲んでいるお客様の声もあります。
その投稿を見て、「クラフトビールって、今そんなに大変なの?」「この業界、大丈夫なの?」と感じる人もいるかもしれません。
私自身、こうした声を否定するつもりはありません。
むしろ、クラフトビールを好きで、実際に飲んで、販売しているからこそ出てくる言葉だと思っています。だからこそ、今日は少し違う角度から考えてみたいと思います。
その投稿は「業界全体」の話でしょうか?SNSは、とても便利です。一人の意見が、多くの人に届きます。でも、その一方で、「一つの出来事」が「業界全体の出来事」に見えてしまうことがあります。
あるお店で起きたこと。あるブルワリーの商品。あるお客様が感じたこと。それがSNSを通じて広がると、「クラフトビールはこういうもの」というイメージになってしまう。
でも、本当にそうでしょうか?
一つのお店の問題は、すべてのお店の問題でしょうか。一つのブルワリーの問題は、すべてのブルワリーの問題でしょうか。一人のお客様の感じ方は、すべてのお客様の感じ方でしょうか。私は、そうではないと思っています。だからこそ、SNSに出てくる一つ一つの声を、「業界への結論」ではなく、「考えるきっかけ」として受け止めたいと思っています。
現在の飲み手調査では、73%が「いろいろな銘柄やスタイルを試すことが楽しい
「クラフトビールは増えすぎた」よく聞く言葉です。でも、私はこう聞きたい。「増えたことは、本当に悪いことなのでしょうか?」ブルワリーが増えれば、選択肢が増えます。
地域ごとのビールが生まれます。新しいスタイルが生まれます。食との組み合わせも増えます。
そして、お客様が「今日は何を飲もう?」と選ぶ楽しさも増えます。
実際、現在の飲み手調査では、73%が「いろいろな銘柄やスタイルを試すことが楽しい」と回答しています。(プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES)
問題は、「ブルワリーが増えたこと」ではなく、「増えたブルワリーが、それぞれの価値をどう伝えるのか」

────────お店の皆さんに聞いてみたい。
お店でお客様に、「どのビールがおすすめですか?」と聞かれたとき。何と答えていますか?「このビールは○○というスタイルです」だけではなく、「この料理と合いますよ」「苦くないので、初めてならこれがおすすめです」「福岡らしいビールですよ」「今日はこれを飲んでみませんか?」そんな一言があるだけで、ビールとの出会いは変わります。
クラフトビールは、商品だけではありません。「誰かにすすめてもらって飲んだ一杯」
も、クラフトビールの文化だと思います。
実際、新しいビールやお店を知るきっかけとして「店頭で見かけて」「友人・知人の紹介・口コミ」が上位になっています。(プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES)
だから、お店は単なる販売場所ではありません。
クラフトビールとお客様をつなぐ場所です。お客様にも聞いてみたい。クラフトビールを飲んでいて、「これは美味しい!」と思ったことはありませんか?逆に、「これは自分には合わないな」と思ったこともあると思います。それでいいと思います。
クラフトビールには、100点満点の一つの答えがありません。
IPAが好きな人。ラガーが好きな人。サワーが好きな人。黒ビールが好きな人。軽いビールが好きな人。食事と合わせたい人。一人でゆっくり飲みたい人。友達とワイワイ飲みたい人。みんな違います。
だからこそ、面白い。
「自分の好きな一杯」を探せること。それがクラフトビールの大きな魅力だと思っています。

では、何が問題なのか?私は、「売れないこと」だけが問題なのではないと思っています。本当に考えなければいけないのは、「誰に飲んでもらいたいビールなのか」が明確になっているか。ということではないでしょうか。
例えば、20代に飲んでほしいのか。40代に飲んでほしいのか。ビール好きに飲んでほしいのか。ビールを飲まない人に飲んでほしいのか。福岡の人に飲んでほしいのか。観光客に飲んでほしいのか。日本全国に届けたいのか。海外に届けたいのか。
ターゲットが変われば、ビールも変わる。価格も変わる。パッケージも変わる。 売る場所も変わる。伝え方も変わる。だから、「良いビールを造れば売れる」だけでは足りない。
「誰に届けるのか」まで考えることが、これからはもっと重要になると思います。

「造る人・売る人・飲む人」私は、この3つをもっと近づけたいと思っています。
造る人。売る人。飲む人。この3者が、それぞれ違う方向を向いていたら、クラフトビールは広がりません。でも、「こんなビールを造ってほしい」「こんなお客様に飲んでもらいたい」「この料理に合わせたい」「こんなビールなら飲んでみたい」
そんな会話が増えたらどうでしょう。
そこから、新しいビールが生まれるかもしれません。
実際に現在は、「造り手」だけでなく「売り手」を主役にしたビールイベントも生まれています。造り手・売り手・飲み手を一体にしてクラフトビール文化を広げようという動きです。(日本クラフトビール業界団体連絡協議会(クラビ連))
私は、こういう方向がこれからもっと必要だと思っています。
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SNSを「不安を増やす場所」から「出会いの場所」へ。SNSには、ネガティブな情報もあります。でも、それだけではありません。
新しいビールを知る。知らなかったお店を知る。ブルワリーの想いを知る。誰かのおすすめを見て、一本買ってみる。そして、「これ、美味しいな」と思う。
SNSは、本来そんな出会いをつくる場所にもなれるはずです。
だから私は、ネガティブな投稿をなくそうとは思いません。むしろ、その声を次の行動につなげたい。と思っています。
クラフトビールはブームから文化へ変わる途中
クラフトビールは、終わるのか?もしかすると、「クラフトビールブームは終わった」と言う人もいるかもしれません。でも、私は少し違うと思っています。「ブームが終わった」のではなく、「ブームから文化へ変わる途中」なのではないでしょうか。
珍しいから飲む。新しいから飲む。SNSで話題だから飲む。そこから、「この店が好きだから飲む」「このブルワリーが好きだから飲む」「この料理にはこのビールだから飲む」「今日はこの一杯が飲みたい」という日常に変わっていく。
そこまで行けば、クラフトビールはもっと強くなると思います。
5年後、どんな一杯を飲んでいたいですか?この問いを、ブルワリーだけの問題にしたくありません。
お店の皆さんにも。飲んでいる皆さんにも。ぜひ考えてほしい。
5年後、どんなクラフトビールを飲んでいたいですか?
もっと身近なビール?もっと美味しいビール?もっと地域を感じるビール?もっと料理に合うビール?もっと面白いビール?日本を代表するビール?それとも、世界で飲まれる日本のビール?答えは人それぞれでいい。大切なのは、「今どうなのか」だけではなく、「これからどうしたいのか」を考えること。だと思います。
SNSで誰かが不安を語っていたら、「クラフトビールはダメなのか」と考えるのではなく、「じゃあ、もっと良くするにはどうしたらいい?」と考えてみる。
お店とブルワリーが話す。お客様が意見を伝える。ブルワリーがそれを聞く。そして、新しいビールが生まれる。
そのビールを、お店で飲む。その一杯を、また誰かがSNSで紹介する。そんな循環が生まれたら、SNSはもっと面白くなるはずです。
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クラフトビールは、誰か一人のものではない。造る人だけのものでもない。売る人だけのものでもない。飲む人だけのものでもない。造る人。売る人。飲む人。この3つが一緒につくっていくものです。
だから私は、SNSのネガティブな声を怖がるのではなく、その声の向こう側にいる「もっと良いクラフトビールを楽しみたい人」と一緒に、次の一杯を考えていきたい。
クラフトビールの未来は、SNSの中にあるのではなく、次に誰かが飲む、その一杯の中にある。そう思っています。
さあ、次はどんな一杯を飲みましょうか。

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