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クラフトビール業界は長年にわたり環境負荷の低減に取り組んできた。

再生可能エネルギーの導入。 地元原料の活用。 廃棄物削減。 そして何より、多くのブルワリーがガラス瓶からアルミ缶へと移行してきた。 アルミ缶は軽量で輸送効率が高く、リサイクル率も比較的高い。 環境面で優れた選択肢として評価されてきた。 しかし今、その「正しい選択」が新たな問題を生み出そうとしている。 アメリカで始まったEPR規制

アメリカでは現在、〈Extended Producer Responsibility(EPR)〉と呼ばれる新しい制度が広がっている。

日本語では「拡大生産者責任」と訳されることが多い。

簡単に言えば、 「商品を販売した企業が、その容器包装の回収やリサイクル費用も負担するべきだ」 という考え方だ。 背景にあるのはアメリカのリサイクルシステムの機能不全である。

調査によると、アメリカ人の87%がリサイクルを支持しているにもかかわらず、家庭から排出されるリサイクル可能な資源のうち実際に回収されているのはわずか21%。 残りは埋立地へ送られている。

特に問題視されているのが単回使用飲料容器だ。 2021年には、

・ペットボトル飲料 860億本以上

・アルミ缶 1,070億本

・ガラス容器 350億本 が販売された。

ガラス容器の約72%は埋立処分されている。

こうした状況を改善するため、各州政府はメーカー側へ責任を求め始めたのである。

狙われるペットボトル EPR制度の最大のターゲットはプラスチック容器だ。 制度設計上、リサイクルしやすい素材ほど負担が軽くなり、リサイクルが難しい素材ほどコストが増える。 その結果、多くの飲料メーカーはペットボトルからアルミ缶への転換を検討する可能性がある。 これは環境政策としては理にかなっている。

しかしクラフトビール業界にとって環境問題は別の問題が生じる。 コカ・コーラがアルミ缶へ移行したら? 想像してみてほしい。

©︎Dasani

もしコカ・コーラが「Dasani」のペットボトルをアルミ缶へ切り替えたらどうなるだろうか。 あるいは他の大手飲料メーカーも同じ判断をしたら? アメリカのアルミ缶需要は一気に膨れ上がる。 実際、業界データでは単回使用飲料容器におけるプラスチック利用量が5.7%減少した一方、アルミ利用量は9.2%増加している。 すでに変化は始まっている。 問題は供給能力だ。 アルミ業界は準備できていない アルミ缶需要が増えれば解決する話ではない。 アメリカ国内のアルミ精錬能力は長年不足状態にある。 缶製造工場も高い稼働率が続いている。 新しい精錬設備や製缶工場の建設には莫大な投資と長い時間が必要だ。

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つまり政策が求めるスピードと、産業が対応できるスピードが一致していない。 環境規制はすぐ始まる。 しかし供給能力の増強には何年もかかる。 ここに大きなギャップが存在する。 最初に影響を受けるのは誰か ?答えは明確だ。

クラフトブルワリーである。 大手飲料メーカーは巨大な購買力を持つ。 大量発注によって優先的に缶を確保できる。 一方、小規模ブルワリーは限られたロットで購入する。 需要が急増すれば、 缶価格上昇 納期遅延 最低発注数量増加 といった問題が真っ先に発生する可能性がある。

コロナ禍で起きたアルミ缶不足を覚えているブルワリーは少なくないだろう。 同じことが再び起こるかもしれない。 「環境に優しい」が新たなコストになる 皮肉なことに、クラフトビール業界はすでに比較的環境負荷の低い包装材を採用している。 つまり、これ以上大幅な改善余地が少ない。 紙資材を減らす。 プラスチックリングを廃止する。 そうした努力は可能だ。 しかし劇的にEPR費用を削減できるほどの改善余地は限られている。

結果として、 規制対応費用 事務手続き負担 包装資材価格上昇 を受け入れざるを得ない可能性が高い。

リサイクル政策は誰のためか もちろんアメリカのリサイクル率向上は必要だ。 埋立地問題も深刻である。 EPR制度はその解決策として期待されている。 しかし良い政策が必ずしも良い結果を生むとは限らない。 環境改善という目標と、現実の供給能力。 その間にあるギャップを埋めることができなければ、予想外の副作用が生まれる。 クラフトビール業界は、その最前線に立たされるかもしれない。 数年後、この制度はアメリカのリサイクル改革を成功へ導いたと評価されるのか。 それとも、新たなアルミ缶争奪戦の引き金になったと語られるのか。

答えはまだ誰にも分からない。

日本におけるアルミ缶のリサイクル率は全体で97.5%、そのままアルミ缶として再生する率も74%と非常にリサイクル効率の高い素材です。特に日本ではリサイクル網が整備されていることもあり諸外国と比較しても高いリサイクル率を誇ります。

出典:アルミ缶リサイクル協会ホームページ(http://www.alumi-can.or.jp/publics/index/98/)

現実的には日本のごみの現状 すなわち ごみの行き先、最終処分場がひっ迫している。少し古いデータで恐縮だが、令和3年度で、残余容量が9,845万㎥、残余年数が23.5年ということだ。(その数字がそのまま推移していれば 現在は18年問題になっている)

「日本でも以前は海外のように、ごみを埋め立てるという方法を採っていました。ところが90年代に、“このままでは埋立地の残余年数がヤバい!”という状況が判明。海を埋め立ててもいずれは限界がくるし、メタンガスやハエが大量発生するなど衛生上の課題もありました。そこで埋め立てるごみの容量を減らすために、焼却炉を導入してごみを燃やし、かさを減らしてから埋めるという政策に切り替わっていきました。

しかし、その最終処分場がが23.5年で一杯になる。その後 どうなるのか、その答えは誰も知らない。

出典:ELEMINIST https://eleminist.com/tag/news

※このテキストは編集部が原稿を構成しています。写真や資料の引用についてはその引用先を明確にして、細心の注意を持って情報を取り扱っていますが、不備な点等 ございましたら何なりとご一報ください。訂正、又は削除致します。

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