
1 July 2026 vol.140
新鮮な情報を 最高の鮮度で毎日更新
今日から7月 “JULY”の別名は“Buck Moon” アメリカ先住民の文化に由来し、7月に若い雄鹿の新しい角が生え変わることから名付けられています。7月1回目の更新は大人気の田島編集長による「TajiJanal」で幕開けです。このマガジンで圧倒的なアクセスの高さ。毎日 お読み頂き ありがとうございます。今月も美味しいビールで乾杯しましょう。
クラフトビール情報サイトで毎日の更新は「Transporter」だけ。

「ドイツなら大丈夫。」ビール好きなら誰もがそう思うかもしれません。
ビール好きなら誰もがそう思うかもしれません。
ビール純粋令(Reinheitsgebot)が根付き、世界最高峰の醸造文化を築いてきたドイツ。しかし今、その常識が崩れ始めています。
400年以上の歴史を持つ老舗ブルワリー「Hofbrauhaus Wolters/ホフブロイハウス・ウォルターズ」(1627年創業)が経営破綻(自己管理型破産/現経営陣は裁判所が任命した管財人の監督下で生産を継続)を申請しました。

驚くべきことは、ビールの品質が落ちたわけでも、ブランド力を失ったわけでもありません。
「良いビールを造っていれば生き残れる時代ではなくなった。」
それが今回のニュースから見えてくる現実です。

ドイツ人はビールを飲まなくなった。これは残念ながら事実です。「ビール大国」?過去の話です。
ドイツ人はビールを飲まなくなった。
ドイツは世界有数のビール大国ですが、国内のビール消費量は20年以上減少を続けています。

若者のアルコール離れ。
健康志向によるノンアルコールへの移行。
人口減少。
一人当たりのビール消費量は年々減少し、市場全体が縮小しています。
「ビール文化の国」(2016年/ユネスコの無形文化遺産登録)でさえ、この流れを止めることはできませんでした。
コストは上がる。価格は簡単に上げられない。
麦芽、ホップ、瓶、缶、段ボール。さらに天然ガスや電気代。
雑学 ビールとは直接 関係ありません あしからず
ドイツは世界中のどこよりも早く 脱原発(denuclearization)に舵を切り、2023年4月に国内の全原子力発電所の運転を停止し、脱原発を完全に完了させました。これは2011年の東京電力福島第一原発事故を受け、メルケル(Angela Dorothea Merkel 1954ー)政権(当時)が脱原発を決定したものです。そこにウクライナ戦争が起こりました。ドイツはロシアからの安価な天然ガスの恩恵を受けて、経済成長を遂げていたため、その天然ガス供給停止はドイツの経済の息の根を一瞬にして止めました。
物流費や人件費まで、醸造に関わるすべてのコストが上昇しています。
しかし、スーパーマーケットには低価格のビールが並び、消費者は価格に敏感です。
品質を守ろうとすれば利益は減り、価格を上げれば売上が落ちる。
多くのブルワリーが、この難しい経営判断を迫られています。
「伝統」が経営を守れる時代では最早ない

「伝統」が経営を守れる時代ではない。
ドイツには数百年続くブルワリーが数多く存在します。
いまさら聞けないクラフトビール基本の「キ」
1516年4月23日、今のバイエルン州からオーストリアにかけて広大な領土を持っていたバイエルン侯ヴィルヘルム4世(Friedrich Wilhelm IV)が「ビール純粋令/Reinheitsgebot」を公布しました。「ビールに大麦、ホップ、水の3つの原料以外を使用してはならない」というお達し。のちに「麦」は「麦芽」に書き変えられ、1556年には「酵母」が書き加えられた。1906年にはバイエルン地方だけでなくドイツ全土に対して適用されるようになり1919年には国法と定められた。以後ドイツでは「ビールとは麦芽、ホップ、水、酵母のみで造られるもの」となった。
有効な食品の品質保証に関連する世界最古の法律だそうです・
「歴史」はブランド価値になります。
しかし、その歴史だけでは会社を守れません。
どれだけ伝統があっても、市場が縮小し続ければ経営は厳しくなります。
今回のWoltersの破産は、その象徴とも言える出来事です。
Transporter的視点「ビール業界は大きな転換期に突入した」
今回のニュースは、一つのブルワリーが破産したという話ではありません。
ドイツビール業界全体が、大きな転換期に入ったことを示しています。
「ビール大国だから安心。」そんな時代は終わりました。

これからのブルワリーは「どんな物語を伝えるか?」が大事
これからは、
「何を造るかだけではなく、どう届けるか。」
「どんな物語を伝えるか。」
それがブルワリーの価値を左右する時代です。
400年以上続いた老舗ブルワリーでさえ、生き残りを懸けて変化を求められる現在。
ドイツビール業界は今、大きな岐路に立っています。
そして、その変化は決してドイツだけの話ではなく、世界中のビール業界が注目すべき出来事なのです。

この「TAJI JARNAL」とマークされているテキストは 本誌編集長田嶋伸浩が執筆しております。

【略歴】
2013年よりクラフトビール専門誌『TRANSPORTER BEER MAGAZINE』発行人となる。
2017年ベルギー発修道院ビール『CHIMAY』と契約、ジャパンマーケテングを担当。その後もクラフトビール業界において幅広く活動、会社顧問商品開発、店舗開発,コンサルティング、ブランドプロデユース、デザイン、広告、関連の仕事を数多く行なっている。
2018年伊勢角屋麦酒顧問就任
2019年FAR YEAST BREWINGアドバイザリー就任
2021年鎌倉ビール顧問就任
FAR YEAST BREWING TOKYO 店舗開発
伊勢角屋麦酒 八重洲店・新宿店・新橋店 店舗開発
株式会社なんつね飲食部門オリジナルビール企画店舗監修
BLACK TIDE BREWING 合同会社 代表社員
株式会社FUKUOKA CRAFT 代表取締役
株式会社ライフコーポレーションでのオリジナルビール企画、デザイン。
スーパーマッケット オオゼキでのオリジナルビール企画
株式会社RETTY でのクラフトビールイベント企画。
株式会社日テレ7でのオリジナルビール企画、アドバイザリー。
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