"Why Does Patagonia Make Beer?" — A Brand Strategy Cultivating the Future of Agriculture, Not Just Beer.

12 July 2026  vol.160

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© 2026 Patagonia, Inc. All Rights Reserved.

多くの人は「パタゴニアがビールを作った」と思っていますが、実はパタゴニアは”ビールメーカー”になりたいわけではありません。

彼らが本当に作りたいのは、「未来の農業」です。

アウトドアブランドのパタゴニアがビールを販売している。

一見すると、「なぜアパレルブランドがビール?」と思うかもしれない。しかし、その背景を知ると、この取り組みはパタゴニアらしい一貫した哲学に基づいていることがわかる。

彼らが本当に売りたいのはビールではない。地球を再生する農業の仕組みなのである。  

なぜビールなのか?

パタゴニアは以前から「食も環境問題の一部」と考えてきた。

そのため食品ブランド「Patagonia Provisions」(パタゴニアが手がける食のコレクション

・サーモン

・スープ

・クラッカー

・ビール

まで展開している。

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個人的にはサバ缶が好きです。(編集部W)

商品名「サントーニャ・サバ・オリーブオイル漬」

TRANSPORTERへの広告のご用命は直接メールにて

info@craftbeertransporter.com

では、なぜビールなのか。

答えはシンプルだ。

ビールは農産物だからである。

ビールの原料となる

・大麦

・ホップ

これらは大量の農薬や化学肥料が使われることが多く、その栽培方法が土壌や水質、さらには気候変動にも影響を与えている。

つまり、「ビールを変えれば、農業も変えられる。」パタゴニアはそう考えている。  

なぜ毎回違うブルワリーで造るのか?

ここが最も面白いポイントだ。

普通なら自社工場を持つか、一つの醸造所と契約する。

しかしパタゴニアは違う。

全米各地のブルワリーとコラボレーションし、それぞれの地域でビールを醸造している。近年は全米展開用として主力商品を手掛けるパートナーにDeschutes Breweryを選びつつ、各地のブルワリーとの協業も継続している。  

理由は3つある。

その1  地域ごとのクラフト文化を守るため (To preserve regional craft cultures)

パタゴニアは大量生産より、地域に根差したブルワリを応援したい。

だから同じレシピでも、地域ごとに違うブルワリーが造る。

その2 「環境運動」を広げるため(To expand the "environmental movement")

一社だけでは業界は変わらない。

しかし20社、30社が参加すれば、ビール業界全体が変わる。

つまり、「ビールを売ることより仲間を増やすこと」が目的なのである。  

その3 輸送によるCO₂を減らすため(To reduce CO₂ emissions from transportation)

アメリカは非常に広い。

一か所で造って全国へ配送すると、輸送によるCO₂排出量も増える。

地域で造り、地域で飲む。

この考え方もパタゴニアらしい。

地球に優しい理由

パタゴニアが特に力を入れているのがKernza(カーンザ)〉という多年生穀物(perennial grain/一度植えると枯れずに数年間(それ以上)にわたって繰り返し収穫できる穀物だ。

Kernza

一般的な大麦は毎年畑を耕し、毎年植え直す。そのたびに

土壌流出

・CO₂排出

肥料使用が発生する。

一方Kernzaは、数年間植え替え不要。さらに、根が3メートル以上伸びることもあり、

引用https://captimes.com/

・土壌を守る

・雨水を保持する

炭素を地中へ固定する

・生物多様性を高める

という特徴を持つ。

つまり、「ビールを飲むことで、農業そのものを変えようとしている」のである。  

Patagonia Provisions® Non-Alcoholic Organic Golden Craft Beer Multipack

パタゴニアが目指しているもの

彼らは「世界一ビールを売る」ことを目標にしていない。

目標は、「ビール業界全体をオーガニック・再生型農業へ移行させること」。

だから競争相手を作るのではなく、仲間を増やしている。

これは衣料品でオーガニックコットンを普及させた時と同じ発想だ。  

今後の展開は?

最近では、主力商品として全米向けのオーガニックラガーやノンアルコールビールを展開し、環境理念を共有するブルワリーとの協業をさらに強化しています。ノンアル市場への参入も、「より多くの人に環境配慮型ビールを届ける」という戦略の一環です。  

今後予想されるのは、

* 再生型農業(Regenerative Organic)認証原料を使ったビールの拡大

Regenerative Organicについての詳しい解説(英文)

https://www.controlunion.com/certification-program/roc-regenerative-organic-certified

* 世界各国のクラフトブルワリーとのコラボレーション

* ノンアルコールビールのさらなる展開

* ビール以外の発酵飲料や食品への応用

「一つのブランドが環境を守る」のではなく、「業界全体のサプライチェーンを変える」ことが、パタゴニアの長期的な狙いだと考えられます。  

クラフトビール業界では、「誰が一番おいしいビールを造るか」が注目されがちです。

しかしパタゴニアが問いかけているのは、もっと根本的なことです

そのビールは、どんな農業から生まれたのか。」"What kind of agriculture did that beer come from?"

これからの時代、ビールは味やスタイルだけで評価されるものではなく、その一杯が土壌や水、生産者、そして地球環境にどんな価値を生み出すのかも問われるようになるでしょう。

パタゴニアはビール会社ではありません。しかし、ビールを通じて未来の農業をデザインしようとしている。その挑戦は、クラフトビール業界に新しい価値基準を提示しているのです。

読む パタゴニア

社員をサーフィンに行かせよう:パタゴニア経営のすべて

ダイヤモンド社/2017年刊

イヴォン・シュイナード(Yvon Chouinard/1938- )著

ダイヤモンド社

【読書感想文】

まず感じるのは、イヴォン・シュイナードさんの生き方、働き方というよりも彼の哲学そのものが、一貫して会社の理念として貫かれている点本文中にも 先述したように「一企業を変えようというだけの試みでなく、地球規模で生態系が直面している危機の根源にある消費文化そのものを変えようとしているという哲学が書かれていますパタゴニア日本法人の元支社長だった友人が在職中に「今、イヴォンが本を書いている」ということを教えてくれ、楽しみに心待ちにしていた記憶が蘇った。  

その友人はパタゴニアを離れた後も、イヴォン・シュイナードさんの哲学を継承し、種子の保護・育成活動に従事。ローカルでのサスティナブルなフードシステムと新経済システムを目指すLOCAL ECO-NOMYを推進し、ローカルシードライブラリー(種図書館)の設立支援やオーガニック教育プログラム作りに邁進している。

この「TAJI JARNAL」とマークされているテキストは 本誌編集長田嶋伸浩が執筆しております。


【略歴】

2013年よりクラフトビール専門誌『TRANSPORTER BEER MAGAZINE』発行人となる。
2017年ベルギー発修道院ビール『CHIMAY』と契約、ジャパンマーケテングを担当。その後もクラフトビール業界において幅広く活動、会社顧問商品開発、店舗開発,コンサルティング、ブランドプロデユース、デザイン、広告、関連の仕事を数多く行なっている。
2018年伊勢角屋麦酒顧問就任

2019年FAR YEAST BREWINGアドバイザリー就任
2021年鎌倉ビール顧問就任
FAR YEAST BREWING TOKYO 店舗開発
伊勢角屋麦酒 八重洲店・新宿店・新橋店 店舗開発
株式会社なんつね飲食部門オリジナルビール企画店舗監修
BLACK TIDE BREWING 合同会社 代表社員
株式会社FUKUOKA CRAFT 代表取締役
株式会社ライフコーポレーションでのオリジナルビール企画、デザイン。
スーパーマッケット オオゼキでのオリジナルビール企画
株式会社RETTY でのクラフトビールイベント企画。
株式会社日テレ7でのオリジナルビール企画、アドバイザリー。

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