11 JULY 2026 vol.159

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3月18・19日と2回に分けて お届けした「BrewDogの成功と失敗」は多くの方に読まれ、アクセス数を加速させて頂き、多くの方の関心が高かったことが窺われました。さらに7月8日にお届けしました「BREWDOG日本法人が業務終了──クラフトビールブームを牽引したブランドが残したもの」ではその後のBrewDogについて取材しましたそこで いつものように〈TajiJnrnal〉を深掘りする〈Dig it〉のコーナーを2回に分けてお届けします。

BrewDog破産後、カナダ系多国籍企業のTilray Brandsが主要資産を買収した事がリリースされたのが今年の3月。それに先立ち、スコットランド・エロンにある蒸留施設「BrewDog Distilling Co.」の閉鎖と、自社スピリッツブランドの生産終了を正式に決定しています。開発中だったブリュードッグのウイスキーも一度も陽の目を見ることはありませんでした。「2026年にウイスキーをリリースする」と公言しており、まさに完成直前での計画中止だったことが分かります。

2019年に蒸留所名を「LoneWolf Distillery」から「BrewDog Distilling Co.」へ変更した際、世界的知名度を、ウイスキーにも直結させる」という戦略を選択しました破綻の理由については3月の記事で詳しく説明していますので ここでは割愛しますが この蒸留酒事業が破綻への引き金になったのは事実のようです

この一連の流れで多額の負債は旧法人に残し、法的整理を通じて清算

引用:https://ir.tilray.com/news-releases/news-release-details/tilray-brands-acquires-brewdog-leading-global-craft-brand


 ブランド権や醸造設備など、優良資産のみを売却

本誌でも6月13日号として「ジムビーム蒸留停止。その時クラフトビールは何を学ぶべきか?」を取り上げ、スピリッツ業界を襲っている厳しい現状をお伝えしいます。

共同創業者兼CEOののJames Watt氏もこのタイミングでSNSへメッセージを残しました。

This week has been incredibly hard.

It is really difficult to find the right words and know what to say.

On Monday, the business I co-founded in 2007 was sold.

I am heartbroken for all of the hard working and passionate team members who have lost their jobs. I am heartbroken for all of our brilliant equity punks who did not get the return on their investment they wanted. And heartbroken to have dedicated the best 20 years of my life to something that ultimately did not have the ending we all wished for.

I put my heart, my soul and every ounce of energy into building BrewDog as CEO from inception until early 2024 as we grew from a garage to the world’s leading independent beer brand. We employed thousands and challenged an entire industry.

I was 24, working part time on a fishing boat, and still living in my dad’s spare room when we started BrewDog. I had never run a business before, I had no idea what I was really doing and I just made it all up as I went along.

As the business grew exponentially, our very public success definitely changed things: it changed how people saw us, it changed how people interacted with us, it changed how the media portrayed us, and perhaps, on some levels it changed us too.

When an underdog strategy works so well that people perceive you as the incumbent, that strategy breaks down, and I should have recognised that earlier.

With the benefit of hindsight there are also so many other things I would have done differently. At times we expanded too fast and diversified too broadly. During certain periods I did not control spend well enough across the business and furthermore I feel that I did not respond to certain crises that we faced (and we faced many) in a way that was authentic and true to who I am. Those decisions sit with me.

During my 17 years in charge there were highs, lows, successes, failures, huge gambles and many mistakes along the way.

Ultimately, the mistakes hurt far more than the successes console.

I would have loved to save every single job and every single equity punk investment. Ultimately, I couldn’t. That will stay with me.

There is much more to say about the final chapter. In time, I will tell that story. Today is not that day.

To our team members leaving this week: thank you. You helped build something that mattered. I am sorry we could not protect you.

To our equity punks: thank you for having the conviction to believe in the business when this was just two humans, one dog and a crazy idea.

It was an honour and a privilege to dedicate my life to trying to build something truly amazing for all of our fantastic team members and everyone involved.

I am sorry that I was not able to repay the faith you bestowed in me with the outcome you all deserved.

I still love the business. It will always feel like an intrinsic part of me. I will always be cheering it on from the sidelines, even if the next chapter is now going to be written by others.

今週は、信じられないほど辛い一週間でした。

適切な言葉を見つけるのも、何を言うべきか考えるのも、本当に難しいことです。

月曜日、私が2007年に共同設立した会社が売却されました。

職を失った、勤勉で情熱あふれるチームメンバーのことを思うと胸が張り裂ける思いです。

望んでいたような投資リターンを得られなかった、素晴らしい「エクイティ・パンク(株主)」の皆さんのことを思うと胸が痛みます。そして、人生で最も充実した20年間を捧げた事業が、最終的に誰も望まなかった結末を迎えてしまったことにも、深い悲しみを感じています。

私はCEOとして、創業時から2024年初頭に至るまで、心血を注ぎ、ありったけのエネルギーを費やしてBrewDogを築き上げました。ガレージから始まった会社を、世界をリードする独立系ビールブランドへと成長させたのです。私たちは数千人を雇用し、業界全体に挑みました。

BrewDogを立ち上げた当時、私は24歳で、漁船でアルバイトをしながら、父の家の空き部屋に住んでいました。それまで会社を経営した経験などなく、何をしているのかもよく分からないまま、その場その場で手探りで進んでいきました。

事業が急成長し、世間の注目を集めるほどの成功を収めるにつれ、状況は確実に変わっていきました。人々の私たちへの見方や接し方、メディアでの取り上げ方が変わり、ある意味では、私たち自身も変わってしまったのかもしれません。

「アンダードッグ(挑戦者)」としての戦略が功を奏し、やがて「既存の強者」と見なされるようになると、その戦略は通用しなくなります。私はその変化にもっと早く気づくべきでした。

今振り返れば、他にも違ったやり方があったと思えることがたくさんあります。時には拡大を急ぎすぎたり、多角化に手を広げすぎたりしました。事業全体での支出管理が不十分だった時期もありましたし、直面した数々の危機に対して、自分らしく誠実な対応ができなかったと感じることもあります。そうした決断の責任は、私自身にあります。

トップとして過ごした17年間には、浮き沈みや成功と失敗、大きな賭け、そして数多くの過ちがありました。

結局のところ、失敗の痛みは、成功の喜びがもたらす慰めよりもはるかに深いものです。

すべての雇用と、すべての「エクイティ・パンク」の投資を守りたかった。

しかし、最終的にはそれができませんでした。その事実は、これからもずっと私の心に残り続けるでしょう。

この「最終章」について語るべきことは、まだたくさんあります。いつか、その物語をお話しする時が来るでしょう。ですが、今日はその日ではありません。

今週で会社を去るチームの皆さんへ。本当にありがとう。皆さんは、意義あるものを築き上げる力となってくれました。皆さんを守りきれなかったことを、申し訳なく思っています。

「エクイティ・パンク(株主)」の皆さんへ。

まだ2人と犬1匹、そして「とてつもなく無謀なアイデア」しかなかった頃から、この事業を信じ抜くという強い意志を持ってくださったことに感謝します。

素晴らしいチームの仲間たち、そして関わってくださったすべての人のために、真に素晴らしいものを築こうと人生を捧げられたことは、私にとって名誉であり、特権でした。

皆さんが寄せてくれた信頼に対し、皆さんにふさわしい結果という形でお応えできなかったことを、心からお詫びします。

私は今でもこの事業を愛しています。これからもずっと、私の一部であり続けるでしょう。

たとえ次の章が他の誰かによって綴られることになったとしても、私はいつまでも、外からこの会社を応援し続けます。

以上 メッセージ全文

東京・六本木にあった直営店「BrewDog Bar Roppongi」が2025年12月末をもって閉店しました。一方で、日本市場向けの新しいオリジナル商品の発売などの展開は引き続き行われています。

FUJI ROCK FESTIVAL'26コラボレーションビール「FUJI ROCK CRAFT LAGER」

現在 4年に一度開催されている北中米ワールドカップ(W杯)ですが 4年前のカタール大会時、サッカーW杯カタール大会のスポンサー(バドワイザー)を批判する広告をBrewDog打ちながら、実際には現地で自社もビールを販売していたことが「ダブルスタンダード」と批判されていたことは記憶に新しいところです大会を「World Cup」ではなく「World F*Cup」と表現し、開催地の決定プロセスやカタールの人権状況を強く非難。

BrewDog takes a bold stance against the Qatar World Cup in its latest marketing campaign.

このように「『World F*Cup』の『アンチ・スポンサー』としてBrewDogを立ち上げられることを誇りに思います。はっきり言っておきますが、私たちはサッカーが大好きです。だからこそ、私たちと一緒にやりましょう。選手たちに、ファンに、そして言論の自由に乾杯しましょう。とし、

「中指を突き立ててやりましょう。」

と従来のパンクのポーズでも煽っている。これは当然 どんな主義主張があっても許されることではありません。

今では 過激だったパンクミュージシャンでさえも「現代で最もパンクな行為は、部外者に中指を立てることではなく、連帯することだ」と説いるにもかかわらず、このようなメッセージを掲げるBrewDogに対し、2022年当時 大きな違和感を感じていました。

その違和感は結局 破綻というエピローグを迎えてしまう

起業当時は、大手メーカーによる大量生産型のラガービールが主流だった。BrewDogはこうしたビールを「industrial beer(工業的ビール)」と呼んで公然と批判し、その対抗勢力として、より強い個性や挑戦的な味わいを持つクラフトビールを打ち出した。広告や商品名でも反体制的なメッセージを前面に押し出した。それを「パンク精神」と自ら宣言し、周囲もそれをカッコイイ(cool)だと支持した。

©BrewDog

2026年3月3日には新たにファミリーマートで日本限定商品の販売も開始しているが、この新商品の動きを受けた今後の方針は現時点で明らかになっていない。

今から10年前に発行された本は今でも 自宅の本棚にあり、読み返しても 色褪せていないように感じる

ビジネス・フォー・パンクス

革命児”として既存の大手ビールメーカーが牛耳る業界に挑んだBrewDogは、いつの間にか自らが批判してきた「大企業」へとシフトチェンジし、“industrial beerになってしまったのだろうか?

掲載したワッツのポストにもあるように 「アンダードッグ(挑戦者)」としての戦略が功を奏し、やがて「既存の強者」と見なされるようになると、その戦略は通用しなくなります。」とワッツ自身も頭では理解していたのがわかる。

〈Part.2〉ではBrewDogを買収した企業を取り上げます。お楽しみに

本日のおまけの動画

※写真や資料の引用についてはその引用先を明確にして、細心の注意を持って情報を取り扱っていますが、不備な点等 ございましたら何なりとご一報ください。訂正、又は削除致します。

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