
13 JUNE 2026 vol.114
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アメリカの酒類業界に衝撃が走った。 世界最大級のバーボンブランド、Jim Beam(創業は1740年)が主力蒸溜所での蒸留を一時停止するというニュースだ。 バーボンは長らくアメリカン・クラフトの成功物語だった。プレミアム化、高価格帯化、限定品の争奪戦。蒸溜所ツーリズムも盛り上がり、「バーボンはまだまだ成長する」と誰もが信じていた。 しかし今、ケンタッキー州には過去最高レベルの原酒在庫が積み上がり、業界は供給過剰という現実に直面している。
これは単なるバーボン業界の問題ではない。 むしろ、クラフトビール業界こそ真剣に向き合うべき出来事なのかもしれない。 売れていたのではなく、売れ続けると思い込んでいた バーボン業界が陥った最大の落とし穴は、「成長の永続化」だった。 コロナ禍で家庭消費が増えた。 プレミアムバーボンが世界中で人気を集めた。 限定ボトルは即完売した。 その結果、多くの蒸溜所が設備投資を行い、生産能力を拡大した。
ウイスキー業界/2025年上半期の売上
Bulleit 7%減、
Wild Turkey 8%減

Kentucky Owl 破産申請
Garrard County Distilling 破産申請
Uncle Nearest 管財人の管理下
バーボン(Bourbon)と「Kentucky Wisky」(正確にはケンタッキー・ストレート・バーボン)」の主な違いは、生産地と熟成期間の定義にあります。バーボンは全米で製造可能なトウモロコシ主体(51%以上)のウイスキーですが、その9割はケンタッキー州で造られており、同州で製造・1年以上熟成されたもののみが「ケンタッキー・バーボン」を名乗れます。
しかし、需要は永遠には続かなかった。 バーボンは数年から十年以上の熟成期間を必要とする。 今日の判断が、数年後の市場に直結する。 そして今、市場はこう言っている。
「そこまで飲まない」
IPA ブームの先に何があるのか?
これはクラフトビール業界にも聞き覚えのある話ではないだろうか。
IPAブームの先に何があるのか ?
2010年代のアメリカでは、IPAが市場を席巻した。 ヘイジーIPA。 ダブルIPA。 トリプルIPA。 新商品を出せば売れる時代だった。 ブルワリーは増え続け、タンクは増設され、缶詰ラインも導入された。 だが2026年現在、多くのブルワリーが直面しているのは市場拡大ではなく、市場の奪い合いだ。 消費者の選択肢は増えた。
ノンアルコール飲料。 機能性飲料。 RTD。 ハードセルツァー。 大麻飲料。 ビールはもはや若者にとって唯一の選択肢ではない。 バーボン業界で起きていることは、実はクラフトビール業界が数年前から経験している現象でもある。 「良い酒」だけでは勝てない時代 昔は美味しいビールを造ればファンが増えた。
RTDとは?
Ready to Drink(レディ・トゥ・ドリンク)」の略で、フタやプルタブを開けてそのまま飲める飲料、特に缶チューハイやハイボールといった缶入りのアルコール飲料を指します。
これからのクラフトビールは「地域」や「文化」を売る時代
しかし現在は違う。 なぜ人はそのブルワリーへ行くのか。 なぜそのブランドを選ぶのか。 そこに答えが必要になった。 アメリカで今も勢いのあるブルワリーを見ると共通点がある。
単にビールを売っているのではない。 地域を売っている。 文化を売っている。 コミュニティを売っている。 タップルームには人が集まり、イベントが開かれ、旅行の目的地になる。 ビールはその体験の中心にあるが、主役は必ずしもビールだけではない。
これはバーボンツーリズムで成功してきたケンタッキーの蒸溜所にも共通する。 日本のクラフトビール業界への示唆 日本のクラフトビール市場は依然として成長している。 だが、人口減少という大きな壁がある。
さらに若年層の飲酒率は下がり続けている。 今後10年を考えた時、 「どれだけビールを造るか」 よりも、 「なぜそのビールを選ぶのか」 の方が重要になる。 設備投資だけでは未来は作れない。
ストーリー。 観光。 地域性。 コミュニティ。 これらを持たないブランドは、どれだけ受賞歴があっても苦戦する可能性が高い。 ジムビームの蒸留停止は警告ではなくチャンスだ 業界関係者の多くは、このニュースをネガティブな話題として捉えるだろう。 しかし別の見方もできる。 大量生産の時代が終わり、ブランドの本質が問われる時代が始まったということだ。
どれだけ造れるかではない。 どれだけ人を動かせるか。 どれだけ旅の目的地になれるか。 どれだけ地域の誇りになれるか。 クラフトビールが大手メーカーと違う道を歩んできた理由は、まさにそこにあったはずだ。 ジムビームの蒸留停止は、バーボン業界の危機ではない。 それは、クラフトビール業界が次の10年を考えるための教科書なのかもしれない。
TRANSPORTER的視点 酒を飲む人が減る時代に必要なのは、「もっと売る方法」ではない。 「わざわざそこへ行きたくなる理由」をつくること。
それは、すでに始めなくてはいけない時代に来ている。
6月のBEER CALENDAR
今年の“父の日”は6月21日(日)です。父の日にはクラフトビールで乾杯はいかがでしょう?
父の日限定 クラフトビール6種類 飲み比べセット SETOUCHI BEER

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