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Hair of the Dogが残した”クラフトビールの哲学”

The "Craft Beer Philosophy" Left Behind by Hair of the Dog.

クラフトビールの歴史を振り返ると、時代ごとに「革命」を起こしたブルワリーが存在する。

1980年代にはシエラネバダがホップの可能性を広げた。

Sierra Nevada expanded the possibilities of hops.

1990年代にはHair of the Dogが「ビールはもっと自由でいい」という価値観を世界へ示した。

They demonstrated to the world the value that beer can be freer.

2000年代にはRussian RiverがダブルIPAやサワーエールを進化させ、

Russian River evolved the double IPA and sour ale,

2010年代にはMonkish BrewingがヘイジーIPAというスタイルを世界中へ広めた。

Monkish Brewing popularized the Hazy IPA style worldwide.

造るビールは違う。

目指す味わいも違う。

しかし、その根底には一つの共通点がある。

「誰も造っていないビールを造る。」

その精神を誰よりも早く体現したブルワリーこそ、Hair of the Dogだった。

いまさら聞けない「Hair of the Dog

アメリカ・オレゴン州ポートランドで1993年に創業し、2022年に29年の歴史の幕を閉じた伝説的なクラフトブルワリーです。(https://hairofthedog.com/アランスプリンツがオーナーでした。

常識を疑うことから始まる

1993年当時、ほとんどのブルワリーは「売れるビール」を造っていた。

しかしアラン・スプリンツ(Alan Sprints)は違った。

「10年以上熟成できるビール。」

「ワインのようにヴィンテージを楽しむビール。」

「樽熟成によって時間が価値を生み出すビール。」

誰も市場を求めていなかった時代に、自分が信じるビールを造り続けた。

この姿勢こそが、現在のクラフトビール文化の原点となっている。

Monkish Brewingに受け継がれた”妥協しない品質”

カリフォルニアのMonkish Brewingは、ヘイジーIPAの世界的アイコンとして知られている。

彼らが評価される理由は、「ヘイジーIPAを造ったから」ではない。

毎回最高品質を追求し、決して妥協しない姿勢にある。

大量生産より品質。

流行より完成度。

この哲学は、スタイルこそ異なるものの、Hair of the Dogが貫いた姿勢と重なる。

Russian Riverが証明した”ビールは文化になる”

Russian River Brewingは、Pliny the ElderやPliny the Youngerで世界中のファンを熱狂させた。

毎年限定リリースの日には世界中からファンが集まり、街全体がお祭りのような熱気に包まれる。

その光景は、1990年代にHair of the Dogの限定ビールを求めてポートランドに人々が集まった姿を思い起こさせる。

「ビールを飲むために旅をする。」

そんな文化を育てた先駆者の一人がアラン・スプリンツだった。

The Bruery、Bottle Logic、Side Projectへ広がった樽熟成文化

現在、世界最高峰と評価されるバレルエイジドスタウトやバーレイワイン。

The Bruery。

Bottle Logic Brewing。

Side Project Brewing。

彼らはそれぞれ独自の世界観を築いているが、「樽熟成はビールの可能性を広げる」という価値観は、Hair of the Dogが切り開いた流れの中で大きく発展してきた。

樽は単なる容器ではない。

時間と香り、そして物語を育てる場所なのである。

日本にも受け継がれた精神

この哲学は海を越えて日本にも届いた

志賀高原ビールとのコラボレーション。

Fuji to Hoodでの交流。

そして、渋谷Craftheadsのマイケル氏をはじめ、多くの日本のビール関係者との長年にわたる友情。

アランは技術を教えるだけではなく、「ブルワー同士が学び合う文化」そのものを築いた。

その影響は、日本のクラフトビールシーンにも確実に根付いている。

Transporter's View

Hair of the DogのDNAとは、特定のレシピではない。

特定の酵母でもない。

それは、「まだ誰も歩いていない道を選ぶ勇気」である。

MonkishがヘイジーIPAで新しい時代を築いたように。

Monkish DDH Potholes Hazy IPA

Russian Riverが世界中のビールファンの聖地となったように。

そして、日本の多くのブルワリーが自らの個性を追求しているように

その背景には、「ビールに限界はない」と信じ続けたアラン・スプリンツの精神が流れている。

Hair of the Dogは幕を閉じた。

しかし、そのDNAは、世界中のブルワーの挑戦の中で、これからも生き続けていくだろう。

この「TAJI JARNAL」とマークされているテキストは 本誌編集長田嶋伸浩が執筆しております。

【略歴】 田嶋伸浩

2013年よりクラフトビール専門誌『TRANSPORTER BEER MAGAZINE』発行人となる。
2017年ベルギー発修道院ビール『CHIMAY』と契約、ジャパンマーケテングを担当。その後もクラフトビール業界において幅広く活動、会社顧問商品開発、店舗開発,コンサルティング、ブランドプロデユース、デザイン、広告、関連の仕事を数多く行なっている。
2018年伊勢角屋麦酒顧問就任

2019年FAR YEAST BREWINGアドバイザリー就任
2021年鎌倉ビール顧問就任
FAR YEAST BREWING TOKYO 店舗開発
伊勢角屋麦酒 八重洲店・新宿店・新橋店 店舗開発
株式会社なんつね飲食部門オリジナルビール企画店舗監修
BLACK TIDE BREWING 合同会社 代表社員
株式会社FUKUOKA CRAFT 代表取締役
株式会社ライフコーポレーションでのオリジナルビール企画、デザイン。
スーパーマッケット オオゼキでのオリジナルビール企画
株式会社RETTY でのクラフトビールイベント企画。
株式会社日テレ7でのオリジナルビール企画、アドバイザリー。

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