Do you compete with IPAs, or do you build "your own name"? — What breweries should brew next, after IPAs, Pilsners, and Hazy IPAs.

「IPAです」「Pilsnerです」「Hazy IPAです」ビールを販売するとき、スタイルを伝えることは重要だが...

消費者はその言葉から、ある程度の味を想像できる。 

IPAならホップ。
Pilsnerならキレ。

Hazy IPAなら濁りとジューシーなホップ。つまり、既存のスタイル名には「説明する力」がある。しかし、クラフトビール市場が成熟してくると、ここに一つの問題が出てくる。

「それで、あなたのビールは何が違うの?」

IPAは世界中のブルワリーが造っている。Pilsnerも造っている。Hazy IPAも造っている。スタイル名が分かりやすくなればなるほど、逆に商品そのものの違いが分かりにくくなる。

そこで今、アメリカの一部のブルワリーが始めているのが、既存のスタイル名の先に、自分たちだけの言葉をつくること。その象徴的な例が、2025年にスタートしたShelton Brewingだ。

「Hopzy Ales」という言葉

Shelton Brewingを率いるChris Sheltonは、Toppling Goliathや海外ブルワリー、HoustonのWhole Foods Brewingなどで経験を積んできたブルワーだ。

Whole Foods Brewing時代から、非常にホップを飽和させたHazy系ビールを造り、そのビールを本人は「Hopzy Ales」と表現していた。

ここで重要なのは、Hopzyが新しい公式ビアスタイルになったという話ではない。

BJCPのような正式なスタイル分類を置き換えるものでもない。そうではなく、「自分が造っているビールの個性を、自分自身の言葉で定義する」ということだ。

実際、Shelton Brewingのビールは外部のビールデータベースではHazy IPA、Imperial/Double New England IPAなどとして分類される一方、商品説明では「Hopzy Ale」と表現されているものがある。例えば「Agent」はHazy系のカテゴリーに分類されながら、説明ではHopzy Aleとされている。

つまり、【市場の分類=Hazy IPA】と【ブランドとしての呼び方=Hopzy Ale】が共存している。

ここが面白い。

自分が作るIPAと他社が作るIPAの違いを言語化出来ますか?

なぜ「自分たちの名前」が必要なのか?クラフトビールの黎明期には、「IPA」という言葉自体が強かった。「大手ビールとは違う」。「苦い」。「ホップが香る」。「クラフトビールらしい」。そんな時代には、「IPA」と書いてあること自体が武器だった。ところが、今ではIPAは珍しくない。Hazy IPAも珍しくない。Pilsnerも珍しくない。日本でも、ほとんどのブルワリーが複数のスタイルを造る。そこで起きるのが、「スタイルは分かる。でも、ブルワリーの違いが分からない」 という問題だ。

例えば、「Hazy IPA 6.5%」と書いてある。もちろん味の方向性は想像できる。しかし、「だから、どこのHazy IPAを飲むのか?」という問題は残る。スタイル名はカテゴリーを説明する。しかし、ブランドまでは説明してくれない。

「スタイル」と「ブランド」は違う。ここを混同してはいけない。

Pilsnerはスタイル。IPAもスタイル。Hazy IPAもスタイル。一方で、「Hopzy」のような言葉は、ブルワリーが自分たちのビールを説明するためのブランド的な言語になる。これは、カテゴリーとブランドの違いとも言える。

「Pilsnerだから飲む」という入口から、「このブルワリーのPilsnerだから飲む」という段階へ進む。さらに、「このブルワリーの、このシリーズだから飲む」となれば、もっと強い。そして最終的には、「この言葉を見たら、あのブルワリーを思い出す」という状態になる。ここまで行けば、単なるスタイル説明ではない。ブランドになっている。

「新しいスタイルをつくる」のが目的ではない。重要なのは中身が先にあること。

https://www.instagram.com/p/DT-8_pBjwR9/

ここは日本のブルワリーが勘違いしやすいところだ。オリジナルの名前を付ければいい。新しいスタイルを名乗ればいい。そういう話ではない。重要なのは、中身が先にあること。

例えばShelton Brewingの場合、「Hopzyという名前を付けたからホップがすごい」のではない。

長年にわたってホップの強烈なHazy系ビールを造ってきたChris Sheltonの技術とキャリアが先にあり、その特徴を表現する言葉として「Hopzy」が使われている。

2025年のShelton Brewingでも、Hopzyとして紹介されるビールには大量のホップを使ったものがあり、「What the Klaus?」は20ポンド超/バレルのホップを使用した8%のHopzy Aleとして紹介されている。

つまり、商品 → 個性 → 言語化 → ブランドという順番だ。

これを逆にすると危険だ。名前だけ格好いい。説明だけ大げさ。飲んでみたら普通。これではブランドにならない。

日本のブルワリーは「何を造るか」ばかり考えていないか?

日本のブルワリーの新商品を見る。「West Coast IPA」「Hazy IPA」「Cold IPA」「Pilsner」「Saison」「Porter」もちろん、それでいい。消費者にとって分かりやすいからだ。問題は、その先だ。

例えば、「このブルワリーのHazy IPAは、他と何が違うのか?」という問いに答えられるだろうか。

ホップの品種?水?酵母?発酵温度?IBU?濁り?ボディ?香り?原料?醸造哲学?もちろん技術的な違いはある。しかし、それを消費者が覚えられる言葉にできているか。ここが重要だ。

「自分たちの言葉」を持つブルワリー。強いブランドには、自分たちだけの言葉がある。

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ビールの世界でも同じだ。単に、「美味しいIPAを造っています」では弱い。それなら、他のブルワリーも言える。必要なのは、私たちは何を突き詰めているのか?」という問いだ。

例えば、「日本で最も○○なPilsner」という方向でもいい。「地元の農産物を使う」という方向でもいい。「低アルコールだけを突き詰める」でもいい。「ラガーだけをやる」でもいい。「ホップの香りだけを追求する」でもいい。

重要なのは、自分たちがやっていることを、消費者が覚えられる一言に変えること。

その商品名に、原料・製法・味・地域・思想を紐付けていく

「Pilsner」ではなく、「○○ Pilsner」ここから先は、かなり面白い。例えばブルワリーがPilsnerを造っている。

商品名に、「Pilsner」とだけ書く。それはカテゴリーとしては正しい。しかし、「○○ Pilsner」という独自の呼び方を作り、その言葉に、原料。製法。味。地域。思想。を紐付けていく。そうすると、その言葉自体がブランドになる。もちろん、その名前が消費者に定着するには時間がかかる。だが、定着すれば強い。「○○って何?」と聞かれたときに、「うちが造っている、こういうビールです」と説明できる。

この「何?」を生み出すことが、ブランドの第一歩になる。

ただし、名前を増やせばいいわけではない。ここで注意したい。日本のクラフトビール業界は、商品名を増やすことにはかなり長けている。

面白い名前。格好いい名前。地域の名前。漫画や音楽を使った名前。しかし、名前がブランドになっているとは限らない。毎回違う名前を付けて、商品が売れたら終了。それでは資産が蓄積されない。

重要なのは、同じ言葉を繰り返し使うこと。「この名前=この味」という記憶を作る。

例えばSheltonのHopzyも、一つのビールの商品名ではない。複数のビールに使われることで、Hopzy=Chris Sheltonのホップ表現というイメージが積み上がっていく。

実際、Shelton Brewingでは「Gruntled」「Polar Hopposites V1」などにもHopzy Aleという表現が使われている。

Shelton Brewing

「スタイル名」は入口。「独自の言葉」は記憶装置

これからのクラフトビールを考えるうえで、スタイル名を捨てる必要はない。むしろ逆だ。IPAならIPAと書けばいい。PilsnerならPilsnerと書けばいい。Hazy IPAならHazy IPAと書けばいい。そのうえで、「私たちは、その中で何をやっているのか?」を独自の言葉で伝える。

つまり、【 IPA ▶︎ 自分たちのIPA ▶︎ 自分たちだけの呼び方 ▶︎  その言葉=ブランド 】という構造をつくる。これはクラフトビールだけの話ではない。ワインでも日本酒でもコーヒーでも、成熟した市場では同じことが起きる。カテゴリーが成熟すると、「何であるか」より「誰のものか」が重要になってくる。  

これからのブルワリーは「ビール」だけでなく「言葉」も醸造するクラフトビールは、原料を組み合わせて新しい味をつくる。しかし、ブランドも同じだ。経験を組み合わせる。技術を組み合わせる。地域を組み合わせる。思想を組み合わせる。

そして最後に、それを一つの言葉にする。その言葉が消費者の頭に残れば、ブランドになる。

「IPAだから飲む」から、「このブルワリーのIPAだから飲む」へ。そして、「この名前だから飲む」へ。

ここまで行けば、価格競争からも少し距離を取ることができる。

「あなたのブルワリーは、何というビールを造っていますか?」最後に、ブルワリー経営者に聞いてみたい。

「何を造っていますか?」という質問ではない。IPA?Pilsner?Hazy IPA?

それは誰でも答えられる。

聞きたいのは、「あなたのブルワリーにしかない、ビールの呼び方はありますか?」ということだ。

それは新しいスタイルでなくてもいい。正式なビアスタイルでなくてもいい。むしろ重要なのは、その言葉を聞いた瞬間に、そのブルワリーの味が頭に浮かぶこと。

Shelton Brewingの「Hopzy Ales」が示しているのは、単にホップを大量に使ったビールの話ではない。「自分たちが何者なのかを、自分たちの言葉で定義する」というブランド戦略だ。

IPAが悪いわけではない。Pilsnerが古いわけでもない。Hazy IPAが飽きられたわけでもない。ただ、カテゴリーが成熟した今、「IPAです」だけでは、ブランドにならない。これからのブルワリーに必要なのは、新しいビールを造ることだけではない。

自分たちのビールを説明する、新しい言葉をつくること。ビールを醸造する。そしてもう一つ、言葉も醸造する。

その言葉が、次のブランドをつくるのかもしれない

クラフトビールの「今」と「未来」をつなぐ プラットフォーム.「TRANSPORTER」は、国内外のクラフトビール情報を“最高の鮮度”でお届けするメディアとして2014年に創刊し、国内外のクラフトビールの歴史と共に歩んできました。2026年3月にWEB版をリニューアルし、以後、毎日記事を更新しております。

【紙媒体】発行:年4回(3月・6月・9月・12月) 各10,000部を発行

ビアパブ・ブルワリーでの無料配布

【WEB媒体】毎日更新

 主な内容: BREWERY・PUB・EVENT・GUEST COLUMN・TAJI JARNAL(編集長日記) 

2013年、日本初のクラフトビール専門メディア『TRANSPORTER』を創刊して以来、私は世界中の醸造現場を歩き、その熱狂を伝えてきました。それと同時に、自分自身も国内2拠点(Black Tide Brewing / Fukuoka Craft Brewing)でブルワリーの立ち上げ・運営に携わり、現場の苦労と喜びを肌身で感じてきました。

醸造所の開業は、決して平坦な道ではありません。複雑な免許申請、膨大なコスト、そして終わりのない試行錯誤。「何が正解かわからない」という壁にぶつかることもあるでしょう。

私たちのコンサルティングは、単なる知識の提供ではありません。現場で培った「確かなデータ」と、現役経営者としての「実務経験」に基づき、無駄な時間とコストを徹底的に省いた最短ルートをご提示します。

あなたの理想の一杯が、街の景色を変え、誰かの笑顔をつくる。その瞬間に向けて、最高のパートナーとして伴走することをお約束します。

代表 / 編集長 田嶋 伸浩

経歴

1975年 埼玉生まれ。中央高学校建築設計科卒。
田嶋建築一級士事務所を経て、
カナダ、バンクーバーに1年留学、帰国後(株)ファーストリテイリングを経て2003年ファッションブランド『ALIAS(エイリアス)』を立ち上げ、2008年メガネブランド『ALIAS EYE WEAR』を立ち上げる。
2012年合同会社エイリアス設立、グラフィックデザイン、WEBデザイン
なども手がけ,同時期にタレント/俳優/ミュージシャンのTV,CM,ドラマ、コンサートなど幅広く衣装を手がける。
2013年よりクラフトビール専門誌『TRANSPORTER BEER MAGAZINE』発行人となる。
2017年ベルギー発修道院ビール『CHIMAY』と契約、ジャパンマーケテングを担当。その後もクラフトビール業界において幅広く活動、会社顧問商品開発、店舗開発,コンサルティング、ブランドプロデユース、デザイン、広告、関連の仕事を数多く行なっている。
2018年伊勢角屋麦酒顧問就任


2019年FAR YEAST BREWINGアドバイザリー就任
2021年鎌倉ビール顧問就任
FAR YEAST BREWING TOKYO 店舗開発
伊勢角屋麦酒 八重洲店・新宿店・新橋店 店舗開発
株式会社なんつね飲食部門オリジナルビール企画店舗監修
BLACK TIDE BREWING 合同会社 代表社員
株式会社FUKUOKA CRAFT 代表取締役
株式会社ライフコーポレーションでのオリジナルビール企画、デザイン。
スーパーマッケット オオゼキでのオリジナルビール企画
株式会社RETTY でのクラフトビールイベント企画。
株式会社日テレ7でのオリジナルビール企画、アドバイザリー。

 

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