
©2026 Brewers Association
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クラフトビール業界の現在地”を映し出す巨大な指標。それが2026 World Beer Cup®
World Beer Cup®は、単なるビールコンペティションではない。 世界中のブルワリー、インポーター、ビアバー、メディア、そして消費者まで含めた、“クラフトビール業界全体の現在地”を映し出す巨大な指標だ。
2026年大会では、世界のクラフトビールシーンが「次のフェーズ」に入ったことを示す、いくつもの重要な変化が見えた。
IPAの時代は終わらない
しかし、“求められるIPA”は変わった。
2026年大会最大のトピックのひとつが、 カテゴリー114「West Coast Style IPA」が出品数最多に返り咲いたことだ。
WBC
ワールドビアカップ(World Beer Cup)とは、アメリカのブリュワーズアソシエーション(Brewers Association)が主催する、世界最高峰のビール品評会です。1996年に創設され、最も権威のあるビールのコンテストとしてしばしば「ビール界のオリンピック」とも称されています。
2026年大会では、世界50か国から8166銘柄のビールがエントリー。100以上のスタイルカテゴリーについて、世界38ヵ国から選ばれた255名の専門審査員がブラインドテイスティングにより評価を行います。各部門につきゴールド・シルバー・ブロンズの3種類のメダルが授与されますが、品質基準を満たさない場合は授与されないこともあり、受賞は醸造所としての技術力の証明となっています。
出品数推移
2024年:281
2025年:300
2026年:293
対して、ここ数年王者だった「Hazy IPA」は減少。
Hazy IPA推移
2024年:326
2025年:301
2026年:274
これは極めて象徴的な変化だ。
Juicy/Hazy IPAは「濁り」から「キレ」へ
“濁り”から“キレ”へ 近年のクラフトビール市場は、 Juicy/Hazy IPAが圧倒的主役だった。
トロピカル。 低苦味。 濁り。 柔らかい口当たり。 しかし2026年、世界は再び“苦味”と“シャープさ”へ戻り始めている。 つまり、 クリーンな苦味 ドライな後味 飲み疲れしない設計 明確なホップ表現 を持つWest Coast IPAが再評価され始めたのだ。
これは単なる流行ではなく、 クラフトビール市場が“成熟フェーズ”に入ったサインとも言える。
存在感を増したラガー
ラガーの大復活 今回さらに重要だったのが、 ラガーカテゴリーの存在感の大幅上昇だ。 特に、 German Pilsner(201エントリー) Munich Helles(156) Czech Pale Lager Rice Lager Italian Pilsner など、“シンプルなビール”が大きく伸びている。
なぜ今ラガーなのか? 理由は明確だ。 クラフトビール市場が成熟したことで、 消費者は“派手さ”よりも、 バランス クリーンさ 飲みやすさ 技術力 を求め始めている。
ラガーは誤魔化しが効かない。 だからこそ、ブルワリーの技術力が最も見える。 つまり現在の世界は、 「派手なビールを作れるか」 ではなく、 「シンプルなビールを完璧に作れるか」 の時代に入っている。 日本ブルワリーが評価された理由 この流れの中で、日本勢は非常に強かった。
金賞(GOLD)は5銘柄
❶American-Style Wheat Beer 部門金賞
Spring Valley Brewery 「シルクエール 白」

© 2007-2026 Kirin Holdings Company, Limited.
※WBC 日本勢の通算受賞数トップは Spring Valley Brewery(2023〜2026の通算5メダル)
❷American-Belgo-Style Ale部門(Belgian系ハイブリッドエール) 金賞受賞
Nara Brewing Co. 「FUNCTION」

© 2018 Nara Brewing Co. Ltd.
❸Session Beer部門 金賞受賞
Nara Brewing Co.「LIGHTHOUSE」

© 2018 Nara Brewing Co. Ltd.
❹Experimental India Pale Ale部門 金賞「Flint」
Bighand Bros. 「Flint」

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❺Herb and Spice Beer部門 金賞
Craftrock Brewing「Sansho Lager(山椒ラガー)」

Silver(銀賞)4銘柄
❶German-Style Pilsener部門 銀賞
Craft Beer Base「Southern German Style Pilsener」

❷American-Style Amber Lager部門銀賞
Spring Valley Brewery「Hojun(豊潤)Lager 496」

❸Fruited Wood- and Barrel-Aged Sour Beer部門 銀賞
Anglo Japanese Brewing Co.「AJB Cassis Barrel」

❹Classic Irish-Style Dry Stout部門銀賞
Minoh Brewery「Minoh Beer Stout」

Bronze(銅賞)3銘柄
❶Experimental India Pale Ale部門 銅賞
Repubrew「Conix Brut IPA」

❷West Coast-Style Pilsener部門 銅賞
Uchu brewing「Uchu Pils」

❸Specialty Saison部門 銅賞
Yamorido「Chakabuki」

ここに来ての「ラガー回帰」日本への追い風しかない
これらに共通しているのは、 “精密さ” (Precision)だ。
日本のクラフトビールは、 発酵管理 水質 バランス設計 クリーンさ 飲み疲れしない味 において、世界トップレベルに到達している。 特に現在の“ラガー回帰”“クリーン回帰”の流れは、日本の醸造文化と非常に相性が良い。
つまり今、世界のトレンドが“日本向き”になってきているのだ。 一方で衰退したカテゴリー 今回、明確に減少したのが、 サワーエール フルーツサワー インペリアルスタウト だった。
もちろん完全になくなるわけではない。 しかし、“極端な味”だけでは市場が広がらなくなっている。 その代わりに人気を維持しているのが、 「高品質な定番」 つまり、 毎日飲める。 料理に合う。 疲れない。 そうした“日常性”を持つビールだ。
クラフトビールはニッチ文化から、“成熟した飲料文化”
これはクラフトビールがニッチ文化から、“成熟した飲料文化”へ進化している証拠でもある。 World Beer Cupの本当の意味 World Beer Cup 2026 の本当の価値は、 メダルではない。 このイベントは、 「世界のビール文化がどこへ向かうか」 を最も早く映し出す場所なのだ。 どんなスタイルが増え、 どんな味が求められ、 どんな技術が評価されるのか。 そこには未来の市場が現れる。 2026年は“原点回帰”の年だった 2026年大会を一言で表すなら、 「クラフトビールの原点回帰」 だろう。 派手さだけではなく、 技術 バランス 飲みやすさ 継続して飲める完成度 が再び評価され始めた。
世界のクラフトビールシーンが日本のストロングポイントが追いついてきた。
そして、その流れの中心に、 日本ブルワリーが入り始めている。 これは偶然ではない。 世界のクラフトビールシーンが、 ようやく日本の強みに追いついてきたのかもしれない。 信じるか信じないかはあなたの捉え方次第です。
※このテキストは田嶋本人の執筆によるものです
※このテキストは編集部が田嶋編集長の原稿を構成しています。写真や資料の引用についてはその引用先を明確にして、細心の注意を持って情報を取り扱っていますが、不備な点等 ございましたら何なりとご一報ください。訂正、又は削除致します。

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12 MAY TITLE: 福岡・薬院で、クラフトビール好きがじわじわ通い始めている人気店、 esperanza CRAFTBEER & Lambchop

