
8 JULY 2026 vol.152
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増え続けるビアフェス 3年で3倍、日本はブルワリー1,000拠点の時代へ、ビアフェスも1,000ヶ所開催へ
ビール醸造所の増加に比例する形で、日本のクラフトビールイベント、いわゆる「ビアフェス」は、この数年で大幅に増加しており、2020年の約339件から2024年には約1,052件へと約3倍に急増しています。この急増の背景には、中小規模の醸造所にとってはこのビアフェスでの売上が 決して小さいものではことが挙げられます。

また ビアフェスが人気の理由は「ビールを売ることが」ゴールだった時代から、「顧客にどう感じてもらうか」がこれからのゴールになる時代の象徴と捉えることもできます。
徹底した顧客目線の発想による、体験価値(Experience value)の創出こそが、物が売れ続けるためには重要です。
体験価値(Experience value)の創出こそがサバイバルへの第一歩
自分たちのビアスタイルを取り戻すための戦い。そのプロセスが持つ“熱狂” そのものが、最大の「体験価値」だったのではないでしょうか。大げさに言うならば、クラフトビール起業家たちの顧客への提供価値は、“単なるおいしいビールの生産”だけではなく、“自由への戦いが生む熱狂、そして仲間たちとの絆”と表現してもいいと思います。
話は一気に変わりますが、「集客主体」と言う点からマーケティングした場合、単体として 最も集客できる装置は 「ミュージックフェス」があります。
そのミュージックフェス日本の歴史を作ったフェスが フジロック(FUJI ROCK FESTIVAL)です。

そのフジロック初の公式コラボビール『FUJI ROCK LAGER』が誕生。2022年より、フジロックに出店をしてきた BrewDog。

「この3年間で音楽ファンから親しまれたことで、4年目(2025年)にして初のコラボビールの誕生が実現しました。」とあります。
醸造を担当するのは、埼玉のときがわ町に醸造所を構える Teenage Brewing。(2023年創業)
ホームページを見ると、オーナーの森大地さんが音楽家からビール醸造家に転身したという経歴の持ち主。
ここにも しっかりと「物語」があります。「音楽家が作るミュージックフェスビール」。

そして森さんのサイトにはこんなメッセージが

(画像:Teenage Brewing。ホームページから引用)
フジ・ロックは1997年に第1回が開催された日本のロック・フェスティバルの先駆けであり、世界200組以上のミュージシャンが揃う日本最大規模の野外音楽イベントです。
名称の「フジ」ですが、富士山を望む天神山スキー場で開催されたのは1997年の第1回のみで、第2回目の1998年は東京都豊洲地区の東京ベイサイドスクエアで開催され、翌年の第3回目以降、苗場スキー場での開催となっています。
伝説の第1回フジロック1997からビールを売る男もまた伝説
伝説の1997年第1回目の開催は台風が直撃し、横殴りの暴風雨のなかで敢行されたライブのヘッドライナー(Headliner)はレッド・ホット・チリ・ペッパーズ(Red Hot Chili Peppers)が務め、ずぶ濡れの30,000人の参加者に強烈な印象を残し、日本の音楽史に残る伝説の一日となりました。

その1回目からビールを売り続けているビールマンがいます。
烏川 清治さん。ある意味、彼もまた伝説の人です。
「結果的には 天神平の会場は使えなくなってしまったんです。ゴミやらマナーやら、とにかくひどくて。勝手に近隣の農家の敷地内で寝たり、違法駐車したりする人がいました。しかも、野外フェス自体が初めてだったから、軽装で山へ来て、台風の中、体調が悪くなるお客さんが続出しました。もちろん運営する側や参加している企業にもあまりノウハウはありません。本当に戦場みたいだったんです。」

今となってはあまり言えないようなこともいろいろあって、会場は使えなくなってしまったんです。」
フジロックで「野外フェス〉デビューを果たした烏川さんは、現在、日本最大の音楽フェスティバルのひとつ「SUMMER SONIC」(https://www.summersonic.com/)の飲食出店管理事務局をはじめ数々の音楽フェスで飲食を仕切っています。

そんな 烏川さんも、今後は クラフトビールは音楽フェスとの関係は増すだろうと述べています。
「1997年のフジロック、その当時 クラフトビールのマーケットはありませんでした。まだ オクトーバーフェスもなかった。ただ 夏の風物詩百貨店の屋上の“ビアガーデン”イベントだけがありました。」
烏川さんの元にも ビールイベントの多く依頼が届きました。
「しかし、提供できるビールは国内大手4社のビールだけでしたから、ビアガーデン自体にさほど特徴はありません。しかし その後は、海外ブランドが国内に進出してきた時期でしたので 海外ビールメーカーがイベント協賛に積極的でした。」
ビールがインポートブランドなら 車も当然外車だろ、と烏川さんは予算を度外視してシボレー(Chevy)のビールトラックを発注しました。

フェススポンサーになってくれたのはオランダのハイネケンでした。」
ビアフェスの会場は有楽町の国際フォーラムが名乗りを上げてくれました。

烏川さんは前例のないフェス運営という「道なき荒野」を独自の勘にも似たマーケテイング手法で 切り拓いていきました。
1回目のフジロックの観客が30,000人 直近の2025年のサマソニは25万人です。
規模が巨大になれば、失敗はそれらを生業にしている者にとっては生きるか死ぬかの窮地に追い込まれるのは間違いない。
フェスビジネスはバランスが肝心、電卓だけでは通用しない
そんなイベントでの仕込みを読み切るのは 並大抵ではありません。
これだけの規模になると、机の上で電卓を叩くだけでは通用しません。
烏川さんは「頃合い」と言う表現を使います。
言い換えると「バランス」
「ビジネスは、うまくいかない時もある。ぶつかる時もある。それを突破していくには「頃合い」で乗り切りました。」
烏川さんは続ける。
「天気が云々という話ではないんです。僕の音楽フェスのスタートはフジ・ロック1回目 台風直撃です。環境に配慮し、参加者のマナーも向上させ、いまや “世界一クリーンなフェス” とも呼ばれるフジロック。結局、フジロック1回目は2日間のライブは1日だけで中止でした。」
2日分仕込んだ食材にビールはもちろん 焼きそば 20,000食 カレー10,000食 ホットドック 10,000本 その他諸々 食事物は全て仕込みがあります。
ビールにももちろん 仕込みがあります。
生ビールのケグがバックヤードに山積みになっていて、その樽を激しい雨が叩きました。
ここまでくると「いくら売れるか?」なんて、もう関係なくなります。
仕入業社に連絡を入れて、少しでも返品をお願いします。
この返品作業で一番 大切なのが、それまでの業者との関係性でしょう。
相手も ギリギリのところで こちらが困っている状況を理解してくれています。最悪は廃棄ですので 少しでも返品に応じてくれました。
その返品へのお礼は次回のイベントで借りを返すしかありません。
もちろん 収支は“大赤”です。
しかし 現実を認めつつ、次のイベントへの経験値が獲れたことを 知見にしていくしかないのです。
この覚悟がないとイベントプロモーターは勤まりません。
近年 デベロッパーから 「ビアフェス」の依頼が多く入ります。
以前は夏のビアガーデンだけでしたが、クラフトビールが流行ってからは 1年中 オファーが入ります。10月、GW, ビールだけではありません。キッチンカーでの食事の提供も同様です。
おそらく 当社(ワークストア・トウキョウDO )ほど、キッチンカーを差配できる会社は日本中 どこを探してもありません。
イベントに合わせて 「2−3台 週末で」ぐらいなら対応できる会社もありますが、夏の期間、7月と8月 キッチンカーを10台 クラフトビールの銘柄を最低でも10社 なんて 注文がザラです。
デベロッパー プロモーター イベント会社から一気にオーダーが入って、その注文に応えるわけです。
「クラフトビール系のイベントはどこもやりたがっていますね。」
事実、自治体主催によるクラフトビールのイベント依頼は増えています。
秋晴れの空の下で飲むビールの味は格別です。しかし その増えた分、似たようなイベントも多いように感じます。
極端ですが、イベントは 思っているほど 儲かりません。
昭和の時代、ビアガーデンはドル箱でした。毎晩 1,000リットルの大タンク4−5本が空になりました
フェスも然りです。 警備が今ほど、規制がありませんでした。言ってしまえば緩かった。会場の警備に加え、近隣の交通警備の経費も増えました。20年前、1日 10ポストで警備コストを弾いていたイベントが今は3倍の30ポストの時代です。
仮に単年で利益が出たとしても、翌年 台風が来れば 前年の利益は綺麗さっぱり、吹き飛びます。
多くのクラフトビールが一堂に楽しめる(飲める)のが ビアフェスの魅力です。
しかし それだけでは 今後 集客が難しくなると思います。
単なる「ブルワーの数合わせではない」と言うことです。
ビアフェスに必要なのはビールの「数合わせ」ではなく主催者の「熱狂」
やはり イベントに必要なのは「熱狂」です。
音楽イベントでも、ビアフェスでも、これは変わりません。
この「熱狂」を感じないイベントは意味がない。
少なくても 主催者側が「熱狂」を仕掛けなければ 人気あるイベントは生まれません。「人気」という曖昧な言い方でないとすれば 「毎年継続できるビアフェス」と言っても良いかも知れません。
最近では 集客を見込んで 自治体がビアフェスを主催するケースも増えていますが、ビールを飲むだけのイベントに終始している感じがします。
こんなこと言うと、叩かれそうですが、自治体が主催するイベントは「熱狂」を訴求するポイントが少ない。
ビール業者を複数揃えて、音楽ステージを用意して、知り合いのミュージシャンをブッキングして、 チャンチャン。
「はい ビールイベントの一丁出来上がり」ではないはず。
もちろん ビジネスですから 受ける場合もありますが、つまらないイベントに声をかけると、ビールメーカーやキッチンカー業者にも 申し訳ないと言うことです。
狭い業界ですから、「烏川が仕切るイベントは儲かる」と言う噂が大切なんです。

烏川さんとのイベントに興味のある方は ぜひ 連絡してください。(もちろんご紹介もします)
ビアフェスは今や一部の愛好家のものではなく、広く文化として根づきはじめています。
造り手と飲み手の距離が近いことが挙げられるビアフェスの魅力。
ビアフェスの新しいマーケットを創りたい
増え続けるビアフェス、その中には 残念ながら 正直 似たり寄ったりのイベントも多いのが事実。
しかし 烏川さんはフェスの『未来』も感じています。実は 野外フェスは行政との戦いでもありました。コロナ禍で規制緩和もありましたが、現在はその特例措置もなくなりました。そもそも 日本の酒産業は税金との100年戦争の歴史もあります。我が社の創業は1963年、烏川さんのお父上がホットドッグ屋の移動販売を始めたのがビジネスの始まり、 昭和 平成 そして令和と70年近く 日本のビアガーデンや野外フェスなど、ビールイベントと共にありました。
これからもフェスビジネスの発展はもちろんですが、新たな展開を考えてみたい。データによると 醸造所も1,000箇所、これは 日本全国にある経済圏です。点在している経済圏を面にしていくような展開を想像しています。
TRANSPORTER Beer Magazineの持つネットワーク
ワークストア・トウキョウドゥの経験値
あとは その土地に根付くカルチャーが備われば 良いと思います。これはクラフトビールにしかできないレガシー(legacy)です。その土地で歴史を育んでいる醸造家、醸造所の存在が大切。まずは そんな一緒に組める仲間を増やしていきたい。
フェスを牽引してきたビールマンは今 未来を見据えている。そのキーワードは「熱狂」、ぜひ そん
熱狂」を作る仲間に加わってください。
株式会社ワークストア・トウキョウドゥ(https://www.w-tokyodo.com/)
·about:イベント会場における飲食エリアの企画・運営 · オリジナルフードの販売 · コラボレーションフードの企画・制作・販売.
【業務実績】
ジャンプフェスタ【ジャンプ屋台村】、 Fate/Grand Order 【コラボフード】、AIR JAM【AIR JAM WATER】、XFLAG PARK【XFLAG KITCHEN】、MAN WITH A MISSION【東京田中亭】、SUMMER CAMP/人間交差点【アーティストコラボフード】、長渕剛 10万人オールナイト・ライヴ 2015 in 富士山麓【長渕食堂】、SEKAI NO OWAR I 【TOKYO FANTASY】、Augusta Camp【オーガスタ食堂】、L'Arc-en-Ciel 【 L'ArCASINO/L'ArBAR/L'ArCAFE/らるく屋】 他イベント、アーティストコラボフード多数
成功する「キッチンカー移動販売」開業法(旭屋出版) 著者:烏川清治

発行は2022年とありますが その初版は1990年の発行、今から30年前、まだキッチンカーが珍しかった時代です。筆者の烏川さんと一緒にこの本をまとめたのが 実は私(TRANSPORTER編集部W),その後に巻き起こった空前のキッチンカーブームのきっかけを作りました。30年を超えるベストセラーです。
※このテキストは編集部が原稿を構成しています。写真や資料の引用についてはその引用先を明確にして、細心の注意を持って情報を取り扱っていますが、不備な点等 ございましたら何なりとご一報ください。訂正、又は削除致します。

