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AMERICAN BEER COLUMN #9 -アメリカビール片手にアメリカ式BBQのすすめ-

TRANSPORTER BEER MAGAZINE No.16(2017)

2022年 11月 14日 10時 03分 投稿 307 Views
アメリカ人のビール好きを語るより簡単なのがアメリカ人のBBQ 好き。もちろんバーガーやピザも人気メニューだが、BBQ へのこだわりも強い。業界で唯一アメリカにとことん特化すると自負する弊社だったが、ビールについては頑張っていてもフード文化への貢献はまだまだ。そう感じて「アメリカに特化する会社としておいしいアメリカをもっと体験してもらおう!」と一念発起。数ヶ月前に某イベントがきっかけでBBQ グリルを社として購入!(我が家には2台もあってアメリカ移住以降は使っていないにもかかわらず!)新品グリルは、お得意先様でのBBQ イベントの企画で飛び回り、すでに大活躍。兎にも角にも、アメリカフード文化で放っておいたらいつまでも長話されるくらいのネタがビール以外ではBBQ。そこで今日は「日本人だからこそ」の観点で、アメリカビールの話題には欠かせない「BBQ」をご紹介したい。

 1 日のスケジュールを終えて一息つくときあるものといえば、現代生活にはなくてはならない「テレビ」かも。ここで「なーんだ!」とクスッと笑いが漏れるかもしれない。日本にいたときは、テレビはほとんど観なかった私が、アメリカのテレビにはハマってしまっている。しかも数百はあるテレビ局の中でも、そんな私が飽きもせずに見続けているのは、アマチュアから歌姫の原石を見つけるオーディション番組でもなく、ストーリー展開が映画顔負けのアクションドラマでもない。私がハマっているのは「Food Network(フードネットワーク)」というテレビ局。1993 年に開局したフードネットワーク局は、日本で同年に一大ブームを巻き起こした料理番組『料理の鉄人』をアメリカ版『Iron Chef』として制作するなど、1 日中ずっとフード番組を放送しているテレビ局のひとつ。その局の人気番組のひとつが『Diners Drive-ins and Dives』。通称『トリプルD』。元イタリアン料理シェフの男性が全米各地を旅しながらレストランのオーナーやシェフの看板フードを紹介していく番組。ちなみにこの番組でもかなり多くの頻度でクラフトブリュワリーやクラフトビールレストランでの様々な料理と共にクラフトビールが紹介されている。

弊社所有のBBQ グリル初登場シーンは、アメリカの本場の技術をアンドリュー( 弊社創業者) からしっかり叩き込まれたBBQ 伝道師のケン( 弊社営業マネージャー) の二人三脚。

 この『トリプルD』で取り上げられる回数の多い料理がBBQ。そう、アメリカ人のBBQ 好きは言わずもがな、大好きを超えている。日本家庭での「煮物」「カレーライス」「お味噌汁」の味が各家庭で違うくらいBBQ も各家庭、各レストランの味が違う。ブリュワリーレストランが紹介されるときは、自社ビールを使った特製ソースを肉にたっぷり染み込ませて焼きあげる。もちろん盛り付けの画像にはちゃんとビールも映っている。やっぱりクラフトビールはBBQ の多彩さを引き出せるアイテム、と感じられる瞬間。ご存知の方も多いかもしれないけれど、Stone Brewingも併設レストランでも使われるBBQソースを販売、Sierra Nevada やNew Belgium でも自社ビールを使ったオリジナルのホットソースやマスタードを販売している。焼きあがったハンバーガーやソーセージにビールメーカーが作るBBQ ソースやマスタードがビールに合わないわけがない。ビール片手に、「すぐ焼いてすぐ食べたい!」という人には、この手だ。

■アメリカンスタイルならやっぱりスキレットで焼くステーキ
• スキレット(鉄製フライパン)から少し煙が上がるほど熱々に熱する
• オリーブオイルを薄く敷く
• 塩胡椒をしたステーキ肉を好みの焼き加減で両面焼く
• 皿に付け合せ野菜とお肉を盛り付ける
• ここで登場! BBQ ソースをたっぷりかける‼
• たっぷり絡ませて食べる!

アメリカではよく食べられる芽キャベツ。スキレットを使うことが多い。ビールとの相性抜群! (Hop Saint)

 日本でも焼肉といえば焼肉のタレ。BBQ にはBBQ ソースと言うのも納得できるがそれ以外にもBBQ は楽しめる。次にご紹介するのはソースとは別のアメリカ式BBQ の王道。使用するのはBBQ ラブ。ラブと言ってもLOVE のラブではなく、RUB。「RUB= 刷り込む」という言葉の意味どおり、フードに味をなじませてから焼き上げるという下味スパイス。言葉だけを見ると「手間がかかりそう・・・」と感じるかもしれないが、実は簡単。BBQ ラブは様々なスパイスがミックスされたもので、アメリカではスーパーの肉売り場以外にもスパイスコーナーやBBQ ソースコーナーに並んでいる。スパイスと言っても小さい子供でも辛くないものもあるのでお好みによってチョイスしよう。使い方も自由自在。例えばチキン胸肉のグリル。胸肉を柔らかくするためにマリネする際、ビネガーと水に2 − 3 時間。そのあと水気を切った後でBBQ ラブを満遍なく刷り込むと柔らかくてジューシー、さらにしっかり味がつくので焼いた後のソースが要らないほど。好みの味のラブで瞬く間にアメリカンBBQ テイストになる便利な代物。今回はアメリカ人の大好きな定番チキン。和食でも中華でもアメリカのレストランでは必ずメニューにある「チキンウィング」もBBQ ラブを使ってみよう。

■アメリカ人はラブ・チキンでラブウィング!
• 買ってきたチキンに塩胡椒、BBQ ラブが満遍なくつくように絡める
•10 − 15 分休ませる(長時間置かなくても大丈夫!)
• グリルで焼く!(オーブンでも可)

 よく聞く「BBQ といえば肉!」というのは実は半分不正解。BBQ といえば「シーフード」もアリ。東海岸では大きなロブスターがBBQ で登場することも多いが、お値段は少々高め。あくまでリーズナブルな家庭の味として人気が高いのはサーモン。アラスカサーモンやノルウェーサーモンは日本でも馴染みが深いので、ぜひここでアメリカンスタイルを。ご紹介したいのは、CEDAR PLANK(シーダープランク)。Cedar とはヒマラヤ杉、Plank(s)とは厚い木の板のこと。つまり、「ヒマラヤ杉の厚い木の板の上で調理する」という意味。アメリカに滞在経験、旅行経験があった人なら多分ご存知かもしれないが、レストランでも家庭でも、このシーダープランク(板)もアメリカ式BBQ では欠かせないほどの人気アイテム。どのスーパーでも入手でき、多くは2 枚入りで魚売り場近くに並べられている。調理済み商品コーナーでは小さめのサイズのシーダープランクの上に魚が乗せられた状態で販売されており、この場合、あとはグリルの上に乗せるだけ!というお手軽さ。今回は自宅でできる「シーダープランクサーモン」をご紹介しよう。

■シーダープランクサーモン

• シーダープランク(板)を30 分から1時間水につける
• 皮目を下にしてシーダープランクの上にサーモン(半身)を乗せる
• サーモンにオリーブオイル、塩胡椒
•(お好みで)BBQ ラブをかけても。
• グリルの上で焼く
• プランクに乗せたままで大皿に乗せてテーブルの上へ。

(お好みで)グリルに置く前にメープルシロップをサーモンの上に少し掛けると焼きあがったサーモンがほんのり甘くなんとも言えないジューシーさが閉じ込められていて絶品!

蛇足だが、このシーダープランクサーモンが放送で取り上げられたサンフランシスコ近くで展開するクラフトバーレストラン『Jonny Garlics (jonnygarlics.com)』では、クラフトビールも品質と共にセレクションも評判が高い。何しろ入り口からFirestone Walker のケグ(樽)でお出迎えしてくれるので嫌が応にもテンションは上がること間違いなし。

食欲の秋。おいしいビール片手に楽しいBBQ タイムを!

大平朱美akemiohira
( 株) ナガノトレーディング代表取締役
アメリカビール冷蔵管理輸入のパイオニア。アメリカ食文化情報発信基地として横浜関内に直営店Antenna America を運営。カリフォルニア在住。
     

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