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European NOW!! -“ヨーロッパの今”-

TRANSPORTER BEER MAGAZINE No.5(2015)

2022年 11月 14日 10時 01分 投稿 224 Views

“ 絶対的な余裕と自信の国 ! ベルギー ”

どれだけ新しいスタイルのビールが流行ろうと、やはり憧れるはベルギービールなのでしょうか?ベルギー人と話すと一歩引いて今のクラフトビールブームを捉えているその姿に揺るぎない自信を感じます。そしてベルギー以外の国の人と話すと、やはり”ベルギービール “と言うのは特別な存在の様です。

(Brewery)

Brasserie de la Senne De Struise Brouwers デ .ラ .セーヌ醸造所ストライセ醸造所

ブリュッセル市内なので比較的行きやすいですが場所は分かり辛いです。オーナーのベルナルドの考え方はストレートで迷いが無い。最近流行っているコラボレーションは『自分たちの文化忘れているように見える』と。彼らはオリジナルビールを醸造する時はヨーロッパ産の原料にこだわっています。ここ数年ブリュッセルのカフェでは必ず見かける人気ビールです。

De Struise Brouwers ストライセ醸造所

ベルギーのファンキーブリュワリーは︎基本ハイアルコール。インペリアルスタウト、WIPA、バレルエイジ、サワー等々。アメリカの3Floyds,Hair of the Dog, 日本ではRioBrewing ともコラボしています。土曜日の解放デーなら予約無しで見学OK。訪問した時もオランダ、イタリア、オーストリア、アメリカ、フランスなど世界中から見学者が。そんな人達とビール話が出来てしまうのも楽しいです。忘れてならないのはしっかり地元のお客さんも来ています。地元で愛され、世界から注目されているベルギーの異端児です。

Brasserie Fantôme ファントム醸造所

超個性派& マイクロブリュワリー「ファントム」。造るスタイルはセゾンのみ。ベルギー国内でもほとんど出回らない希少なビールでドラフトは地元SOY 村だけ。そして一筋縄ではいかない強烈な個性のブルワーダニー。ビール( 特にイースト)について色々質問したところ途中から『も~、Too much question! 僕のビールは世界で僕にしか造れないんだよ。』と!色々な醸造所見学へ行きましたがこんな事言われたのは初めて(笑)しかし人柄はすごくキュート。ファントムのビールはラベルにも秘密があり、特にBrise-BonBons! には今のビールの流れに関するブラックジョークが隠されています。醸造所へ行くのは難しいですが近くのブラッスリーでファントムのビールを使った料理が食べられるのでお勧めです。

Brasserie Augrenoise オーグレノワーズ醸造所

障害のある方の自立支援のために造られた特別な醸造所です。主にオルヴァルがサポートしており酵母もオルヴァルのイーストを使用。醸造設備は全て寄付。ボトルも近隣のレストランやカフェからのリサイクル。だからバラバラ。安全が最優先されるため薬品は一切使いません。醸造所の名前がついたブロンドエールは非常にバランスが良くレベルも高いです。しかし売ることが目的ではないので入手はなかなか難しいのが残念。

 

(Beer Bar)

MOEDER LAMBIC

ブリュッセルでヨーロッパ中の良いビールが集まる店と言えばここ! ベルギーでは多めの40

タップ。地元カンティヨンが樽で飲めます。最近日本でも注目のスイスのBFM やイタリアのLoverBeerもドラフトで。この時はスペインのクラフトビール”Agullons Dalmou” をボトルで。2012 年に来た時はMikkeller 1000IBU のバレルエイジなどを。ここにはヨーロッパビールの【今】が詰まっています。

BIER-CIRCUS

ブリュッセルの老舗ブラッスリー。世界的にドラフトが主流となっている中で圧倒的なボトルビールの品揃え。ボトルビールがどんどん空いていきます。ベルギーの田舎へいけばそれもごく当たり前のことですが( 例えば750ML の大瓶をシェアせず1 人1 本飲みます。しかも同じ銘柄︎ )。リストもクラシックなものから、St.Feuillien とGreenFlash のコラボビール( これはタップ)、Br.De Dolle など新しいビールまで。伝統を守りながら新たな挑戦も。ここ数年ビールを飲み始めた人達に是非行ってもらいたいお店の一つです。ボトルコンディションの面白さ、ボトルビールの魅力を存分に味わえます。


“ ワイン文化の国がクラフトビールを ! フランス ”

まだまだワイン文化が根強いフランスでクラフトビールを広めようと真摯に頑張っている人達がいます。

( brewery & Beer Bar )

Brasserie LA GOUTTE D’OR

2012 年パリに初めて出来たマイクロブリュワリー。ブロンドやアンバー、セゾンといったベルジャンが多いですがIPA は勿論” ブロンド•トリプル” など珍しいスタイルを作っています。ホップは効き過ぎずバランスを重視しているヨーロッパらしいビールが多いです。地元の人以外にもアメリカからのお客様や絶えず出入りがあって開店してすぐでも忙しそうでした。ちなみにここで買えますが飲む事は出来ません。
*治安が良くないエリアなので遅い時間はお勧め出来ません!

La Fine Mousse

パリでクラフトビールといったら絶対に外せないお店です。20 タップの内、半分はフランスのビール。それ以外にクラシックなベルギービールから、イタリア、オランダ、BREWDOG にMikkeller など。さらにシードルがドラフトで飲めます。さすが食の国! と言わしめるチーズとシャルキュトリーは今までどこの国で食べたものより断トツで美味。連日激混みですがスタッフが丁寧にビールの説明をしてくれます。個人的にはボトルで飲んだBrasserie des Vignes/Bulles de Vignes が印象的でした。


“ 圧倒的な技術と伝統の国! ドイツ ”

数百年の歴史と伝統。一見時が止まったかのように見えるドイツのビール文化は実は劇的に変化しています。
伝統を守り続ける者、アメリカビールが大好きなバイエルンの醸造家、パンクなベルリンのビール市場。
ドイツほど『行かなきゃ分からない』国はないのではないでしょうか。

( Bayern / バイエルン)
ドイツと言えば欠かせない伝統の州。

KLOSTER WELTENBURG ヴェルテンブルグ修道院

1050 年からビールを造るドイツ最古の醸造所のひとつ。目の前にはドナウ川が流れ、静まり返っていました。樽出しの貴重なアッサム• ボックを頂きました。モルトの甘みが凄いこの味を忘れる事はきっと一生ありません。今のクラフトビールブームを考えると、ここのビールは地味です。しかし『歴史の重さ』をこのビールが教えてくれます。最古の歴史を持ちながら今もなお変わらぬ情熱でビールを作り続けています。

Brauerei Hummel ヒュメル醸造所

ドイツと言えばケラービール。ケラーとは英語でセラーの意味で、自然環境の天然酵母で醸造し地下の低温所で熟成したビールの事です。ここのケラービールは最高に美味しかったです( 後日ドイツマニアの方もHummel にいきましたがその方も大絶賛)。地元の為のビール作りをしているので輸出はしません。交通手段が非常に不便ですが” ケラービールを求めて” なんて旅も面白いかもしれません。余談ですがこの地方で面白いのが定番はケラー、へレスでスペシャルがピルスナーだったりするのですが、これは行かなきゃ分からない事の一つかもしれません。

 

( Berlin / ベルリン)

HOPS&BARLEY ホップス&バーレイ

デスメタルがガンガンかかるブリューパブは横浜某所を思わせますがセレクトしているのはピルスナー、デュンケル、ヴァイツェンなどドイツらしいビールの数々。チーズもオーガニックに拘るなど音楽のわりにビールも食事も優しかったです(笑)。ベルリンの新しいマイクロブリュワリーですが伝統を大切にしている所に好感が持てます。

BREWBAKER ブリューベイカー

市場の中にあるブリューパブ。IPA、Imperial Stout、D o u b l e I P A 、D o u b l e Smoked Red Ale 等を造るファンキーな醸造所で「新しいドイツ」を感じたいならここ。一見感じが悪いですが(!)ビールの話をするとご機嫌です。もともと技術があるドイツが造る新しいスタイルの「ドイツビール」です。


“ クラフトビール急成長 ! デンマーク&スウェーデン ”

近年クラフトビールの成長が凄まじい北欧。今回はスウェーデンのビアフェスに参加。
出展者側という貴重な体験です。

( Festival )

ALL IN BEERFEST スウェーデンのクラフトビールフェスティバル。

まず、スウェーデンのクラフトビールは全体的にレベルが高いです。アメリカの影響と元来エクストリーム好きな彼らのビールはホッピーなものが根強い人気です。サワーも増えています。しかしModern Kellerbier と称してケラービールを作っている所も。加えてデザイン性を重視する北欧ならではのラベルもハイセンス! (2015 年春に三軒茶屋ピガールにて【Scandinavian Craft Beer Label Exhibition/ 北欧ビールラベル展】を企画中)。ちなみにこのビアフェスには地元ヨーテボリのみならずスウェーデンのスター的存在のOmnipollo, イギリスのMagic RockBrewing,SIREN CRAFT BREW, デンマークからはMikkeller, 超マイクロのFlying Couch Brewing, アメリカのCIGAR CITY BREWINGなども参加。スウェーデンのクラフトビールから今後目が離せません!

 

(Brewery )

Mikkeller ミッケラー

コペンハーゲンだけでも【Mikkeller Bar Viktoriagade】【Mikkeller&Friends】【Mikropolis】【ØL&BRØD】と4 店舗展開。ビールはミッケラーのみならずアメリカのビールも充実。3Floyds,Cigar City,Prairie,Surly ,Hoppin’ Frog 等々が飲めて買えます。最早アメリカに行かなくてもいいのでは?と思えるほどの品揃え。世界で唯一デンマークで造るチェリーワインもミッケラーで飲むことが出来ます。1番クールなオリジナルのViktoriagade、種類が豊富でボトルを買うこともできるFriends、ビールカクテルを楽しめるMikropolis、フードペアリング( 昼は伝統的なスモーブロー) が出来るØL&BRØD。印象的だったフードペアリングはオニオンスープ× Surly Overrated West Coast IPA。新しい発見がいつもあります。

WarPigs

ミッケラーがアメリカの3Floyds と立ち上げたブリューパブ。2015 年3 月オープン予定。工事中の中を見せてもらいましたがかなり広いです。食事はBBQ。すでに2015 年5 月のCBC(Copenhagen Beer Celebration)のためのビールがいくつかありました。なぜついに醸造所をもつことにしたのか? の問いに『世界一になりたい。』と答えてくれました。

Fanø Bryghus ファヌー醸造所

コペンハーゲンから電車、バス、フェリーを乗り継ぎ片道約4 時間。クラフトビール以外にチーズ、サーモン、ハチミツ、と美味しいものに溢れた島、ファヌー島。そこにただ一軒ある醸造所で現ヘッドブリュワーとして働くマイクはアメリカのLeft Hands Brewing 出身。今ほど大きくなる前のEVILTWIN BREWING のビールもここで醸造されていました。オリジナルビール以外にも多くのファントムブリュワーのビールを醸造。ウェストコーストIPA やハイアルコールビールも作っていますがピルスナーも人気。その理由はシュナップス(ジャガイモの蒸留酒)を飲む文化がある北欧ならではで、チェイサーとしてピルスナーを飲むそうです。

Det Lille Bryggeri リル醸造所

その名の通り” 小さな醸造所”。北欧人の大好きなリコリスに更にダブルチリやビーツ入りのビールなどなどユニークなビールを作っており、今はAmerican Beauty Session IPA が人気。いつもアイデアを考えていて多い時は年間40 種類ほど新しいビールを醸造する。小さいながらもチャレンジ精神いっぱいの醸造所です。

 

( Beer Bar )
本当にローカルを楽しむならこの3 軒!

【コペンハーゲン=ミッケラー】これがクラフトビール好きの入門編とするならば、もっとディープでローカル、地元の人に溶け込みたい人にお勧めの3 軒。

Fermentoren

僕らがコペンハーゲンで1 番好きなビアバー。リストも流行に乗り過ぎずバランスが良いです。

Charlie’s Bar

カスクのビアバー。デンマークにありながら完全にブリティッシュ! 超硬派。また違うビアシーンを見たい方に。

LORD NELSON

デンマークのマイクロブリュワリーのみ。お店オリジナルサイダーも。最高に良い店です。

( Restaurant )
クラフトビールを扱うレストラン

Mikkeller やEVILTWIN BREWING が積極的にレストランとコラボしているせいかデンマークの高級レストランではクラフトビールを扱う所が増えています。

noma

言わずとしれた世界一のレストラン。Mikkeller やEVILTWIN BREWING もビールを作っていました。僕らがビールの人間だと知っていたのでスタートはシャンパンではなくクラフトビール。スタッフの方もミッケラーバーへ行くそう。ちょっとしたハプニングがあり、間違いなく世界一だと実感。来年には日本にも期間限定で店舗がオープン。

 

MIELCKE&HURTIGKAL

最近日本にも入ってきたミッケラーの【MAD BEER】シリーズを作ったのがここ。料理はその時により変わりますが和食にかなりインスパイアされていました。

 

( Shop )
クラフトビールを買うなら

KIHOSKH

その名の通りキオスクなので食品、雑誌、なんでも売っています。しかしミッケラーがここの為だけに作ったオリジナルビールや出来たばかりのRocket Brewingのビール等ここでしか買えないビールも。

ØLBUTIKKEN

ここではビール飲むことも買うことも出来ます。世界が” クラフトビールブームだ!” と話題になっていますが、本当にそうでしょうか? まだまだIPA が何か知らない人はいるし大手のビールの倍以上するビールを積極的に選ぶ人は極少数です。『ワインはないの?!』と全然言われるよ!とオーナーのモルタンは言います。もっともっとクラフトビールを広めたいから定期的にイベントを開催しているそう。東京から8000 キロ離れた地で僕らがすごく身近に感じているお店。いずれØLBUTIKKEN × Pigalle Bottle Shop でボトルショップコラボレーションを! と。

( Other )
最後に忘れてならないのが

John’s Hotdog Deli

実はホットドックが国民食のデンマーク。あちこちにあるホットドックスタンドの中でも断トツで美味しいのはここ。なんとnoma スタッフにもホットドックを提供したことがあるのでその味は抜群です。ミッケラーのマスタード、チリソース、さらに3Floyds のDark Lord Day にも招待されDark Lord をいれたマスタードを使ったホットドックが話題に。2週間ごとにコペンハーゲン中央駅前に出店。スケジュールは要確認です。

O M A K E !
旅先で色々な人にCaptain Crow 渡しちゃいました。 これからどんどん日本のビールが ヨーロッパの人達にも楽しんでもらえる様にならないかな!

 

     

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