The reason a "Dead Guy" has survived for over 30 years: Rogue Dead Guy Ale—why a beer from 1990 is still around in 2026.

26 August 2026 vol.234
ラガーのスタイルを、エールの技術でつくった John Maier
1990年、オレゴン州ポートランド。 当時のクラフトビールは、まだアメリカのビール市場の“主流”ではなかった。そんな時代に、Rogueがつくった一本のビールがある。

死者の日〈Dia De Los〉のために誕生したビール
その名は、Dead Guy Ale。 きっかけは、ポートランドのTex-Mexレストラン「Casa U-Betcha」から依頼された、11月1日の「Día de los Muertos(死者の日)」のためのビールだった。

つまり、最初から「Rogueを代表する商品をつくろう」と始まったわけではない。
むしろ、イベントのためにつくられたビールだった。1990年に初めて醸造・ボトリングされたことは、Rogue自身も明記している。 そして、ここからが面白い。 「Maierbock」だったビール 現在のDead Guy Aleは、ドイツのMaibockをベースにしたエール。

しかし、もともとはMaierbockという名前だった。
Rogueの伝説的なブルワー、John Maierがつくったビールだから「Maierbock」。
ところが当時、Rogueには発酵タンクが3基しかなく、ラガーを長期間熟成させる余裕がなかった。
そこでMaibockのようなモルト構成を持ちながら、Rogue独自のPacManエール酵母で発酵させた。

結果として、 「ラガーのスタイルを、エールの技術でつくる」 という、ちょっと変わったビールになった。 そして、それが逆に面白かった。 John Maier自身も、Dead GuyはもともとMaibockだったが、ラガーリングする設備が足りなかったためPacMan酵母で仕込み、飲んだ人たちに好評だった、と語っている。
いまさら聞けないMaibock?
マイボック(Maibock)とは?ドイツ語で「5月(Mai)」を意味するのが由来。ビールの国ドイツではアルコール度数が高く濃厚なコクを持つドイツ発祥のビール「ボック」と呼ぶ。別名「ヘレス・ボック(Helles Bock)」とも呼ばれることがある。
名前より先に、骸骨のデザインのキャラクターが売れた
名前より先に、キャラクターが売れた さらに重要なのが、あの骸骨(skeleton/skullは頭蓋骨)「のデザインだ。 Casa U-Betchaで使われていた「Dead Guy」のイメージが人気になり、Rogueがそれを引き継ぐことになる。

つまり、 ビール → ブランド → キャラクター ではなく、
イベント → 名前とキャラクター → ビールブランド という順番だった。

これがDead Guyの面白さだと思う。
2017年にRogueが12oz缶を初めて発売した際にも、同社は「26年間にわたってDead Guyのラベルが使われてきた」と説明している。 そして、30年以上生き残った。
1994年にはWorld Beer ChampionshipsでBronzeを受賞。
その後も2003年Gold、
2008年Gold、
2011〜2016年にもGold/Silverを獲得するなど、
長期間にわたって評価されてきた。
そして現在、RogueはDead Guy Aleを「nearly 35 years」の歴史を持つビールとして紹介している。
2026年から振り返れば、1990年生まれ。36年目だ。
Dead Guyが教えてくれる「クラフトビールの強さ」
⸻ Dead Guyが教えてくれる「クラフトビールの強さ」 ここに、今のクラフトビール業界が考えるべきことがある。
IPAが流行る。
Hazy IPAが流行る。
Lagerが復活する。
次々と新しいスタイルが登場する。
その一方で、Dead Guy Aleは30年以上、大きく変わることなく生き残ってきた。
もちろんレシピや原料、パッケージには変化がある。 しかし、「Dead Guy」という世界観は変わらない。 これは、単に「昔からあるビールだから売れている」という話ではない。
むしろ、 流行を追わなくても、ブランドそのものが時代を超えられる。 ということではないだろうか。 1990年当時、Dead Guy Aleは最先端のビールだったわけではない。
流行を追わなくても、ブランドそのものが時代を超えられると言う証。それが「Dead Guy」
むしろ、Maibockというクラシックなスタイルを、エール酵母でつくるという“ちょっとしたズレ”から生まれた。 そのズレが、Rogueらしさになった。 そして、骸骨という一度見たら忘れないキャラクターが、そのビールを「商品」から「ブランド」に変えていった。
ビールは、レシピだけでは長生きできない。
味。 名前。 デザイン。 ストーリー。 そして、そのビールが存在する理由。
Dead Guy Aleには、その全部がある。
だから36年経っても、「Dead Guy」は死なない。
むしろ、クラフトビールが次々と新しいものを生み出す時代だからこそ、「変わらないこと」の価値が、もう一度見直されてもいい。
1990年、ポートランドで生まれた“死んだ男”。 36年経った今も、グラスの中ではまだ生きている。


この「TAJI JARNAL」とマークされているテキストは 本誌編集長田嶋伸浩が執筆しております。

【略歴】 田嶋伸浩
2013年よりクラフトビール専門誌『TRANSPORTER BEER MAGAZINE』発行人となる。
2017年ベルギー発修道院ビール『CHIMAY』と契約、ジャパンマーケテングを担当。その後もクラフトビール業界において幅広く活動、会社顧問商品開発、店舗開発,コンサルティング、ブランドプロデユース、デザイン、広告、関連の仕事を数多く行なっている。
2018年伊勢角屋麦酒顧問就任
2019年FAR YEAST BREWINGアドバイザリー就任
2021年鎌倉ビール顧問就任
FAR YEAST BREWING TOKYO 店舗開発
伊勢角屋麦酒 八重洲店・新宿店・新橋店 店舗開発
株式会社なんつね飲食部門オリジナルビール企画店舗監修
BLACK TIDE BREWING 合同会社 代表社員
株式会社FUKUOKA CRAFT 代表取締役
株式会社ライフコーポレーションでのオリジナルビール企画、デザイン。
スーパーマッケット オオゼキでのオリジナルビール企画
株式会社RETTY でのクラフトビールイベント企画。
株式会社日テレ7でのオリジナルビール企画、アドバイザリー。
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