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Ryo’s EYE -From issue 15-

TRANSPORTER BEER MAGAZINE No.15(2017)

2022年 11月 14日 10時 02分 投稿 223 Views

 先日、6度目のアメリカ訪問をしてきた。あれ、こないだも行ってきたじゃないかって?前回はプライベート、今回は仕事です(笑)今回の目的はワシントンDCで行われたCraft Brewer’s Conferenceに参加するため。年に一度のビール界の学会&展示会のようなもの。2年に1度World Beer Cupというコンペティションも行われます。昨年うちが見事金賞を受賞したコンペですね。今年は残念ながら開催されませんでした。ビール業界で働く人間以外にはあまり参加する機会もないだろうと思いますので、せっかくなのでどんなことをやっているのか紹介したいと思います。

 まずはこのCraft Brewer’s Conference(通称CBC)、4~5月に4日間行われ、毎年開催地が変わります。昨年はポートランド、今年はワシントンDC。来年はテネシーのナッシュビルです。参加資格は基本的にはビール業界の人間に限られますが、ブルワーズアソシエーションに加入さえしていればチケットは購入できるので、これからブルワリーをやりたいといったような人もたくさんいます。開催内容をジャンルで分けるとざっくりこんな感じ。

●ブルワリーツアー
●レセプションパーティ
●セミナー
●展示会
●ビアバーでの非公式のイベント
●(ワールドビアカップ)

ということで、順にご紹介していきます。

 まずは初日に行われたブルワリーツアーから。全体でツアー自体は10コース程度あり、今回私が参加したコースはワシントンDC北部、Loudron、Fairfax地方をめぐるというもの。計5か所を朝8時集合、夕方5時解散というなかなかのハードスケジュール。とにかく着く場所着く場所でビールを浴びるように飲み、ブルワリーを見学するというなんとも豪快なツアーでした。かなり規模の大きいところから小さいところ、最近話題のヘイジーなのを造っているところから委託醸造を専門で行っているところなど、様々な業態のブルワリーを訪れることができました。どこのビールもおいしかった。同じツアーに参加している同行者も、ブルワーはもちろんのこと、これからブルワリーを立ち上げる人、卸業者、ブルワーズアソシエーションの事務局の人などいろいろな人がおり、それぞれの話を聞くのもまたおもしろかったり。先日サンディエゴで訪れたばかりのRipCurrentの面々とツアーで再会したのには驚きました(笑)。

 ツアーを終え、若干へろへろになりながらも向かった先はかの有名なスミソニアン博物館。観光?いや、実はそれだけじゃないんです。まさかのここが今回のCBCのレセプションパーティの会場なのです!!会場となったのは国立アメリカ歴史博物館と国立自然史博物館の2カ所。

 なんといっても恐竜の化石を眺めながら飲むビールは格別!というかこんな経験一生に一度しかないのでは。会場の至る所にビュッフェ形式のテーブル、ワシントンDC周辺のブルワリーのブースが所狭しと並んでいて、さらにはパーティらしく音響設備やさながらダンスフロアなスペースもあったり。何時間いてもあきません(笑)。過去にはサンディエゴ動物園で開かれたりなど、このCBCのウェルカムレセプションパーティだけでも来る価値があると思います!

 さて、そんなレセプションパーティの余韻を引きずったまま、翌日からは怒涛の3日間が始まります。まずは朝イチで講演。今回は協会側から開催に際してのスピーチをしたり、アメリカの女性で初めてエベレストに登頂した冒険家の話を聞いたり。Elysianのオーナー、Dick Cantwellのスピーチなんかもありました。

 その後は1日2回、1時間程度のセミナーを受講します。セミナーは1回の時間帯につき10個程度あり、それぞれ醸造技術、品質管理、販売戦略など、多岐にわたります。ちなみに私が今回受講したのはこんな感じ。

■安全な醸造所の環境をつくるためのデータシートの活用法
■1日5分でできる注ぎ手の上手な育て方
■ダイアセチルの真実
■サッカロマイセスセレビシエVSディアスタティクス
■ブレタノマイセスの上手な扱い方
■ドライホッピングはIBUと苦味にどう作用するか
■ピルスナーの秘密

とまあこんな感じです。マニアックなものから、すぐに役に立つものまでいろいろと受講しました。受けた感想として、ぱっと見のイメージだけじゃなく、どんな人が話すのかしっかり選んでおくべきだったなと感じました。とはいえ、非常にためになる話ばかり。こういう場にいるとモチベーションもものすごく上がります。

 セミナー受講後はスポンサーがビールの試飲やグッズを配布しているエリアがあるので、そこで飲みながらいろい ろ物色したり。なぜかアーケードゲームがあったり。また、 この時間を利用してBrew EXPOをふらふらもしました。 会場が2つに分かれていて、広さで言うとFOODEXの半 分くらい。わかりづらいですね(笑)東京ドーム1個分と かなのかな。とにかく広い!醸造機器のメーカーだけでも こんなにあるのかと驚くレベルですが、それ以上に出展者 のジャンルが非常に幅広い。ホップやモルト、酵母などの 生産者や、オリジナルのTシャツやキャップ・グラスなど のグッズ系、ケグ、フォーセッツやカプラーなどのサーバー 関係、果てはタップのたくさんついた車が展示してあった り。意外な日本企業もいくつか出展してました。酵素売っ てたり。ざっくりこんな感じで9~5時を過ごし、そのあ とはお待ちかねの飲む勉強!(それまでにもまあまあ飲ん でますが笑)

 ワシントンDCにはブルワリーこそ少ないものの、そこ かしこのビアバーで毎日ビールファンに大人気のブルワリーを特集したイベントが開 催されています。どこも尋常 じゃない盛り上がりと混み具 合ですが、全米中からブルワー が集まるとあって、地域的に あり得ない組み合わせのブル ワリーのビールがさらっとつながってたり。圧巻です。全 米中の人気ブルワリーのビールが飲めると言っても過言で はありません。今年は某濁ったIPAの特集をしているイベ ントがとても多かったですね。それこそ普段はブルワリーの 外で販売すること自体めったにないので、こんなにたくさ ん揃うことが今後あるのかどうか…。これらのイベントに参 加するためだけに遊びに来てもいいかもしれないですね。

 さ、というわけで、こんな感じの充実した毎日を過ごし ました。また来年も行きたいなあ、なんて思っている次第 です。今回も長文駄文にお付き合いいただいた皆様ありがとうございました。

DevilCraft Brewery 鈴木 諒

鈴木 諒suzuki ryo
DevilCraft brewery brewer
http://www.devilcraft.jp/
     

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