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北出食堂 -From issue 27-

ブルックリンからやって来た本場のタコスを味わえる専門店!! | TRANSPORTER BEER MAGAZINE No.27(2020)

2022年 11月 14日 10時 02分 投稿 21 Views

千代田区岩本町。隙間なく立ち並ぶガラス色のビルが空まで埋め尽くす東京のオフィス街。とある一角、この辺りには珍しい明るく開放的な場所が目に映る。そしてその佇まいから一眼でそこが目指していた場所だと気がつく。広い一方通行の通りを超えてお店の入り口に近づくとオーナーの北出さんが笑顔で出迎えてくれる。

 アメリカはニューヨーク/ブルックリンから日本へやって来た本場のタコスを提供するお店『北出食堂』。店内に足を踏み入れてみると現地のアーティストロフトを思い浮かばせる高く伸びた吹き抜けの天井に程よい明かりが照らされ、鉄枠の窓越しに映る街の景色と不思議に調和した心地よい空気が漂っている。週末の夕方で既に満席だがゆとりを持ったレイアウトで窮屈感はない。滑りの良さそうな手すりの付いたステア。厚みを感じるコンクリートの大きな壁や柱には何度も塗り重ねられたペイントの跡が残る。時が交差した様なこの空間は北出さんが仲間たちと共にDIY で作り上げたものだ。

北出食堂(キタデショクドウ)

東京都千代田区岩本町1-13-5 8BLD 1F
TEL:03-6240-9920
営業時間:平日 11:30-15:00/17:30-23:00
土 11:30-23:00
日祝 11:30-22:00
定休日: 第1・第3月
https://www.kitadeshokudo.com/

 慌しくも楽しそうに働くスタッフ達のラフな装いに気ままに飾られたストリートアート…目に写るもの全てが相まって、思わず立ち寄りたくなる様な気軽さを感じる。ローカルに愛され街に根付いたお店作りを目指す、北出さんの六年間のニューヨークでの生活で培ったフィロソフィーが随所に見て取れる。

 その北出さんのストーリーはとてもユニークだ。十代の頃からレゲエが好きで、DJ をやりつつも二十歳の頃に英語がわからず歌詞が理解出来ないのが気になり、本場へ行って幅を広げたいと渡英を決意。実は当時お金が無かったので英語圏ならどこでもイイと思っていたらしく、現地ではボランティアとして老人ホームで働きながら英語の勉強に励んだ。しばらくして彼の興味は大西洋を越えてアメリカへと向った。

 新天地として選んだニューヨークではそれまでに音楽と共に興味のあったフード業界に身を置く事に。日々生活していくと、そこで培われたモノが上乗せされ心境の変化へと繋がっていく。自由な精神が造られ『望めばかなう』『やりたい事を必至でやればなんとかなる』有言実行の精神を身体に染み込ませていった。

 そして今へと繋がるタコスに出会う。「ハードシェルしか知らなかった自分はソフトシェルに衝撃を受けて…話題の有名店から夜のタコススタンドまで食べ歩いている間にドハマりしてしまいました。実は自宅斜め前にあるお店が一番美味しかったんだけど。」

現地のタコスは小さいトルティーヤに、載せる具材もフレッシュな野菜と鉄板で調理された肉や魚のフライを合わせたシンプルなもの。お店によって個性の異なるサルサソースや付け合わせのピクルスをトッピング出来る楽しさもある。「日本でやったら面白いだろうなと思っていました。」

 日本へ帰国し早速お店を作る準備をした。タコスがメインのレストランだ。

「日本には現地で食べた様なリアルなストリートタコスを食べられる様な処がほとんどなかった。本物を食べて欲しいという想いから即断しました。しかし見つけて気に入ったこのお店は、面積も広く家賃も高いのでラインナップはニューヨークに居るパートナーとも話し合って『食堂みたいなスタイル』を意識しながらタコスを中心に他のメニューも合わせて考えましました。

 取り扱う食材は全て添加物の無いものを選んでいる。安全を考え化学調味料は一切使わない。「返し醤油などもそうですが、僕らが自分達で出来るものは全て手作りしています」という言葉の通りお店のメニューにはあらゆるページにホームメイドの文字がズラリ。新しいジャンルを意識はするが何より作る事には手を惜しまず表現はサラリとカジュアルなのが北出さんの個性だ。

 新たに100%北海道産のトウモロコシを使ったコーントルティーヤを隣町の日本橋の工場で製造しているそう。三年前からの試作を経てようやく納得するモノが完成し、この六月から提供を始められるという自信作。常時十種類程の中から選べるタコスは遊び心満載のアプローチに、こちらも思わずメニューと睨めっこしてしまう様なモノばかり。ニューヨークで食べた本場の定番はもちろん、和食とのFusion( 融合) に積極的にトライしている。「サルサは日本でいうワサビみたいなもので、トルティーヤとしめ鯖の様な和風の酸味が実は抜群に合うんですよ」と。

北海道産コーンを100%使用したこだわりのトルティーヤ。化学調味料は一切使わず、出来るだけ手作りのものを。

 日本橋に新しくオープンしたブルックリンブルワリーのフラッグシップ店『B』のフード監修もしている北出さん。両者の出会いは必然的で、ニューヨーク滞在中はブルックリンに住んでいたという北出さんも、当時は頻繁にタップルームに足を運んでいたそう。「ブルックリンラガーはもちろんですが、個人的に大好きなのはお店でも取り扱っているディフェンダーIPA。永遠に飲み続けられます( 笑)。」

 近年食卓にパンのようにトルティーヤが並ぶ食文化が訪れると言う北出さん。「グルテンフリーで健康志向の高い食文化に興味のある方々にはピッタリの食材。日本ではまだ馴染みもなく浸透していないのですがこれからですね!」

 もちろんタコスには流し込むお酒も必要!という事でビールとの組み合わせは外せない。「トルティーヤは少しぼそっとしているのでサルサで水分を補うだけではなく、ビールが最高ですよね。」

B( ビー)

東京都中央区日本橋兜町3-5「 K5」 地下1F
16:00~23:00  年中無休
☎︎03-6661-0616 ※電話予約可能
     

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