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『クラフトビールを学ぶ旅』 -From issue 23-

全国の気になるクラフトビール醸造所を巡り、その魅力や驚きをリポートします TRANSPORTER BEER MAGAZINE No.23(2019)

2022年 11月 14日 10時 02分 投稿 362 Views

 

「訪れた場所」
家守酒造

毎日 7:00 ー22:00
京都府京都市伏見区中油掛町108
☎ 075-603-3080
https://yamorido.jp/

「ビールを造っている人」
森 勇気( もり ゆうき)

南山大学経営学部経営学科卒業。留学先のロンドンでビールに目覚め、卒業後ヤッホーブルーイングに約6 年間勤務。醸造、通販営業、受注業務に携わる。2019 年1 月より家守酒造醸造責任者として新規ブルワリー立ち上げに関わる。趣味はプロレス/ 相撲鑑賞。

「経営をしている人」
堀 輝也( ほり てるや)

サラリーマン時代、大手商社案件にて銀河高原ビール沢内工場の設計に携わる。2001 年6 月総合プラント業としてラフインターナショナル有限会社を設立。現在は数多くのbrewery の設計、施工、メンテナスを行い飲食店ビジネスに参入。現在はGOODBEER Faucets、WIZ 淡路町、大門おちらとやを経営。令和元年、京都市伏見にて自社Brewery『家守酒造』を設立する。

 古都京都。町の中心部には鴨川が流れ、社寺をはじめとした歴史的建造物と町家に見られる庶民の暮らしを取り囲むかの様に山の緑が包み込む。その街並みは世界中から訪れる多くの人々を今尚魅了してやまない。ものずくりでの発展を遂げた京都において酒蔵の町として栄え、坂本龍馬でお馴染みの寺田屋でも有名な伏見に2019 年に出来たばかりのブリュワリー『 家守堂( やもりどう)』。業界の方で知らない人は居ないのではないかと言う位ブリュワリーの設備やビアパブなどのタップシステムを数多く手がけてきたエンジニアチームが満を期して立ち上げた。彼らが今まで手がけてきたブリュワリーシステムの集大成とも言えるであろう。

 立ち上げの経緯に至っては数年前から京都での仕事の機会が増え、個人的な興味で足を運んでいた伏見という土地を大変好きになったこと。やがて数々のご縁と巡り合わせが重なり老舗のお茶屋さんだった町家をお借り出来る事になったのがキッカケとなった。勿論お茶のビジネスも継承して販売をしていく事は変わらない。

 このブリュワリーを造るにあたり大変だった事はありませんか?と聞くと、「築150 年の町家を改修したので、地面を掘っても掘っても砂しか出てこなかったり、寛永通宝が発掘されたり…いろんな意味で歴史ある土地が故の想定外だらけの事ばかりで…」と、まだまだ話は尽きない様ですがここで割愛( 笑)、直接聞いてみる事をお勧めします。

『家守堂』のコンセプトは?

「古いを楽しみ、新しいをつくる場所。この町家にも、継承したお茶のビジネスにも、そしてビールにも共通しますが、長い間受け継がれてきたものをしっかりと継承しなければ、新しいものを作り出すことはできないと思っています。歴史と伝統、そして革新。ビールも基本的な技術を大事にしつつ、新しいことにもどんどん挑戦したい。クラフトビールはローカルで小規模だと楽しいのかな?と僕らは考えています。ビールはやはり新鮮な状態が一番美味しいので地元で消費した方が絶対に美味しい。配送料などもかからないので、その分ビールの値段でお客様に還元できますし、その土地でしか飲めないビールを出すお店が増えたら、旅行なども楽しくなると思います。自分が旅行するときも嬉しいですしね。

 家守酒造で作るビールは東京などに配送することはせずにここ『家守堂』と地元だけで消費していただきたいと考えています。そしてゆくゆくは他の地域からも家守酒造のビールを飲みに京都まで足を運んでくれると大変嬉しいですね」。

 最後に自分たちの将来はどうなっていると思いますか?の質問に

「立ち上げが落ち着いたらやりたいなと思っていることはたくさんあります!他のブルワリー とコラボレーションしたり、ビール造りを学びたい方を受け入れたり、いろん

なイベントをやったり…。やりたいことがあり過ぎですが、まずは全ての作業を丁寧に行うことがとても大事なので、一つ一つ丁寧に作る事を継続させたいと思っています。」

 ビールにおいても人においても常に謙虚に周囲を敬い、歴史と伝統から学び、新しいものずくりへと受け継ぐ。それが『家守堂』の家訓なのでした。

□ 恒例イベントは?

とくにありません。

□ おすすめのビールは?

ロンドンのBermondsey Beer Mile という場所が好きです。高架下にいくつもの小さいブルワリー が集まっている場所なのですが、地元の方や観光客がビールを飲みに集まります。一番新鮮な状態のビールをたくさんの種類から選んで飲める最高の場所で、そこでビールを飲んだのが一番楽しかったなと思います。

□これからブリュワリーを立ち上げる人にアドバイスをするとしたら?

僕自身がまだ立ち上げたばかりなので偉そうなことは言えませんが、製造免許の取得は思ったよりも時間がかかるということはお伝えしたいです。

 

     

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