AMERICAN BEER COLUMN #17
TRANSPORTER BEER MAGAZINE No.24(2019)
私が子供の頃は暑くても扇風機があればなんとかなっていた夏も、今や「命の危険」とまでニュース速報が入るほどの酷暑になりましたね。そんな今年の暑さがおさまってきたかと思いきや、今度は世界のラガーマンたちの激闘で熱くなりそうですね!ということで、今回はガチガチのビールネタ、というよりはちょっとした業界のヒトと最新流行のモノを・・・。
ラガーマンたちの熱闘! ラグビーW 杯にはビールはマスト!
ラグビーはイギリス紳士のスポーツ。発祥の地イギリスでは、スタ ジアムだけでなくその周辺のパブで多くのファンが試合前からのビー ル片手にテンションは最高潮になるのが本場流楽しみ方。そんな根っ からのラグビーファンはもちろん、今回のW 杯がきっかけの「にわ かファン」にもオススメしたいのが、Firestone Walker から正統派 イングランドを感じる「ユニオンジャックIPA」。イギリス人の共同 創業者David Walker(デイビッド)の実弟でFirestone Walker 輸 出責任者のAdrian Walker(エイドリアン)はイギリス人でしかも根っ からのラガーマン。そんな彼が今回の日本開催のW 杯の波に乗って、 9 月中旬来日決定!ラグビーファンもにわかファンもエイドリアンと ラグビー談義をぜひ。ちなみに創業者兄デイビッドは細身で長身なの に対し、ラガーマンのエイドリアンは日本滞在中もジム(フィットネ スではなく!)でのウェイトトレーニングを 欠かさない、完全なるムキムキ系(笑)なので、 筋肉談義もきっと喜びます。ちなみにブリュ ワリーのロゴ「ライオンとクマ」のマークは 「ライオン」がデイビッドの出身地イギリスの 象徴、「クマ」はもう一人の創業者アダムの 出身地でもありブュワリーのあるカリフォルニアの象徴です。
筋肉は1 日にしてならず。自然も1 日ではできず。
筋肉自慢はハワイのMaui Brewing からGarrett Marrelo(ギャ レット)も負けていません!全米のブリュワリーを統括する醸造社協 会「Brewers Association(BA)」の理事を務めるギャレットはBA 本部のあるコロラド州デンバーはもちろん全米各地に理事として出向 くなど超多忙な日々を送る一方、ハワイ最大のクラフトブリュワリー としてのMaui Brewing を築き上げ、ハワイローカルを大事にするハ ワイアン航空はもちろん、ハワイ各地で愛されているブランドに成長 させた張本人。そんなギャレットはハワイの大自然が本当に大好きで 自然環境、環境保護にも大きく関心を持ち、今は主流の缶商品ですが、 まだボトルが主流だった時代に採算度外視でいち早く缶を導入した 先駆者でもありま す。自然を大事に 思い、自然に大き な敬意を抱くギャ レットの最近の趣 味は小型飛行機の 操縦。ちなみにドローンの操縦も上手です。
今アメリカで大流行の炭酸飲料 「クラフトセルツァー」は大注目!
自然は海だけでなく山も忘れて はいけませんね。偉大なロッキー 山脈に抱かれるコロラド州の玄関口 デンバーは、BA の本部があり、全 米最大のビールのイベント「Great American Beer Festival」が開催さ れる、ビールの聖地。そこから程近 いところにあるのがDenver Beer。生まれも育ちも地元デンバーの 二人が遠いNY 州北部にある大学に進学。卒業後、デンバーに戻っ てきた二人が将来について話をしていたところ、偶然、通りを歩いて いた女性が着ていたT シャツの文字に釘付けに。そのT シャツに描 かれていたのは、デンバーで見かけることの少ない彼らが卒業した 大学のロゴ!嬉しくなった彼らが声をかけたその女性、というのが私 (笑)というのがオチ。彼らはその後、デンバービールを立ち上げる と、権威ある賞を次々に獲得して成長しているブランドです。彼らは、 発想が柔軟。面白いことが大好き。そんなデンバービールが新発売し たのが、全米で大流行中の「Craft Seltzer( クラフトセルツァー)」 O&A(オーアンドエー)シリーズ。クラフトセルツァーは、今やア メリカで見かけない日はないくらい急成長しているRTD ドリンク(開 封してそのまま飲める飲料)。アルコール入りとノンアルコールがあ り、アルコール入りは日本での缶チューハイのような位置付け。スー パーでもコンビニでも、そのフレーバーも種類も実に豊富でシェルフ も広がる一方。同じコロラド州から今年正式輸入が始まったばかりの Upslope Brewing(アップスロープ)からは、ロッキー山脈の雪解け 水を使用したセルツァー「Spiked Snow Melt(スパイクトスノーメ ルト )」シリーズが発売され、様々な媒体でも注目されるほどアメリ カでは話題です!(日本でも販売中!)。また、8 月下旬の最新ニュー スとしてMaui Brewing からも「セルツァー」の発売がプレス向けに 発表されたばかり。これから他のブリュワリーも続きそうです。低ア ルコール、低カロリー、グルテンフリーなのも嬉しいですね!
昆布茶?
大流行中のセルツァーをはじめとしたRTD ドリンクは他にも。日 本でも少しずつファンが増えているKombucha(コンブチャ)!間 違っても梅昆布茶とは違います(笑)美肌効果、ダイエット、エイジ ングケアの効果に期待できる健康飲料として、海外セレブや健康志向 の人々から支持されている植物性発酵ドリンクです。ブラジル出身の 二人がサンディエゴに移住して始めたEasy Nova Kombucha(イー ジーノヴァ・コンブチャ)はマンゴーやアサイーなどを使った様々な フレーバーとその種類の広がりに加えて、個性的でビビッドなデザイ ンの相乗効果もあって大人気。Whole Foods やTrader Joe’s など ではコンブチャコーナーとは別にEasy Nova Kombucha 専用の冷蔵庫が置かれている店舗 も。ちなみに日本でもアメリカで醸造を学ん だ大泉工場さんのブランドKombucha Ship (コンブチャシップ)も新鮮さと斬新なアイ ディアでとても美味しいですのでぜひチェッ クしてみてください! 全米最大のビールイベントGreat American Beer Festival でも、今 年はハードセルッツァーやコンブチャのブースができるとのこと。 色々と選択肢が広がるのは楽しいですが、くれぐれも飲み過ぎにはご 注意を!
大平 朱美
akemi ohira
( 株) ナガノトレーディング 代表取締役
アメリカンクラフトビール冷蔵管 理のパイオニア。アメリカ食文化 発信基地Antenna America(品 川・横浜・関内)を展開。夫は 創業者 Andrew Balmuth。
その他の記事
-
植竹的視点 – “コラボレーションの定義” –
-
植竹的視点 -“ホップの香味について再検証”-
-
植竹的視点 -“ポスト・ホップ”を探せ-
-
植竹的視点 – “クラフトビールの定義” –
-
植竹的視点 Season2 -麦酒と書いてビールと読む。ビールは麦のお酒。-
-
植竹的視点 Season2 -ホップ製品進化論-
-
植竹的視点 Season2 -ブルワーってどんな仕事?-
-
植竹的視点 Season2 -もうすぐ工事着工です-
-
植竹的視点 -“クラフト” はどこまでサイエンスに歩み寄れるか-
-
植竹的視点 -クラフトビールの価格について再検証-
-
植竹的視点 -「一年が経過してみて」-
-
植竹的視点 -「表現型としてのビール作り それに至る思想」-
-
植竹的視点 -「足るを知れば今日より明日は ちょっとイイ日になる」-
-
植竹的視点 -「試される大地からの挑戦」-
-
植竹的視点 -「綺麗なビールとはなんぞや? 再考クリアネス」-
-
植竹的視点 -「地ビールはクラフトビールへと進化し、 そして再び地ビールに回帰する、かも?」-
-
植竹的視点 – 「切っても切れない水とビールの関係性」-
-
植竹的視点 season2 -トロントからの現地リポート-
-
植竹的視点 season2 -改めて感じるブランディングの重要性-
-
植竹的視点 Season2 -もしかすると “ビールを作るのは難しい” という時代は終わったのかもしれない-
-
植竹的視点 Season2 -日本に帰ってきました-
-
植竹的視点 Season2 -醸造設備についてのアレコレ-
-
植竹的視点 Season2 -絶対に忘れちゃいけないのは、ビールは酵母が作るということ-
-
AMERICAN BEER COLUMN #1 スーパーマーケット編
-
AMERICAN BEER COLUMN #6 -「どうなる?アメリカクラフトビール2017」-
-
AMERICAN BEER COLUMN #7 -「アメリカ西海岸ビールのススメ」-
-
AMERICAN BEER COLUMN #8 -ビールの入れ物の話-
-
AMERICAN BEER COLUMN #9 -アメリカビール片手にアメリカ式BBQのすすめ-
-
AMERICAN BEER COLUMN #10 -時代は缶ビール!<缶ビールの裏話編>-
-
AMERICAN BEER COLUMN #11 -クラフトなレストラン-
-
AMERICAN BEER COLUMN #12 -アメリカンフードトラック-
-
AMERICAN BEER COLUMN #13 -アメリカ式BBQ伝授編-
-
AMERICAN BEER COLUMN #14 -『Meet the Brewer』には参加してみよう!編-
-
AMERICAN BEER COLUMN #15 -アメリカのブリュワリーを日本から応援しよう!編-
-
AMERICAN BEER COLUMN #16 -アメリカで流行中!りんごのお酒「サイダー」に注目!編-
-
AMERICAN BEER COLUMN #18 -年明けからHazy に埋もれよう!-
-
AMERICAN BEER COLUMN #19 -「アメリカ最先端を楽しむ」編-
-
AMERICAN BEER COLUMN #20 -「アメリカのブリュワリーの今」編-
-
AMERICAN BEER COLUMN #2 -クラフトの競争編-
-
AMERICAN BEER COLUMN #3 「アメリ『缶』クラフトビール」
-
AMERICAN BEER COLUMN #4 「アメリカ式クラフトビールイベント事情」
-
AMERICAN BEER COLUMN #5「休日スタイル」
-
藤田こういちのベルギービール新書1 -ベルギービール、トラディショナルとクラフトの波-
-
藤田こういちのベルギービール新書 2 -ALL AROUND SAISON セゾンビールのホント?のところ-
-
藤田こういちのベルギービール新書 3 -「BXL Beer festレビュー」新たな一歩-
-
藤田こういちのベルギービール新書 4 -地味なビールの話 Forward to the Basic-
-
藤田こういちのベルギービール新書 5 -(ベルギービールの)真骨頂ランビックとその未来-
-
藤田こういちのベルギービール新書 6 -今だから、トラピストビール-
-
藤田こういちのベルギービール新書 7 -ベルギー出張 珍道中? 【前編】-
-
藤田こういちのベルギービール新書 8 -ベルギー出張 珍道中? 【後編】-
-
AMERICAN BEER COLUMN #21 -「アメリカの今・どうなるコロナ禍での生活」編-
-
AMERICAN BEER COLUMN #22 -「アメリカビール好きはすごくポジティブ!」編-
-
AMERICAN BEER COLUMN #23 -「ビール界の女子パワー」編-
-
AMERICAN BEER COLUMN #24 -「気分はアメリカ★ 夏とハードセルツァーが楽しみすぎる」編-
-
AMERICAN BEER COLUMN #25 -「チーズ作りの隠し味がビール?!」編-
-
AMERICAN BEER COLUMN #26 -「日本のスーパーがアメリカの品揃え?! キーワードは「種類」だ!」編-
-
藤田こういちのベルギービール新書 11 -ローカルの行方-
-
藤田こういちのベルギービール新書 9 -ベルギービールの賞味期限〜ボトルの美味しさ〜-
-
藤田こういちのベルギービール新書 10 -ビール と 人-
-
藤田こういちのベルギービール新書 12 -意識して飲むということ-
-
藤田こういちのベルギービール新書 13 -ビールは死なない-
-
加地争論 KACHI SOURON!! -第一回「作り手と売り手」-
-
Ryo’s EYE -From issue 15-
-
Ryo’s EYE -From issue 16-
-
加地争論 KACHI SOURON!! -第三回「IS THAT REAL JUDGEMENT?」-
-
加地争論 KACHI SOURON!! -第四回「Monster Beer Geeks」-
-
SUB CULTURE -思い立ったら旅にでよう-(From Issue14)
-
SUB CULTURE 思い立ったら旅にでよう -From issue 15-
-
SUB CULTURE 思い立ったら旅にでよう -From issue 16-
-
Ryo’s EYE -From issue 17-
-
SUB CULTURE 思い立ったら旅に出よう(海外編) -From issue 17-
-
SUB CULTURE 思い立ったら旅に出よう(国内編)-From issue 17-
-
Ryo’s EYE -From issue 18-
-
SUB CULTURE 思い立ったら旅に出よう -From issue 18-
-
Ryo’s EYE -From issue 19-
-
SUB CULTURE 思い立ったら旅に出よう -From issue 19-
-
SUB CULTURE 思い立ったら旅に出よう(海外編) -From issue 20-
-
SUB CULTURE 思い立ったら旅に出よう -From issue 21-
-
SUB CULTURE 思い立ったら旅に出よう -From issue 22-
-
SUB CULTURE 思い立ったら旅に出よう -From issue 23-
-
『クラフトビールを学ぶ旅』 -From issue 22-
-
ミッドナイトシャッフル -From issue 22-
-
『クラフトビールを学ぶ旅』 -From issue 23-
-
昼からBeer Talk!! #2 Edited by Europe -From issue 04-
-
『クラフトビールを学ぶ旅』 -From issue 24-
-
SUB CULTURE 思い立ったら旅に出よう -From issue 24-
-
昼からBEER TALK!! #3 Edited by Beer Pub -From issue 05-
-
『クラフトビールを学ぶ旅』-From issue 25-
-
B 〜美味しいビールが引き寄せる ローカルコミュニティとしての 大人の社交場〜 -From issue 28-
-
昼からBEER TALK!! -From issue 06-
-
“GO TO BRUSSEL” -ブリュッセルに行こう!-
-
New England Area Beer Trip -From issue 14-
-
BREWDOG HISTORY 10th Anniversary -クラフトビール界の革命児と言われたジェームズワットの10年の軌跡-
-
GO TO BELGIUM! -伝統と革新の国ベルギー!-
-
一人旅をしよう ソウル編
-
「そうだ!タンパに行こう」 -From issue 26-
-
北出食堂 -From issue 27-
-
「そうだ!ウエストコーストに行こう!」-From issue 27-
-
「そうだ!イギリスに行こう!」-From issue 28-
-
ヨーロッパ最前線
-
CBC & WBC -CRAFT BEER CONFERENCE & WORLD BEER CUP-
-
Beer Festival & BIJ Summary -From issue 13-
-
心赴くままにロンドンへ・・・前編
-
PORTLAND OREGON USA
-
PORTLAND OREGON USA -SOUR SOUR SOUR-
-
European NOW!! -“ヨーロッパの今”-
-
1 BEER × 1 FOOD
-
PORTLAND OREGON USA -DO YOU KNOW GROWLER?-
-
COEDO Craft Beer 1000 Labo
-
加地争論 KACHI SOURON!! -第二回「樽返却から見る常識・非常識」-
-
ベルギーに「インスパイア」されたビールとは?