Beer Festival & BIJ Summary -From issue 13-
TRANSPORTER BEER MAGAZINE No.13(2017)
Beer Festival
どうなるビアフェスティバル
ビアフェスティバルときいてまずはじめに思い浮かぶのは日本地ビール協会(クラフトビアアソシエーション)の行う「BeerFes」。提供されるビールのスタイルが明確にされているのでビールに興味を持ち始めたビギナーに優しく、巷で叫ばれるクラフトビールブームも手伝って東京、横浜、大阪の盛り上がりは例年以上だ。当然の事ながら味だけでなく知識として明確に伝える事は普及に直結する。クラフトビールに対して更に需要や規模の拡大が見込まれる2017年はより精度の高い内容でクラフトビールファンに対する底上げを期待したい。
小田良司会長の訃報はビール業界にとってとてつもない衝撃であった。日本のクラフトビールの先を考え続けていた姿にまだまだ教えて頂きたい事が沢山ありましたが悔やまれてなりません。TRANSPORTER 一同、心よりご冥福をお祈りいたします。
各都市で盛り上がりを見せるビアフェスティバル
各都市で盛り上がりを見せるビアフェスティバル。その中でもけやき広場ビール祭は全てにおいて頭1つ分抜け出ておりクラフトビールファンなら春秋の恒例行事になりつつあると言って良いだろう。
そんな中、他の地方ビアフェスティバルも独自の色で力をつけ始めている。
●サッポロクラフトビアフォレスト
2013 年より始まった大自然に囲まれた夏のスキー場で楽しむ札幌発のクラフトビールイベント。北海道という土地柄か、アットホームな雰囲気は他のビアフェステバルの追随を許さない。ノースアイランドビールを中心に地元の団結力の強さを感じる。夜は市内へ繰り出せば麦酒亭、カラハナ、月と太陽ブルーイング、ビアセラーサッポロ、モルトヘッズ等々、個性的なお店のオンパレード。
●ビアフェス信州「クラフトビールフェスティバルin 松本」
国宝松本城と北アルプスの山々を望みながら飲むビールは格別の一言。まだまだビール人口が多いとは言い難いが松本ブルワリーを中心に地元の飲食店が一丸となって運営している。同時開催である信州のフードフェアも相まって年々入場者も増加。全国から人の集まるビアフェスとなりつつあり、4 年目となる2017 年は規模が非常に大きくなる事が予想される。
Brewery in Japan Summary 2016 ▶2017 発行人田嶋伸浩
2016年、日本クラフトビール業界はブルーパブを筆頭に、マイクロブルワリーも各地に増えた。既存のブルワリーも生産はフル稼働で醸造量が上がりタンクを増設した醸造所も20は超える。しかし、それでも需要に対してビールは足りていない。一方でナショナルブランドはビールの比率が落ち、販売量の下降を停めるようにするだけで精一杯。クラフトに参入するもクラフトの本質自体を理解していない為、クラフト的に様々な味を投入しても売り上げには繋がらない。簡単に言えば人が見えるストーリーのあるビールがない為だ。100人中100人が美味しいビールを造る事に意味があるのだろうか?クラフトマインドを突き詰めた時、自分が作りたいものを作って100人中1 人が美味しいと言えばそれでいい、そういった飲み物であるという事を認識しなければ人の心に響くクラフトビールは作れないと言っていい。
2017年、ブルーパブ、マイクロブルワリー共に2016年以上に増える年。レストラン業界のクラフト導入で販売網は大きく変わりクラフトビールの認知度は今以上に上がる。知識のある信念を持ったビアパブ、レストラン、カフェなどが注目されるだろう。地方都市においてはクラフトビールの認知度は未だ発展途上ではあるが、上記の通りビアフェス等も盛んに行なわれており地方毎の個性溢れる盛り上がりにも期待したい。将来的に日本のクラフトビールが何処まで伸びるかは誰にも分からないが、アメリカとは違う流れとして想定されるのが日本のクラフトビールの市場シェアが15%に上る可能性があると言う事だ。実際のクラフトビールのシェアは5%〜10%ほどと予想されるが、ナショナルブランドビールのシェアが低下するかわりにナショナルクラフトビールのシェアを上げるという図式が出来る。
日本市場は昔からのしがらみがあり、要冷蔵のクラフトビールを安全に流通させる事は現状難しい。今なお行われる常温流通という悪しき風習を無くしクラフトビールを造る人間から飲む人間まで想いが誤差無く届くか否かは、これからの発信により大きく変わるだろう。これからもナショナルブランドの流れの言いなりにはならない本物のクラフトビールを造る醸造所に注目しながら造り手と飲み手の為のビールをTRANSPORTER としてバックアップしていきたい。
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