GO TO BELGIUM! -伝統と革新の国ベルギー!-
TRANSPORTER BEER MAGAZINE No.16(2017)
中世に修道院の修道士によって作られたのが始まりと言われているベルギービール! ユネスコの無形文化遺産に登録されニュースになったのも記憶に新しい。そんなビールな国!? ベルギーに行ってきた!
CHIMAY
ヨーロッパでは水が飲用に適していなかった為、代わりとなるビールやワイン等が多く作られ、修道院でのビール醸造は11世紀頃にスクールモン修道院で造られ出したのが始まりと言われている。そのCHIMAY に2 泊3 日で行ってきた!
修道院近くにあるCHIMAY のHOTEL 『Espace Chimay』。清潔でいて朝 食、夕食共に美味しいビールが頂ける。今 回はここに2泊したが部屋に有る冷蔵庫の 中までchimay のビールが完備。CAFE、 SHOP、ミュージアムまで併設。CHIMAY ビールとのマリアージュも楽しめる。 DINNER はここがオススメ!
ブリュッセルから車で1時間ちょい(同 行したイタリア人の運転が荒くかなり飛ば していたので普通なら2時間)程、フラン スの国境まで走ると途中シメイ市がある。 田園風景が広がったのどかな街。 フランス語表記の看板が立ち並び、ビール はCHIMAY 一色、どこのカフェやレストランでも取り扱われているのには驚きだった。 森の中を抜け修道院に到着、静かで鳥のさ えずりしか聞こえない穏やかな場所。
中世からビール自体の生産は行われていたのだが、トラピストビール(修道院)としての生産がシメイ醸造所にて始まったのは1862 年からとなっており、当初は地域の失業者を雇用する目的であったと伝えられている。1876 年からはチーズの製造も行うようになり世界に輸出を開始(2017 年からは日本でも輸入開始)。他のトラピストビール(修道院)と同様、シメイの販売による利益は修道院の活動および地域の開発にのみ当てられている。
製造は修道院内の醸造所で行われいるのですが驚くほど静か。酵母をチェックするラボ、味のチェックをする為のミーティングルーム、かなりの樽数を持つバレルルームなどを保有。
肝心な水は敷地内にある井戸水が昔から変わらず使われてる。全ての材料、農作物をリサイクルしているので製造過程で出る麦汁を作った後の麦のカスなどは、チーズを作る雌牛の飼料に利用されている。醸造後、発酵を終えたビールは少し離れた別の工場へタンクローリーで輸送されて瓶やケグに詰められる。この瓶詰め工場は初めて見て驚いたのだが1 時間に4 万本を瓶に詰める能力をもっているらしい。それにしてもバカでかい瓶詰めのラインは圧巻、そうして瓶詰めされたビールは巨大なスペ−スがある倉庫に3 週間程寝かせ再発酵させそういった期間を経ながら世界中へと送られている。
●シメイ・ルージュ(La Chimay Rouge)
別名レッド。シメイの中で最も歴史が古く、他のシメイの元になったと言われている。名称はレッド(ルージュ)だが種類はブラウンビールにあたる。黒すぐり(カシス)のフルーティーな香味が特徴。適度に円熟されたコクと爽やかな味わいのバランスがとれているため、シメイの中では最も万人向けとされる。ラージボトルはシメイ・プルミエールと称される。
●シメイ・トリプル(La Chimay Triple)
別名ホワイト。他のビールの3 ~ 4 倍のホップを使用しているため、ホップの芳醇な香りが強く、味は苦みばしったキレがある。こちらはスパイスも利いていてアルコールが高い割には飲みやすい。
●シメイ・ブルー(La Chimay Bleue)
別名ブルー。麦の豊かな香りと、濃厚な苦みとコクを持っているのが特徴。数年に渡り熟成保存でき生きた酵母の働きで、味わいが変化する。ビンテージごとの味わいに違いがあるが、1 年1 回の生産でないため、ワインほどの差はない。CHIMAY のフラッグシップビールであり一番人気のビール。
●シメイ・ドレー(Chimay Dorée)
通称ゴールド。シメイ・ルージュと同じものから作られるが、スパイスを加えアルコールも軽く仕上げたものとなっている。このビールは修道院内で修道士のみしか飲めなかったものなのですが、日本でようやく輸入が開始されました。
修道院(Abbey)
Route du Rond Point, 294 -B-6464 Forges(Chimay)
Tel : 0032(0)60/21.05.11
Fax : 0032(0)60/21.36.96
e-mail:abbaye@scourmont.be
Espace Chimay
Rue de Poteaupre 5, Bourlers 6464,
CHIMAY 輸入代理店
〒104-8277東京都中央区八重洲2 丁目7 番2 号八重洲三井ビルディング
Tel.(03)6700-7130
DUPONT
ブラッセリーデュポンはトゥルネーの東、トゥルブという小さな村にある醸造所。セゾンはもともとベルギー南部ワロン地方で醸造されている伝統的なビール。冷蔵技術が発達する前から冬の間に仕込み、夏の畑仕事で乾いていた喉を潤すために造られてたと言われている。
ブリュッセルーセントラル駅から電車で一時間位、ルーズ(Leuze)駅に 到着。駅に到着も、次のバスが3時間後と いう事でタクシーを探すも完全に見当たら ない。という事で必然的に歩きに決定。グーグル先生に頼るも、ベルギーと言うお国柄 からか細かい地図は出てこないが、方向だ けは分かったのでひたすら歩く事を決意。 それにしても駅前の街中を歩くが人気がな い。歩いて1時間ほど何もなーい畑の景色や穏やかな牛などにであいながら(因に村までの道のりの間人に会ったのは3人!)のらりくらりと延々に歩き続けると小さな村にあるデュポンに到着。
デュポンの社長オリビエとはアポイントを取っていなかったのですが、別のスタッフが20 分くらいならと工場を案内してくれました。実際は観光客向けのツアーなどあるみたいなのでweb site をチェックしてみて下さい。
まず工場に入って驚いたのは直火で煮沸していると言う事、、、、、、。それによりモルトがいい具合に焦げてそれがデュポンの独特な味わいになるらしい。発酵タンクは全て壁に埋まっている為か天井も低い(2 メートル位か?)。背が低く直径の大きなタンクが目を引くのだがタンクが高くなるにつれ、タンクの底にかかる水圧が増える、酵母へのストレスが変われば味が変わるらしい。
ここの発酵タンクで2週間寝かしてボトリングに詰めてさらに2ヶ月寝かして完成といった流れ。それにしてもボトリングマシンの設備は大きく、寝かしておく冷蔵庫もスペースが多く、ベルギービールの工場の特徴とも言える。
工場見学が終ると、ビール&チーズ& T-SHIRT などのグッズ類を購入出来るお土産屋に立寄り、そのあとはテイスティングルームで試飲ができる。今回は一人だけだったので「好きなだけ飲んでいいよ」と言って頂いたのにも関わらず、量は飲めず。それにしてもピルスナー、ドライホッピングのセゾンは激美味かった。
アメリカンほどではないがベルギービールのなかではホップを多く使っている為、ホッピーに仕上がっています。さらにホッピーなのはドライホップバージョンのデュポン、アメリカン好きな人にはかなりオススメ。デュポンは日本を含め世界30カ国以上に輸出しています。ロストアビーとのコラボレーションなども行い、世界的に有名なデュポン。『伝統と革新的』な醸造所でした。
Brasserie Dupont
Rue Basse 5, 7904 Leuze-en-Hainaut,
http://www.brasserie-dupont.com/dupont/
LA FORGE
村のバプといった感じでおばあちゃんが切り盛りしている。店内には午前の11時というのに若い人からおじいちゃんまで村人がひっきりなしに入ってきてビールを2、3杯飲んで出て行く。入ってくると必ず皆に挨拶していくフレンドリーさもかなり印象的。それにしても皆ピルスナーばかりを注文している。
ここではバスを待つつもりで休憩していたので すがいつの間にか3杯は注文していた、、、、、。 凄く居心地が良く、ホッと出来るスペース。実際バ スを待つつもりがバスが来る時間も飲んでしまい、 乗り遅れてしまったので、帰り道も1時間かけて帰る事に。行きと違うのは暑い陽射しと鞄に入ったボト ル16 本の重たい荷物が追加、、、、、、。意識モウロウと しながら歩いてました。
Rue Basse 4, 7904 Leuze-en-Hainaut,
MORDER LAMBIC FONTAINAS
M ODER LAMBIC 本店。ランビック を中心にデラ・セーヌ、ベルギー のクラフトビールからフランス、アメリカ まで幅広く取り扱っているBAR。時間のな い方はグランプラス近くのアクセスの良い Fontainas のほうがよいが、出来ればセン トラル駅からは少し離れている本店をお勧 めする。Zwanze などランビックのボトル に圧倒されるはずだ。
MODER LAMBIC FONTAINAS
Rue de Savoie 68, 1060 Saint-Gilles,
http://www.moederlambic.com/
DE MONK
バー、レストランを併設するmonk(修 道士)というその名の通り修道院の ビールであるCHIMAY、ORVAL などのビー ルからブラッセルズプロジェクトなどの幅 広いビールをラインナップ。パスタなども 食べられるので夕食も兼ねてもよいかも。
De Monk
Rue Sainte-Catherine 42, 1000 Bruxelles,
http://www.monk.be/
A LA MORT SUBITE
1900 年代初期の創業、歴史を感じさせる レトロな内装と落ち着いた雰囲気のビア カフェ。ビールも30種類以上有り、食事も美 味しいのでランチあたりにオススメ。
A La Mort Subite
Rue Mont. aux Herbes Potageres 7, Brussels 1000,
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