AMERICAN BEER COLUMN #16 -アメリカで流行中!りんごのお酒「サイダー」に注目!編-
TRANSPORTER BEER MAGAZINE No.23(2019)
日本市場でクラフトブリュワリーからのブランドが大手、小規模問わず次々と誕生し、海外からの輸入も含めると日本でもクラフトビールが少し身近になってきた昨今。消費者が「とりあえずビール」から「ビールを選ぶ時代」に少しずつ変わってきたようにも感じられる。そんな時代の過渡期にあるタイミングだからこそ紹介したいアイテムがある。今、アメリカで急成長を遂げる注目のアイテム「リンゴのお酒、サイダー」だ。クラフトビールとの親和性はもちろん、好奇心旺盛なクラフトビールの精神が大好きな人ならきっと「クラフトサイダー」も一緒に楽しめるはず!今年の夏はビールだけでなく、サイダーも大注目!
「サイダー」と聞かれたら「甘いシュワシュワのソフトドリンク」を思い浮かべるのは、実は日本人が多い。Cider は、フランス語では「シードル」とも呼ばれ、見た目はジンジャーエールのような褐色系透明色が多く、リンゴの果汁を発酵させた発泡酒として世界各国で楽しまれているお酒の一つ。そのため一般的な説明として「リンゴのお酒」と呼ばれる。グルテンフリーでプリン体もほぼゼロ!アメリカではロカボダイエットやクロスフィットに関心のある層や、健康やダイエットが気になる層を中心とした人たちに「ヘルシーなお酒」としてアルコールの選択肢の一つに認知され、特にこの数年はアメリカでのマーケットを伸ばしているアイテムとして各メディアでもよく取り上げられている。サイダー伝統国イギリスやフランスから持ち込まれた影響を受けている人種のるつぼアメリカ流サイダーは、それらの国の伝統を重んじながらも個性豊か。クラフトビールと同じく、その手作り感、思い、経緯を知れば、美味しさに輪をかけて友人や家族にオススメしたくなること間違いなし。
❶シャックスバリーのあるバージニア州はフランス人移民の多い地域。入植者たちがリンゴの種を持参したり植えたりしたもののその後放置されたために、手入れされることなく世紀を超えて荒れ放題となっていた。シャックスバリーは、そんな人知れず育つリンゴを保護したり木々を果樹園にするなどといった、一度は棄てられた果実樹に再度光を当てる「ロストアップル・プロジェクト」をすすめている。
❷ & ❸サイダー用に育てたリンゴを使用するシャックスバリー。ここから個性豊かなテイストの商品が生み出されていく。
❹ Patriotic Paw Paw/ リンゴ、パウパウ、ブラッドオレンジ、バジルを使用。パウパウとは、アメリカ産フルーツとして最大サイズの果物。第3代大統領トーマス・ジェファソンもパウパウ愛好家として知られる。バナナやマンゴーのような甘みにシトラス、バジルの爽やかな味わいが楽しめるトロピカルテイストのサイダー。Alc5%
❺&❻チーズや野菜スティックと合わせてピクニックやパーティーの前菜との相性もバッチリなのがサイダー。軽いテイストなので食事への導入にも、これから始まる会話の糸口のお供にも相性抜群!
エースジョーカー。
シャンパン酵母使用でキリリとドライなテイスト。クオリティの高さは数々の受賞歴が物語る。Alc6.9%。 エースサイダーはカリフォルニアワインの産地ソノマ近くに拠点があることから、アメリカ西海岸を訪れたことがある方にはすでに知名度の高いサイダーブランド。ちなみにエースサイダーの創業者ジェフェリーはイギリスからの移住者。イギリスの伝統とアメリカの創造性により素晴らしい商品が次々と誕生!
エース・ベリーロゼ
ロゼワインのようなサイダー。リンゴに加えてイチゴ、ブラックベリー、ラズベリーを使用したライトテイスト。Alc5%
エース・ヘイジーホップ
クラフトビールでよく使われるモザイクホップがリンゴのキャラクターとの相乗効果によりジューシーで酸味のあるテイストに。Alc6%
蛇足。。。実は私は前職でアイルランドからの酒類を取り扱っていたので、サイダーは馴染み深く、個人的にもビール以外のよく飲んでいたお酒。なので、一言忠告を。サイダーは何気に危険(笑)。もちろん商品にもよるけれど、リンゴ由来なのでフルーティーで一般的には飲み口が軽い。飲み方も氷をたくさん入れたグラスにサイダーを注ぎ入れるスタイルもよく見かけられたので(もちろん、そのまま氷なしでもOK !)褐色透明の細いバブルがグラスの中で踊る様子はまさに「ジンジャーエール」!特に暑い季節、フルーティーな喉越しに背中を押されてぐいぐい飲めてしまって、さらにアルコールも適度に(5-7%)・・・と知らない間に酔いがまわる・・・。楽しいお酒にはくれぐれもご注意を。
大平 朱美
akemi ohira
( 株) ナガノトレーディング代表取締役
アメリカンクラフトビール冷蔵管理のパイオニア。アメリカ食文化発信基地Antenna America(品川・横浜・関内)を展開。夫は創業者 Andrew Balmuth。
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